エッセイ集を出せば売れる、と聞いたから。

:ななこ。@保育士、休職中

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追憶:保育士として子ども達とのやりとり 他

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製作の時間。
今日は色鉛筆を使って(テラスから見えるもの)を描く。
テラスから見えればなんでもOK
雲だろうが、たまたま通り過ぎゆく車でもいいし、通行人のおばあちゃんでもいい。
見える!と言い切れるのであれば園庭のありでもOK
基本的になんでもOKという訳だ。
ただ、お題は添える。
このお題があるか、ないかで筆は進まない子がいるからだ。

(何描いてもいいよ)
だと、何を描いていいのか分からなくなってしまう子がいるから
敢えて(テラスから見えるもの)という日抽象的なお題を設ける。
だから何を描いても(テラスの○○から見えたから)と言える訳だ。

さぁみんなは何を描くのかしら。
楽しみになっている私を露知らず、子ども達は各々好きな鉛筆を手に取り
描き始める。
色彩についても今回は指定していない。
好きな色で描いていい。
カブトムシがピンクだっていいし、
滑り台が真っ黒でもいい。
今回は「描くことを楽しむ」だからだ。

「せんせー」
「どっしたの?」
「黒鉛筆ない?」
「あー売り切れか~…探すから、ちょっとだけ待ってくれる?」
「いいよー」
室内を探すも黒鉛筆の在庫はなさそう。
ただの鉛筆ならある。(一応聞いてみるか)その程度の感覚だった。

「ごめん、黒鉛筆今はないから普通の鉛筆でもいい?」
「え! 鉛筆貸してくれるの!」
「うん? 普通の鉛筆だけど…」
「やったー! ありがとーせんせー!!」

何がそんなに嬉しいのか良くはわからないが喜んでくれたようで何より。



と思ったら、次から次へと
「鉛筆貸して!」
と子ども達に詰め寄られた。
なんでも鉛筆は小学校の持ち物だから、色鉛筆とは一線を引くらしいとのこと。
だからA君はあんなに喜んだのか。

となると…
テラスに目を向けると、案の定A君は借りた鉛筆を皆に見せて回っていた。
やられた。



その日の製作作品の題材は7割方(鉛筆)だった。
まぁ確かにみんな手に持ってるしな、妥当だよ!!

なんか自滅した気がする私だった。
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