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夏の怪談 Youtuberに嵌められた恐怖体験
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これはわたしが大学生だった頃の話です。
ある日、サークルの活動が終わった後、わたしは友人と二人でキャンパスから最寄り駅まで歩いておりました。駅前にはいつものようにティッシュ配りの人が立っておりまして、わたしは友人とのお喋りに興じながら20代に見える男性からポケットティッシュを受け取りました。
しかし、ふと貰ったポケットティッシュを見ますと、ポケットティッシュの中に入っている広告が全く見慣れないものだったので、わたしは思わずその広告を凝視してしまいました。
濃い緑色の紙に、真っ黒な文字で「恐怖の館」と大きな文字で書いてあり、その下にはとても小さな文字で住所が書かれていたのです。
わたしがその広告を友人に見せると、わたしと同様、友人も興奮を覚えたらしく、もう遅い時間だったのですが、いまからこの「恐怖の館」に行ってみようという話がすぐに纏まりました。わたしも友人も、馬鹿な男子大学生だったものです。
わたしたちは友人の自動車を使い、指定された住所へと向かいました。
わたしたちが向かったのは、街の中心部からはずいぶん離れた場所で、人口減少著しい、寂れた地域でした。指定された住所には木造のあばら家が建っており、壁には蔦(つた)が生い茂っていて人の気配はなく、きっと空き家なのだろうとわたしは思いました。
街灯もほとんどない場所で、夜の時間にこんな建物へと侵入することに対してわたしはかなりの恐怖を感じておりましたが、友人の手前、意気地のないところを見せるわけにはいきません。引き返そうなどと言うことはできず、わたしたちはそのあばら家に入っていきました。
スマートフォンの明かりを頼りに、わたしたちは恐る恐るあばら家の中を探索します。歩くたびに床がみしみしと鳴りました。雑誌や衣服、食器など、生活用品が散乱しておりまして、足元を照らしながら歩いていても、時おり物に足をぶつけてしまいます、そのたびに、わたしたちは息を飲んだり、小さな悲鳴をあげておりました。
しかし、しばらくすると恐怖も薄らいできます。何も起きないじゃないか、本当にしょうもない悪戯なんじゃないか。そんな雰囲気が漂い始めたとき、突然、女性の悲鳴が大音量で背後から聞こえました。条件反射的に振り返ると、血まみれの服を着た女性の血まみれの顔が目の前にあったのです。
そのあばら家からどのように脱出したのか、記憶は定かではありません。近くにとめていた自動車に乗り込んで急発進した頃には、わたしは全身に汗を書いておりました。後部座席にあの女が乗り込んでいるのではないかという妄想にとらわれ、友人と一緒に何度も何度も後部座席を振り返りながら自宅に帰りました。もちろん、その晩は一睡もできませんでした。
一週間ほど経ったある日、Youtubeを見ていると、ある動画がバズっていました。といっても、良いバズりかたではなく。不謹慎だ、犯罪だと叩かれていたのです。動画を見てみると、そこには「恐怖の館」に侵入するわたしたちの姿が映っておりました。そう、わたしたちは炎上系Youtuberにまんまとはめられたのです。
へっぴり腰であばら家へと侵入し、恐る恐るあばら家の中を探索するわたしたち。仕掛人があらかじめ録音しておいた女性の悲鳴を大音量で再生すると、わたしたちは情けない叫び声をあげながらあばら家から逃走していきます。
動画を見終わった後、悔しさ、恥ずかしさと同時に、わたしは違和感も覚えていました。目を閉じてあばら家に侵入したときのことを思い出すと、わたしは違和感の正体に気づきました。
その動画には、血まみれの女性など全く映っていなかったのです。
ある日、サークルの活動が終わった後、わたしは友人と二人でキャンパスから最寄り駅まで歩いておりました。駅前にはいつものようにティッシュ配りの人が立っておりまして、わたしは友人とのお喋りに興じながら20代に見える男性からポケットティッシュを受け取りました。
しかし、ふと貰ったポケットティッシュを見ますと、ポケットティッシュの中に入っている広告が全く見慣れないものだったので、わたしは思わずその広告を凝視してしまいました。
濃い緑色の紙に、真っ黒な文字で「恐怖の館」と大きな文字で書いてあり、その下にはとても小さな文字で住所が書かれていたのです。
わたしがその広告を友人に見せると、わたしと同様、友人も興奮を覚えたらしく、もう遅い時間だったのですが、いまからこの「恐怖の館」に行ってみようという話がすぐに纏まりました。わたしも友人も、馬鹿な男子大学生だったものです。
わたしたちは友人の自動車を使い、指定された住所へと向かいました。
わたしたちが向かったのは、街の中心部からはずいぶん離れた場所で、人口減少著しい、寂れた地域でした。指定された住所には木造のあばら家が建っており、壁には蔦(つた)が生い茂っていて人の気配はなく、きっと空き家なのだろうとわたしは思いました。
街灯もほとんどない場所で、夜の時間にこんな建物へと侵入することに対してわたしはかなりの恐怖を感じておりましたが、友人の手前、意気地のないところを見せるわけにはいきません。引き返そうなどと言うことはできず、わたしたちはそのあばら家に入っていきました。
スマートフォンの明かりを頼りに、わたしたちは恐る恐るあばら家の中を探索します。歩くたびに床がみしみしと鳴りました。雑誌や衣服、食器など、生活用品が散乱しておりまして、足元を照らしながら歩いていても、時おり物に足をぶつけてしまいます、そのたびに、わたしたちは息を飲んだり、小さな悲鳴をあげておりました。
しかし、しばらくすると恐怖も薄らいできます。何も起きないじゃないか、本当にしょうもない悪戯なんじゃないか。そんな雰囲気が漂い始めたとき、突然、女性の悲鳴が大音量で背後から聞こえました。条件反射的に振り返ると、血まみれの服を着た女性の血まみれの顔が目の前にあったのです。
そのあばら家からどのように脱出したのか、記憶は定かではありません。近くにとめていた自動車に乗り込んで急発進した頃には、わたしは全身に汗を書いておりました。後部座席にあの女が乗り込んでいるのではないかという妄想にとらわれ、友人と一緒に何度も何度も後部座席を振り返りながら自宅に帰りました。もちろん、その晩は一睡もできませんでした。
一週間ほど経ったある日、Youtubeを見ていると、ある動画がバズっていました。といっても、良いバズりかたではなく。不謹慎だ、犯罪だと叩かれていたのです。動画を見てみると、そこには「恐怖の館」に侵入するわたしたちの姿が映っておりました。そう、わたしたちは炎上系Youtuberにまんまとはめられたのです。
へっぴり腰であばら家へと侵入し、恐る恐るあばら家の中を探索するわたしたち。仕掛人があらかじめ録音しておいた女性の悲鳴を大音量で再生すると、わたしたちは情けない叫び声をあげながらあばら家から逃走していきます。
動画を見終わった後、悔しさ、恥ずかしさと同時に、わたしは違和感も覚えていました。目を閉じてあばら家に侵入したときのことを思い出すと、わたしは違和感の正体に気づきました。
その動画には、血まみれの女性など全く映っていなかったのです。
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