51 / 57
スマートな生活
しおりを挟む
スマートフォンにセットしたアラームの音で、俺は目を覚ます。
スマートスピーカーにお気に入りの音楽をかけるよう命令し、朝食を食べて身支度をしながらスマートウォッチに今日の予定を登録して、出社の準備完了だ。
今や世間に「スマート機器」が数多く出回って、生活に欠かせない道具の一部となっている。
スマートフォンは様々な情報を伝えてくれ、スマートウォッチは予定を逐一知らせてくれる。
電子レンジはおすすめメニューを伝えてくれ、スマート冷蔵庫は中身の趣味期限まで知らせてくれる。
世の中の生活は「スマート機器」で成り立っていると言っても過言ではない。
『最近睡眠時間が減っているようです』
スマートフォンの健康管理アプリが伝えてくる。
最近仕事が忙しいせいもあって、確かに生活が少し乱れがちになって来てはいた。
当然気にしているが、なかなかそうも行かない。
どうやら、俺自身の生活がスマートにはなりきれないようだ。
そしてそんなある日…
『昼食の時間です!』
会議中、突如俺のスマートフォンが叫んだ。
いつも通りの時間に昼食に行かないせいか、スマートフォンの健康管理アプリが「警告」を発したのだ。
それが引き金になって会議は終了になって昼食を食うことができたが、一緒に課長からお小言も食らってしまった。
“どういうつもりだ?”
仕事から帰ると俺はアプリを「問い詰め」た。
『いつもの時間より遅れていたので、お知らせしました』
当たり前のように返事を返した。
言っていることは解らないでもないが、また今日みたいなことが起こってもいい気分はしないので、アプリを削除した。
『昼食の時間です!』
今度はスマートウォッチが叫んだ。
クラウド上にデータが保存されているようで、今度はスマートウォッチが知らせてくれた。
スマートウォッチからもアプリを削除した。
『お風呂の時間です』
給湯システムが勝手に湯船にお湯を張る。
『温め時間が足りません』
電子レンジがぬる燗を熱燗にする。
『ネットを見過ぎです』
パソコンが勝手に電源を落とす。
『就寝時間です』
スマートスピーカーが音楽を止めて、電気を消す。
少しでも「いつもより違ってくる」と、揃いも揃って俺を「いつも通り」に動かそうとするようになった。
これらの機器をスマートに使っていると思っていたが、実は俺が使われていたのかもしれない。
いつかスマート機器に管理されるようになるのだろうか。
真っ暗な部屋の中で、俺はそんなことを考えていた…
スマートスピーカーにお気に入りの音楽をかけるよう命令し、朝食を食べて身支度をしながらスマートウォッチに今日の予定を登録して、出社の準備完了だ。
今や世間に「スマート機器」が数多く出回って、生活に欠かせない道具の一部となっている。
スマートフォンは様々な情報を伝えてくれ、スマートウォッチは予定を逐一知らせてくれる。
電子レンジはおすすめメニューを伝えてくれ、スマート冷蔵庫は中身の趣味期限まで知らせてくれる。
世の中の生活は「スマート機器」で成り立っていると言っても過言ではない。
『最近睡眠時間が減っているようです』
スマートフォンの健康管理アプリが伝えてくる。
最近仕事が忙しいせいもあって、確かに生活が少し乱れがちになって来てはいた。
当然気にしているが、なかなかそうも行かない。
どうやら、俺自身の生活がスマートにはなりきれないようだ。
そしてそんなある日…
『昼食の時間です!』
会議中、突如俺のスマートフォンが叫んだ。
いつも通りの時間に昼食に行かないせいか、スマートフォンの健康管理アプリが「警告」を発したのだ。
それが引き金になって会議は終了になって昼食を食うことができたが、一緒に課長からお小言も食らってしまった。
“どういうつもりだ?”
仕事から帰ると俺はアプリを「問い詰め」た。
『いつもの時間より遅れていたので、お知らせしました』
当たり前のように返事を返した。
言っていることは解らないでもないが、また今日みたいなことが起こってもいい気分はしないので、アプリを削除した。
『昼食の時間です!』
今度はスマートウォッチが叫んだ。
クラウド上にデータが保存されているようで、今度はスマートウォッチが知らせてくれた。
スマートウォッチからもアプリを削除した。
『お風呂の時間です』
給湯システムが勝手に湯船にお湯を張る。
『温め時間が足りません』
電子レンジがぬる燗を熱燗にする。
『ネットを見過ぎです』
パソコンが勝手に電源を落とす。
『就寝時間です』
スマートスピーカーが音楽を止めて、電気を消す。
少しでも「いつもより違ってくる」と、揃いも揃って俺を「いつも通り」に動かそうとするようになった。
これらの機器をスマートに使っていると思っていたが、実は俺が使われていたのかもしれない。
いつかスマート機器に管理されるようになるのだろうか。
真っ暗な部屋の中で、俺はそんなことを考えていた…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。




ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる