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僕の名前の由来※エイシオ視点

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 夕方に起きてすぐラミリアの怒声を浴びた僕達は、簡単にパンとスープで食事をとる事にした。
 けれどアユムは、やはり元気がない。

 僕も気持ちはわかる。

 今まで色恋沙汰で、散々恨まれたり怒鳴られたりしたから。
 自分の心とは関係ないのに、まるで魔物に体当たりされた気分になる。
 
「ごめん、アユム」

「エイシオさん、大丈夫です。もう謝らないでください」

「でも……」

「またワイン飲みますか?」

 アユムがニコッと提案してくれた。

「いつも酒ばかり飲んでいたら、信用を失いそうだ」

「そんな事ないですよ。じゃあ……ソファで飲みながら」

「ん?」

「あの……してもいいですか?」

 えっ!?
 少し恥ずかしそうなアユムの顔にドキドキして聞こえなかった……。
 えっソファでなに……!?

「えっ……も、もっかい言ってくれる?」

「あの……その……耳をさわってもいいですか?」

 み、耳?
 つい反応して銀色の三角耳をピコピコ動かしてしまった。
 アユムは『あぁ!』と口に手を当てる。

「もふもふ……すごい……」
 
「珍しいのかな?」

「は、はい……俺の世界にはいません。エイシオさんは猫さんですか?」

「僕の先祖は獅子と言われててね」

「獅子……! すごい三角耳の銀の獅子様……!」

 良かった、少しアユムが元気になってきた。

「……英雄なる獅子王……」

「え、まさかそれって……」

 自分で話題に出しておきながら、僕はその大げさな名前が少し恥ずかしくなって、食べ終えた食器を片付けにいく。

「僕の名前の由来だよ。代々受け継ぐ名前なんだ」

「わ、わぁ~……かっこいい……英雄なる獅子王……それが『エイシオ』さんになったんだ……立派な責任ある名前なんですね」

「さっきラミリアにも言ったけど、名前なんかいつでも家に返していいと思ってるんだよ」

「……そんな」

「ふふっ本気だよっ」

 わざと軽く言った。アユムはなんでも深刻に考えてしまうだろうから。
 ……まぁ実際は深刻な話なんだけどね。
 一緒に台所へ来たアユムは、グラスを用意してくれる。

「あ、ワインじゃなくて温泉で買ったのがいいな」

「じゃあ、おつまみも買ってきたものと合わせましょうか」

 少し気にしている様子のアユムの腕に尻尾を巻き付けた。

「わはっ! もっふもふ~~」

 頬が緩んで、嬉しそうなアユム。
 獣化してると、女性陣はもっと寄ってくる。
 半年に一度、一ヶ月ほど獣化する。
 ちょうどアユムに会う前にもなっていた。
 だからストレスが頂点に達したし、これまで嬉しいと思った事はなかったけど……。

「尻尾もすごくもっふもふで、あは。綺麗な尻尾だ~もふもふ、ふふ可愛い~」

 めちゃくちゃ嬉しいな!!

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