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最近、恋人の様子がおかしいです(泣)
しおりを挟む「好きや、付き合ってくれへんか?」
カエデからの衝撃的な発言からどのくらいたったのだろうか
昨日のことのようにも、はるか昔のことにも思える
勿論答えは「はい」
嬉しくて嬉しくて…
これで大好きなカエデを独り占めできる
そう思っていたんだけど…ね…
~数日前~
今日はレコーディングの日
僕、渉は他の3人よりも早くスタジオについてしまい時間を持て余していた
しばらく待っていると廊下から明るい話し声が聞こえてきた
「おっはよ~~~!!!!!!」
「大樹、うっさい。渉おはよー」
「おはよぉ、相変わらず大樹は元気やなぁ…」
でしょでしょとニコニコする大樹の横で「いや、ただの騒音だろ」とつぶやく水輝
相変わらず微笑ましいコンビ
それよりも…カエデまだかなぁ…
最近、お互い忙しくて連絡もろくにとれてないんだよな~…
ガチャ
「おはよ~、…俺が一番最後だった感じ?」
「あ!カエデや!!!遅いぞ~!!」
「いやいや、カエデは時間通りに来ただけだから。早いの俺らだから。」
久々に見たカエデは相変わらずカッコよくて目がくらんでしまいそうだ
「…っ。カエデ…おはよ…!!」
「渉さん、おはよ。…あ、さかた話しあるんだけどいい??」
「ん~??いいよぉ~!!」
え、それだけ?チラッとこっち見て挨拶しただけ??
僕ら付き合ってるんだよね…
久々に会ったんだよね…
そんな思いが胸をチクチクと痛めつけた
───────────────────
レコーディングがやっと終わった
先に終わった3人のいる部屋に戻ろうと歩いていると廊下からでもわかるような楽しそうな話し声が部屋から聞こえた
内容までは聞き取れないものの、声の雰囲気だけでそれが十分伝わってきた
「皆どうしたん?何の話ししてるん??」
僕が笑いながらそう聞くと
皆はピタリと話すのをやめてしまった
「………………渉さんには関係ない話。ね、水輝?」
「え…あぁ、うん」
「…そ、そんなことよりさぁ!!!~~…」
僕はその場から動けずにいた。
「関係ない話」
そうハッキリとカエデはいった。
なんなんだよ他の2人には関係あって僕には関係ない話って…避けられてるみたいじゃん…
あれ、もしかして…カエデに嫌われた?
…そんなことないよね
「あ~…、そうなんですか、、そんじゃ僕はお先に帰りますね~…。」
どうしてもその場にいたくなくて足早に部屋から出ていった
「なんなん…関係ない話って…」
そうつぶやくほど虚しく思えてくる
───────────────────
[カエデ、僕のこと嫌いになったん?]
どうしても聞きたくて
でも、怖くて聞けなくて
文章を打っては消しての繰り返しを昨日からずっと続けている僕
結局聞く勇気なんてなくて気分転換に出かけることにした
───────────────────
「あ、この服…カエデに似合いそうだな…」
カエデのことを忘れるために来たはずなのに、ついついカエデのことを考えてしまう
だめだなぁ…僕はカエデがいないと本当にやっていけないかもなぁ…
「情けない…」
特に目的もこれといってなく、ただ歩き続けた
「…あれって…」
絵に描いたようなオシャレなカフェ
そこには、カエデがいた
「カエデ…!………えっ……」
駆け寄って話しかけようとしたときだった
カエデの向かいの席にショートカットの女性が座ったのだ。しかもとても親しげに2人は笑いあっていた。
どう見ても仕事でなんかじゃない。
声が聞こえる
「~~…好き…~」
周りの音がうるさくて上手く聞き取れなかったけど、それだけは聞こえた
カエデは恥ずかしそうに顔を赤らめながら笑った
もう嫌だ
外になんかくるんじゃなかった
カエデ…なんで…
僕は嫌われたの?飽きられたの?
カエデにとって不必要な存在なの??
じゃあなんで…あんな言葉をくれたの…
家に帰るなり嗚咽しながら布団に泣きついた
「僕は…どうすればいいん…??」
───────────────────
よりによって今日も打ち合わせでBLOOM全員が集まる日
もういっそ体調不良つかって休んじゃおっかな…
でも、他の人に迷惑はかけたくない…
それに…
カエデにちゃんと聞きたい
「…よしっ」
頬を叩き気持ちを切り替える
「おはようございまーす…」
ドアを開ける
そこにはカエデがいた
「…っ」
「渉さん?おはよ~」
言わなくちゃ…今しかない、、
「「あのさ、」」
声が被る
今までのことを考えればカエデが話したいことなんて予想がつく
きっと…別れ話なんだろう…
だからこそ僕は…
「僕からでいいですか?」
「お、おう…」
聞くんだ
昨日のこと、そして今僕のことをどう思ってるのかを
聞くんだ…
「…っ、あ、あのっ!!…その…」
「どうした…??」
なかなか言葉がでてこない
「…カエデは…僕のこと嫌いですよね…僕のこと────」
そこまで言ったところで自分の目が熱くなっていくのがわかった
「ぼぐのごど…うぅ…っ……ぐすっ…」
涙が次から次へと零れていく
カエデの前で大号泣なんて恥ずかしいな…
でも、止めることはできない
「ま、ま、まって!?何で泣くん??それに俺は渉さんのこと嫌いじゃないで??」
「えっ…??」
焦るカエデとポカンとする僕
「だ、だって…昨日…女の人と一緒に…」
「え?昨日は…姉ちゃんに相談があって話してただけやけど…??」
「え??…お姉さん?…ショートカット?」
「そうそう」
「でも!…最近…僕のこと避けてますよね??」
「それは…理由があって…」
きまりが悪そうに斜め下を向くカエデ
「…理由…教えて下さい」
「……こっちきて」
僕の腕をしっかりと握り、引っ張った
連れてこられた先は別の部屋の前だった
「開けて?」
「え…?あ、はい…」
よくわからないままドアノブを回す
パァン!!!!!!
「「「渉おめでと~!!!!!!」」」
「は…??」
目を丸くしている僕を中にいた水輝と大樹が部屋に引っ張りこむ
「いやいや…は??じゃねーよ渉!」
「いやぁ、おめでたいなぁぁぁ!!!!」
「渉さん、まだ気づいてへんの?今日は何月何日なん??」
そう言われ、さっきまでフリーズしてた頭を再回転させる
今日は…あっ…
「僕の誕生日…」
「えぇっ、渉今気づいたん!?!?!?おっそぉ~!!」
「大分まえから準備してたんだかんな?大樹なんて行動が不自然すぎていつバレるかヒヤヒヤしてたよ…」
「ちょ、水輝!?俺は上手いことやってたで!?!?!?」
「俺も渉さんと話すとバレそうで怖かったから話せれんかったわ」
そう言いながら苦笑するカエデ
だから…僕と話してくれんかったんだ
全部、僕の勘違いだったんだ…
「よかった…」
「カエデなんてさ、一番張り切って準備してたんだぜ~?」
「そうそう!!めっちゃ楽しそうにやっとったやんなぁ!!」
「ちょ!?そーゆーの恥ずかしいからやめてくれへん!?!?!?」
「えっ、カエデが…??」
驚く僕にカエデはバレたなら仕方ないというような感じで話しはじめた
「まぁ、渉さんのためやし……2人には勿論、姉ちゃんにもプレゼント何がいいか相談したりしてな…逆に『渉って人どんな人なの!?』とか『何でその人にそんな一生懸命になるの??』なんて質問攻めされたんやけどな」
久々に見たカエデの笑顔
それだけで僕の心は幸せで満ち溢れた
「それで…何て答えたん??」
「えっ!…それ…聞く??」
「気になるやん」
「俺も気になる!!!!!!」
「カエデ、教えろ。リーダー命令。」
「えぇっ!?…周りに気を配れるいい人で俺の…好きな人……~っ」
みるみる赤くなっていく僕の顔
カエデの耳も真っ赤に染まっていた
後ろでは冷やかしの声も聞こえてくる
あの時「好き」って言ってたの僕のことやったんか…
幸せやなぁ…
「…僕もカエデのこと大好きやよ」
「わ、渉!?!?!?/////」
カエデ…驚きすぎ
見ててものすごくマヌケな顔してる
「…大樹、俺ら邪魔みたいだな…」
「せやな!じゃ、イチャイチャ終わったら教えてな~!!!!」
「え、ちょ…待って!?!?!?」
この後、僕たちはBLOOM全員で僕の誕生日パーティーなるものをはじめたけど…
まぁ、このメンバーでまともな誕生日パーティーになるはずはなかったのであった
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