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3.中二病異世界へ飛ぶ 後編
しおりを挟む辺りを見渡すと中世ヨーロッパの街並みのような如何にも『異世界』らしい建造物が立ち並んでいた
「どうやら、本当に来たようだな...」
俺が本来生まれるはずだった世界。
この世界は俺が本来いるはずの世界。
その世界に来れただけで思わず口元が緩む。
「ふはははは!ついに我が持つ闇の力を使うときが来た!!」
「さあ、どんな強敵でもこの我が討ち滅ぼしてくれよう!!」
この世界に来れた喜びが思わず言葉となって飛び出す。
それも当然、あの世界では俺の力を発揮する機会が得られなかった。
だ が、この世界は別だ。
魔物や魔王力を発揮できる敵がいっぱいいる。
早くこの力を使いたい。試したい。
そんな好奇心とも呼べる期待が俺の心を渦巻いた。
「だが、その前にあの女神からもらったスキルを確認せねばな。」
創造神アテナから授かった魔王を討ち滅ぼす力。
"創造神アテナの加護"
そして付属スキル"創生"
まずはこの加護とスキルについて詳しく知っておく必要がある。
この世界に来る前に創生についてのある程度の能力は説明されたが今一度確認しておくことにした。
「えっと、ステータスオープン」
そう言うと目の前にステータスプレートが現れた。
「なになに..」
─────────
スキル名 "創生"
能力
ありとあらゆる物、生物、スキル、魔法を具現化または作成できる。
───────────
「ふむふむ。」
改めて見てもやはりこの創生と言うスキルはかなりのチートのように思える。
これさえあればこの世界を征服するのも容易いのではないかと思えるほどのチートさだ。
「あと女神の加護だったかな。それも見てみるか。」
そう言うと俺はステータスプレートに記されてあった創造神アテナの加護という項目に指を当てた。
───────
スキル"創造神アテナの加護"
能力
取得した直後に付属スキル創生を取得し使用可能になる。
──────
「なるほど。どうやらこのスキルは創生を取得する為だけのスキルのようだな。」
スキル譲渡の為だけにあるスキル。
大体のことを理解できた俺はスクロールし閉じるボタンを押そうとしたのだが
まだ下の方に文章が書き綴ってあった。
─────
──なお、
創造神アテナの加護を持つものは創造神の名前を呼ぶと創造神とのテレパシーによる会話が可能となる。
───────
これは驚いた。
あの女神とこの世界でも会話ができるのか。
さすがはアテナの加護とでも言うべきか。
俺は一先ず女神と話をするために手順に従い"創造神アテナの加護"を行使した。
「アテナ!」
名前を唱えて直ぐに脳内に女の話し声が流れてきた。
ーー何ですかもう根をあげたのですか?言っておきますが今更やっぱり断るとかは通じませんから
この声には聞き覚えがある。
この嫌味ったらしく煽り混じりの嫌な感じでだけども心が落ち着く透き通る声。
女神アテナだ。
「ふはははは!そんなわけなかろう! スキルの使い方の確認をしたまでのことだ。」
ーーあー。そうですか。それではもう切ってよろしいでしょうか?
「待て待て待てい!」
俺との会話を直ぐに終わらそうとしている女神を必死の思いで止まらせた。
ーー何ですか。私は神なので忙しいんですよ。あまりあなたに構ってあげられる時間はありません。
言葉を吐くたびに俺をイラつかせるこの女は果たして本当に女神なのだろうか。
仮に女神とするなら悪神?それとも性格ブス神?
こっちの方がしっくりくるのではないだろうか。
まあこの際どっちでもいい。
話を本題に戻さねば。
「俺はこれから何をすればいいんだ?」
この世界に送られた目的が魔王討伐なのは分かるが直ぐに魔王討伐とはいかないだろう。
ならばここで俺は何をすればいいか。
初めてきた世界。初めて来た町。
右も左も分からない今頼れるのはこの性格ブス神だけなのだ。
ーーそんなこと自分で考えてくださいよ。まあ、とりあえず定番で言えば冒険者ギルドに行く。じゃないですかね。
「ああ!そうか!」
どうやら俺はここが異世界であることをすっかり忘れてしまっていたようだ。
異世界それは即ち冒険者!!
どんな異世界ものでも最初はギルドを目指すものだった。
そんな簡単なことを忘れていたとは
「ふっ。我が最強な故の油断か。」
ーーはいはい。すごいですねー。もう切ってもいいですか?
「それでは我は冒険者ギルドへ行くとしよう。」
そう言い残し俺は女神との会話を切った。
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