異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ

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ラミリアさんの再来※アユム視点

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「エイシオー!」

 ドンドンとまだ扉を叩いてるラミリアさん。

「今開けるよ。ラミリア」

 寝間着のままで、エイシオさんが玄関のドアを開けた。

「や、やだエイシオ寝間着のまま……って、貴方! 耳!」

「あぁ、そういう時期だから……」

 面倒くさそうにエイシオさんが対応している。
 時期……もふもふの時期?

「戻らないの? 家に」

「戻る必要がどこにある? ところで何か用事かい」

「用事……あ、アユム~~!」

 玄関まで行かずに見守っていたけど、俺を見つけてラミリアさんが部屋に入ってくる。

「昨日は飲みすぎちゃって、私あんまり記憶がなくって~雨すごかったけど大丈夫だった? 心配になっちゃってね」

「だ、大丈夫です……はは」

 なんだかすっごく色々な事があったけど……それでエイシオさんと……。
 でも、こんな話は絶対にできない。

「さっきもギルドに寄ってきたけど、色々仕事の募集もあったわよ~あなたに似合いそうな仕事!」

 求人情報なんだろう紙の束を渡された。
 薄茶色の紙に、文字が色々書いてる。
 異世界でも、こんな感じなんだ……。

「ラミリア! もう、アユムにそういうお節介はやめてくれ」

「まぁまぁ一応読んでみてね。それにしたって、エイシオ。やっぱり家に戻りましょ? ……それでいい加減……決めましょうよ」

 俺に紙束を渡すと、もう俺には興味がないようにエイシオさんに話しかけながらテーブルに座った。

 立ち話で帰るつもりはないという事だろう。
 コーヒー淹れようか……。

 いい加減決めようってどういうことなんだろう……?
 
「一体なんなんだ。ラミリア」

「やっぱり獣化けものかしてる時の方がよりよい血を求めるじゃない……? ……私ももうすぐなりそうだし」

 ラミリアさんもなるんだ!?
 血筋とか……の関係で?

「だから、君と結婚する気はないんだよ」

「獣化していれば、きっと気持ちも高まるわよ!」

「あのコーヒーを……あの……獣化って……?」

 険しい顔をしていたエイシオさんが、俺がコーヒーを持っていくと優しく微笑んだ。

「説明もせずでごめんよ。びっくりしただろう? 怖いかい?」

 ぴこぴこ可愛い耳が動く、か、可愛い……!
 かっこいいのに、可愛い!

「ま、まさか。とっても可愛いです」

「可愛い……? 獣化は気高いロードリアの血なのよ」

 睨まれてしまった……!

「す、すみません」

「ふふ、可愛いと思ってもらえて嬉しいな。半年に一回くらい、こうなってしまうんだよ」

「その間は、血の濃い良い子供が産まれる発情期なのよ。女達がまた寄ってきちゃうわ」

 またエイシオさんの顔が冷めた無表情になる。
 は、発情期……!?
 じゃあラミリアさんは、エイシオさんにそういう事を誘ってるってこと!?

「僕にとっては最高にうんざりする時期だよ」

「だから、もう身を固めなさいよ。私と逢った途端に獣化が始まったじゃない? そういう事よ! そういう運命なのよ! エイシオ・ロードリア!」

「すまないけど、ラミリア。そうじゃないんだ」

 エイシオさんは、そう言うと僕が立ってた台所にやってきた。
 何か必要だった? 砂糖とミルクも持っていったのに……。

「今朝、僕の告白を受け入れてもらえたんだ」

 グッと、俺の肩を抱くエイシオさん。
 腰にも尻尾が巻き付いてくる。

「エ、エイシオさん!?」

「告白って……なによ」

 訝しげな瞳で、僕達を見るラミリアさん。
 
「愛の告白に決まってるじゃないか。僕はアユムを愛してるんだよ」

 肩を抱かれて見上げたエイシオさんは、照れたように微笑んでる。

 ええええ!? だ、大丈夫なんですか!? エイシオさんっ!
 そしてラミリアさんは……瞳を見開いて停止していた……。


 
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