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ハッピーあ~んタイム※エイシオ視点
しおりを挟む「はい、エイシオさん。どうぞ」
「あ~ん」
僕は大の大人だ。
立派な一人前の男だ。
だけどアユムにあ~んしてもらって、最高にハッピーな夕飯を満喫している。
「美味しい肉だ、アユムもほら食べてごらん」
「はい、うーんジューシーで柔らかい……!」
実は、ステーキならフォークでも食べられる。
でも僕はそれに気付かないふりをして、アユムにあ~んしてもらっている。
卑怯だろうか?
……卑怯でもいい!
好きな子に食べさせてもらうチャンス。
こんなチャンスを逃がす奴が、この世にいるだろうか?
「この野菜の煮物、美味しそうですね」
「まずはアユムが食べてごらん」
「あ、はい……じゃあ」
僕は小さな酒器に口をつける。
お互い、美味い酒もすすんでアユムもリラックスしてくれているようだ。
どの料理も、この辛めのスッキリした酒によく合う。
「家で飲む用に何本か買って帰ろう」
「そうですね。これお醤油で味付けしてるのかな。エイシオさんもどうぞ」
「アユムの知っている調味料かい? あ~ん」
そっと、手を添えて食べさせてくれるアユム。
このユカタって服は袖がピラピラして、なんとも可愛らしいな。
うん、初めての味だけど、美味い。
「この調味料も買って帰ろうね」
「え……いいんですか?」
「もちろんだよ。なくなったら、またいつでも買いに来よう」
「あ、ありがとうございます。すごく嬉しいです」
なんでも君の世界で君が好きだったもの、欲しい物があるなら……僕は集めて、買って、何不自由なくさせてみせる……。
だから、元の世界に帰りたいって思わないでほしいよ。
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