隠されし魔法詠唱者

白羽翔斗

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始まり

1-7 学校初日 1

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「あの方が、シャルロット姫か……」

 廊下を歩いているだけでも、周りの目が凄い。流石、姫様と思いつつ、護衛をする。しかし、近づくいてくる者はいなかった。

 高嶺の花と言う言葉があるように、姫様は地位もそうだが、その雰囲気は、まさに、一国の姫にふさわしい堂々たる態度。

 いつもは明るい方だが、こういうときの変化は凄いとしか評せない。

 これが、慣れ、と言うやつだろうか?
 王城で訓練をしているのは知っていたが、これほどとは全く思っていなかった。

「ミスラ、ついて来て下さいね」

「はい、分かってます」
 
 周りから声が聞こえてくる。
 「アイツは誰だ?」、と。
 
 さらに、よく分からないのは、僕を皇族だと思っていることだ。

 彼らには護衛の発想はないのだろうか……まぁ、知られないのは好都合なので良いが……

 
 教室に着いた。
 クラスメイトとは、新鮮だ。
 こんなにも人々が、狭い教室でうじゃう……いるのは、初めてだった。
 教室には、椅子と机が並んでいる。

「そろそろ、着席してください」

 教官が教室に入って来るなり、そう呼びかけた。

 他の生徒が、どんどん椅子にに座るなか、僕はどこに座ろうか、しどろもどろしていると……

「ミスラ、そこに座りましょう」

 姫様はそう促して、隣の椅子に座ることになった。


 少し時間が経ち、模擬試合で強かった白髪の少女が教室に入ってきた。

 こちらを見るなり、目を見開いて、近寄ってくる。
 
「姫様……」

「あら、シラ」

 姫様は顔見知りのようだ。白の髪の物静かな雰囲気を漂わせる少女。シラ――どこかで耳にしたことのある、名前だった。

「入学試験は、どうでしたか?」

 この質問で明らかになった。

「ん……みんな……弱かった……」

 同業者だ。

 あのときの魔法感知は、この娘の発動した魔法を感知したということだろう。

「そうですよね。あなたに勝てる人なんて、一人くらいしか、思い当たりません」

「ん……絶対勝つ……!」

 シラと、呼ばれた少女は拳を握りそう答えた。

「しかし、試合であなた負けていませんでしたか?」

 姫様はいたずらっぽく問う。

「ん……使う魔法を縛りしてたから……あと、移動も制限してたし……」

 シラは、頬を膨らまし、言い訳する。そして、さらに、続ける。

「あの人に負けなければ、他の人に負けてもいい……」

 つまり、絶対に負けたくない人がいると言うことか……

「でも、戦ったこと、ないのですよね?」

「ん……いつか、戦ってもらう……」

 そして、シラは、間を開け、こちらを指差し姫様に聞いた。
 
「それより……姫様……この人……誰……?」

 怪しいような人を見る目で僕を見て、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
 
「ふふ、私の護衛ですよ!」

 突如として姫様の笑いながら、明るく話した。
 
「そう……なの……」

 妙にがっかりされ、そして、言う。

「私、一人って聞いてた……」

 僕も一人かと思っていたましたよ。

「ふふ、そうですね。一人ではなかったですね」

 僕にも言っているような、口調。
 わざと話さなかったようだ。

「それじゃあ……姫様、行くね……」

「はい、ありがとう」

 あっ、今、思い出した。
 シラと言う少女のことを……

 王国に仕える優秀な魔法師と聞いたことがある。
 成功率の乏しい依頼を専門に行う。

 そして、どんな依頼も必ず成功させる。
 凄腕である、と。

 あの試合のときも、手を抜いていることが、分からなかった。流石だ、と、言わざるを得ない。

「ミスラ、今の娘、知ってましたか?」

「はい、優秀な魔法師だとか……」

「ええ、実力は相当ですよ」

 この歳で凄いなぁ。 

 「ふふふ」と、姫様は僕を見て笑い、視線を前にした。

 その意味が僕には分からなかったが、姫様が話さなかったために、知ることができなかった。
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