千物語

松田 かおる

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新しい街

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最近、新しい「街」へ引っ越してきた。

今回引っ越してきた「街」は、新興開発地だけあってまだ全体的に閑散としている。
けれどもその分落ち着きやゆとりもあって、暮らしていくにはとてもいい「街」だ。
前に住んでいた「街」は賑やかになり過ぎてしまったので、落ち着いた暮らしを望んでいた自分には理想の「街」だった。
思い切って引っ越してきて良かったと、心底思った。



この「街」に引っ越してきてからしばらく経ったころ。
どこからか噂を嗅ぎつけてきたのか、この「街」で暮らす人たちが増え始めてきた。
「街」の中を歩き回っていても、ポツリポツリと他の人を見かけるようになった。
今までが人が少なすぎたくらいだったから、これは嬉しいことだ。

人が増えれば「街」にも活気が出てくる。
「街」に人が増え始めてしばらく経った頃、いろいろな施設が増え始めてきた。

まずは「店」。
今までこの「街」で買えるものは限られていたけれども、「店」が増え始めたことでいろいろなものを買えるようになった。

次に「娯楽施設」。
人が集まれば、当然娯楽も必要になる。
いつしか「街」には、いくつもの「映画館」「カラオケボックス」「ゲームセンター」などの娯楽施設が増え始めてきた。
おかげで退屈はしないで済むようになったけれども、娯楽施設が増えると人も必要以上に増えてしまうのではないか…と、ほんの少し心配になった。



そんな心配が現実になってきてしまった。
娯楽施設が増えることで、素性の良くない連中が集まるようになってきたのだ。
最初はただその辺でたむろしているだけだったけれども、いつの間にか徒党を組んで「街」の人たちに迷惑をかけるようになってきた。
彼らは昼夜を問わず騒ぎ続け、「街」の治安も徐々に悪くなって行ってしまった。

この「街」に引っ越してきてそれほど日が経っていないにもかかわらず、瞬く間に暮らしにくくなってしまった。
もう、この「街」で暮らすのも限界かもしれない…

ー新しい『街』に、引っ越すかい?ー

不意にどこからか聞こえてきたその声に、躊躇することなくうなずいた。



「あれ?また新しい『街』に引っ越すの?」
「うん。今の『街』には『荒らし』が増えてきちゃったからね」
「でも、新しい行先とかあるの?」
「あ、それは大丈夫。ついこの間新しいサーバーができたから、そっちに知り合いと一緒にアカウント移すよ」
「今度は落ち着いたままだといいね」
「そうだねー。今度こそそうあってほしいね」
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