35 / 44
歴史の目撃者
しおりを挟む
「…成功だ」
部屋の壁に掛けてあるカレンダーの日付を見直して、俺は思わずつぶやいた。
先日やっと完成したタイム・マシンで過去と未来に各々テストで行って来て、どちらも無事に帰ってこられたのだ。
テスト中で余裕がなかったので、過去も未来もどちらにも何か証拠になるようなものは残してこなかったが、確かに俺は過去へも未来へも行って、こうして無事に帰って来た。
だが、証拠ならこれから作ればいいこと。
俺のかねてからの夢、「『歴史の目撃者』になること」で、俺がタイム・トラベルをした証拠を残すのだ。
早速俺は、「歴史の目撃者」になるべく、タイム・トラベルを開始した。
古今東西の謎の真相、歴史の中に埋もれてしまった「真実」、世紀の大事件…
そう言った「歴史に興味がある者なら知りたい事柄」を、俺は実際にその場で「目撃」した。
俺は見聞きしたものすべてを映像,写真,書面に残し、元の時代に戻る準備を整えた。
そしてタイム・マシンに「出発した日時」をセットして起動したその瞬間。
突然目の前が真っ白になり、気を失ってしまった…
-お、目が覚めたかな?-
そんな言葉が遠くの方に聞こえてきた。
その声に俺が目を開けると、そこは「ただ真っ白な場所」だった。
前後も左右も上下もない、とにかく真っ白な世界。
立っているのか横たわっているのかも判らない。
そして俺の顔を覗き込む男が一人。
「…ここは?」
俺が聞くと、男は答えてくれた。
曰く、
「ここは『どこでもいつでもない所』で、タイム・トラベラーが『歴史の記録』を持ち帰ろうとするとここに送り込まれ、元の世界に戻る方法はない」
のだそうだ。
「ほら、『歴史の謎が解明された』って話、全然聞かないでしょ?」
男はそう言い、
「実は僕も、そうしようとしたクチでね」
と続けた。
真っ白な世界に目が慣れると、俺たち以外にも人間がいることに気づいた。
いつの時代のどこの世界の人間かはわからないが、少なくない人数がいるようだ。
…それだけ歴史の謎を解明しようとして、「失敗」した者がいるということか…
妙に納得していると、足元に何か映り始めた。
そこにはさっき俺が見てきた「歴史の出来事」が、映像として流されていた。
今度は胸の前あたりで、これも俺がさっきまで見てきた「別の時代の歴史の出来事」が流れ始めた。
どれも「リアルタイムで起こっている出来事」なのだろうか…
「永遠の歴史の目撃者」になった俺は、周りで延々と流れる映像を見続けていた…
部屋の壁に掛けてあるカレンダーの日付を見直して、俺は思わずつぶやいた。
先日やっと完成したタイム・マシンで過去と未来に各々テストで行って来て、どちらも無事に帰ってこられたのだ。
テスト中で余裕がなかったので、過去も未来もどちらにも何か証拠になるようなものは残してこなかったが、確かに俺は過去へも未来へも行って、こうして無事に帰って来た。
だが、証拠ならこれから作ればいいこと。
俺のかねてからの夢、「『歴史の目撃者』になること」で、俺がタイム・トラベルをした証拠を残すのだ。
早速俺は、「歴史の目撃者」になるべく、タイム・トラベルを開始した。
古今東西の謎の真相、歴史の中に埋もれてしまった「真実」、世紀の大事件…
そう言った「歴史に興味がある者なら知りたい事柄」を、俺は実際にその場で「目撃」した。
俺は見聞きしたものすべてを映像,写真,書面に残し、元の時代に戻る準備を整えた。
そしてタイム・マシンに「出発した日時」をセットして起動したその瞬間。
突然目の前が真っ白になり、気を失ってしまった…
-お、目が覚めたかな?-
そんな言葉が遠くの方に聞こえてきた。
その声に俺が目を開けると、そこは「ただ真っ白な場所」だった。
前後も左右も上下もない、とにかく真っ白な世界。
立っているのか横たわっているのかも判らない。
そして俺の顔を覗き込む男が一人。
「…ここは?」
俺が聞くと、男は答えてくれた。
曰く、
「ここは『どこでもいつでもない所』で、タイム・トラベラーが『歴史の記録』を持ち帰ろうとするとここに送り込まれ、元の世界に戻る方法はない」
のだそうだ。
「ほら、『歴史の謎が解明された』って話、全然聞かないでしょ?」
男はそう言い、
「実は僕も、そうしようとしたクチでね」
と続けた。
真っ白な世界に目が慣れると、俺たち以外にも人間がいることに気づいた。
いつの時代のどこの世界の人間かはわからないが、少なくない人数がいるようだ。
…それだけ歴史の謎を解明しようとして、「失敗」した者がいるということか…
妙に納得していると、足元に何か映り始めた。
そこにはさっき俺が見てきた「歴史の出来事」が、映像として流されていた。
今度は胸の前あたりで、これも俺がさっきまで見てきた「別の時代の歴史の出来事」が流れ始めた。
どれも「リアルタイムで起こっている出来事」なのだろうか…
「永遠の歴史の目撃者」になった俺は、周りで延々と流れる映像を見続けていた…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる