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その八十一
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「二人で話したいこととはなんだ?」
「特筆すべきことはありませんわ。ただ――――」
ラフィットに嫌がらせをしたかっただけで、とは言えないので曖昧に笑ってごまかす。
「しかし驚いたな」
「二人が婚約したということに、ですの?」
フェニルの言葉に「いや……」とジュークは首を振ると言う。
「大真面目な顔で冗談を言われるとは思わなかった」
「……あら。気付いていらしたの?」
ジュークなら騙されているだろうと思い込んでいたのだがどうやらジュークも気付いていたらしい。
「リタのあの指輪は、相当前から着けていたものだからな。さすがにわかるだろう」
「そうでしたのね」
つまり全員が嘘とわかっている中でラフィットただ一人が狼狽していたということだ。
(なぜかしら。今ほんの少しだけラフィットがかわいそうに思えたわ……)
とはいえ訂正してやるつもりなどさらさらないが。
「ジューク。今夜はここに泊まっていきますの?」
「もともとそういう話だっただろう?」
「え、ええ……そうね……」
ジュークの言葉は本当にただ言葉通りの意味で、フェニルは、本当に自分を好きなのかと疑いたくなってしまう。
(好意を持っている異性に誘うようなことを言われているのだから押し倒すくらいの気概をみせなさいよ)
フェニルに好意を抱いているとはとても思えないジュークに、どこか不安になる。
「本当に私のことを望んで妻にしたの? 私のことを愛してくれているの……?」
ぼそっと呟いてから赤面する。
「……じゅ、ジューク。今のは……」
慌てて弁解しようとジュークの方を向いたフェニル。
だがそこにジュークはいない。
視線をずらしていくと、ベッドで静かに寝息を立てるジュークが目に入った。
「特筆すべきことはありませんわ。ただ――――」
ラフィットに嫌がらせをしたかっただけで、とは言えないので曖昧に笑ってごまかす。
「しかし驚いたな」
「二人が婚約したということに、ですの?」
フェニルの言葉に「いや……」とジュークは首を振ると言う。
「大真面目な顔で冗談を言われるとは思わなかった」
「……あら。気付いていらしたの?」
ジュークなら騙されているだろうと思い込んでいたのだがどうやらジュークも気付いていたらしい。
「リタのあの指輪は、相当前から着けていたものだからな。さすがにわかるだろう」
「そうでしたのね」
つまり全員が嘘とわかっている中でラフィットただ一人が狼狽していたということだ。
(なぜかしら。今ほんの少しだけラフィットがかわいそうに思えたわ……)
とはいえ訂正してやるつもりなどさらさらないが。
「ジューク。今夜はここに泊まっていきますの?」
「もともとそういう話だっただろう?」
「え、ええ……そうね……」
ジュークの言葉は本当にただ言葉通りの意味で、フェニルは、本当に自分を好きなのかと疑いたくなってしまう。
(好意を持っている異性に誘うようなことを言われているのだから押し倒すくらいの気概をみせなさいよ)
フェニルに好意を抱いているとはとても思えないジュークに、どこか不安になる。
「本当に私のことを望んで妻にしたの? 私のことを愛してくれているの……?」
ぼそっと呟いてから赤面する。
「……じゅ、ジューク。今のは……」
慌てて弁解しようとジュークの方を向いたフェニル。
だがそこにジュークはいない。
視線をずらしていくと、ベッドで静かに寝息を立てるジュークが目に入った。
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