エッセイ集を出せば売れる、と聞いたから。

:ななこ。@保育士、休職中

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追憶:保育士として子ども達とのやりとり 他

▫️大人には見えない

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昼食後、幼児クラスともなれば食後の歯磨きがある。
家から持ってくるのは歯ブラシと、コップ、そしてこの2つを入れる巾着。
洗面台に向かい、ブラシで歯を磨く。
もちろん歯磨き粉:研磨剤は使用せず、
純に食べ残しをブラッシングするということになる。

各所洗面台には鏡もついており、鏡と睨めっこしながら
歯の様子や自身のブラッシングの姿をもいるのだけど…

b「(わちゃわちゃガヤガヤ…)」
な「歯磨きしている時はお話は危ないよー、喉に歯ブラシ刺さるぞー」
b「はぁーい」

どうしても話をしたり、
ゴソゴソしてしまう為目は離せない。
そんなとある日。

b「出来たよー」
な「はっや!(まだ1分も経ってないやんか)ちゃんと出来たの?」
b「できた、できた」
な「(疑いの眼差し……)」
b「ちゃんとやってで。やったよなぁ?」

隣にいた友達に確認を促す。

b「やってたでー」
b「ほらほら!」
な「先生も後ろから見てたんだけどなぁ?」
b「めっちゃ早くやったからな」
な「どれくらい早かったん?」
b「え? こんな感じ」

と、歯ブラシを手に持ち歯磨きの様子を再現する。

な「あんまり早く見えないけど…」
b「よく見えや」

もう一度歯ブラシを左右に動かそうとするタイミングで

な「口に入れながらやってくれたら、わかるかも」
b「ああ、じゃあ」
b「ごんながんじ(シャコシャコシャコ)」
な「ちょっと分かりにくいなぁ、お話するのやめてやってみてよ」
b「(コクリ)」

間無心に磨く男の子。それを眺める私。



暫く経ってから、歯ブラシの手を止め

b「こんな感じ。な、やってたやろ」
な「確かに。先生がちゃんと見えてなかったみたい。ごめんね💦」
b「だから言ったのに…
  大人には見えないくらい早くやっただけやねん」



去り際の心の声を聞き、してやったりと心の内でほくそ笑む私だった。
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