スピリットコースター

ヤギー

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第一話 セカンドライフの決意

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 人間、タイムリープすると体感でわかるらしい。
 時は二十年巻き戻り、俺は三十歳から十歳へと若返っていた。時間がもどったのだから影響は俺だけじゃなく、世界全体に及んでいて、父も母も妹も若返っているし、テレビの内容も街の風景も、いつか見た懐かしい倒錯感があった。

 今の俺は小学四年生。いつの俺も名前は新宮櫂(しんみやかい)
 今は夏休みだ。
 数日で懐かしさを味わい尽くした俺は、未来のことを考えるようになっていた。
 モラトリアムの間は、それはそれは楽しいこと尽くめだろうが、それが終わればまた苦痛の日々を繰り返すことになってしまう。それでは意味がないのだ。
 それを何とかしたい。否、何とかする。
 人生二周目ならできるはずだ。未来を知っているという裏技が俺にはある。

 心の内にはワクワクと不安。若干不安の方が勝っていた。
 どうせ上手く行かない。途中でいつものように頓挫する。その染み付いた考え方が取れない。自己肯定感の低さ。
 まあ、事がことだけに、いつものようには行かないという直感はある。
 小、中、高それぞれ三年。合わせて約九年で何とかする。具体的には金。金が金を呼ぶ状況を作り、楽して生きていける土台を用意する。

 よし。まずはお小遣いをねだって来よう。
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