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花占い
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ヒラリヒラリとバラバラにされた花びらが舞う。
「言う、言わない、言う、言わない、言う……」
「茜。またこんなとこ来てたのか?」
「うん。長い間放置されてた空き家だもん。草花まで生えてるし、誰も住んでないよ」
ほら、とさっきまで花占いをしていた花を見せる。
それに対して頭を振る目の前の少年。――――快斗。
「毎回毎回迎えにくるのは俺なんだけどな」
「毎度毎度苦労かけるねー」
おばあちゃんのような声色。当然からかっている。
「……もう迎えに来ねぇから」
「嘘、嘘ですごめんなさい快斗様ぁ……」
「今の物言いから明らかにふざけてるだろ!」
快斗は怒ると面白いのでついついからかってしまうのだ。
これを言うとやっぱり怒られる。
「ほら、帰るぞ」
「あ、ごめん。あと一分待って」
「はぁ?」
「お願いだから」
と胸の前で手を合わせれば、一分だけだからな、としぶしぶ許してくれた。
「――――言う、言わない、言う、言わない、言う――――言わない……」
またか。
いつだって最後の花びらは『言わない』で終わる。
花占いなんて信じなければ良いのかもしれない。
けれどそれでも、花占いに頼るのは……
『なあ、お前もやるか? 花占い』
『男の子なのに花占いなんてやってるの?』
『花占いは当たるんだよ』
『本当?』
『ああ。ほら、一緒にやらねぇか?』
『――――う、うん』
初めて会った日の会話が蘇る。
花占いに頼るのは――――私たちを引き合わせてくれた"きっかけ"だから。
「言う、言わない、言う、言わない、言う……」
「茜。またこんなとこ来てたのか?」
「うん。長い間放置されてた空き家だもん。草花まで生えてるし、誰も住んでないよ」
ほら、とさっきまで花占いをしていた花を見せる。
それに対して頭を振る目の前の少年。――――快斗。
「毎回毎回迎えにくるのは俺なんだけどな」
「毎度毎度苦労かけるねー」
おばあちゃんのような声色。当然からかっている。
「……もう迎えに来ねぇから」
「嘘、嘘ですごめんなさい快斗様ぁ……」
「今の物言いから明らかにふざけてるだろ!」
快斗は怒ると面白いのでついついからかってしまうのだ。
これを言うとやっぱり怒られる。
「ほら、帰るぞ」
「あ、ごめん。あと一分待って」
「はぁ?」
「お願いだから」
と胸の前で手を合わせれば、一分だけだからな、としぶしぶ許してくれた。
「――――言う、言わない、言う、言わない、言う――――言わない……」
またか。
いつだって最後の花びらは『言わない』で終わる。
花占いなんて信じなければ良いのかもしれない。
けれどそれでも、花占いに頼るのは……
『なあ、お前もやるか? 花占い』
『男の子なのに花占いなんてやってるの?』
『花占いは当たるんだよ』
『本当?』
『ああ。ほら、一緒にやらねぇか?』
『――――う、うん』
初めて会った日の会話が蘇る。
花占いに頼るのは――――私たちを引き合わせてくれた"きっかけ"だから。
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