エッセイ集を出せば売れる、と聞いたから。

追憶：保育士として子ども達とのやりとり 他

▫️俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

園庭でかけっこ。
みんな走るのは大好き。
直線はぐんぐん加速する。
そのままコーナーに入ると、思わず足を滑らしそうになる子もいる。
体制を整えたり、少し減速するなど年齢が上がるにつれ
体幹の向上や思考力が上がっていることを感じさせる。

でも、やっぱり転んじゃう子もいる訳で。

ズサササ…
コーナーを曲がりきれず盛大に転んでしまったb君。
立ち上がることも出来ず、その場で泣き崩れる。
近くの職員や一緒にかけっこしていたであろう友達が駆け寄ってくる。

「大丈夫？？」
「痛くない？」
「痛いよなぁ…」
「血出てるよ」

それぞれがb君に声をかける中、救急箱を取りに行く職員。
涙で顔がぐちゃぐちゃになっている様、
膝から血が出ている様に
大慌てでティッシュを取りに行く子ども。
頭を優しく撫でる子もいる。

そんな中、gちゃんだけがb君の手をずっと握っていた。



加減が今ひとつ分からず、それでも心配しながら涙を拭う子や
「大丈夫だよ」と声をかけ続ける子
職員の処置を受けている間も
gちゃんだけはずっとb君の手を握っていてくれた。



彼女はきっと有望な保育士に…
いや、心の優しい・人の痛みが分かる人になることだろう。