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その五十五

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 二人が部屋を出て行くと、フェニルは口に含んだそれを手に持ち確認する。

 それは鉄製の矢じりのようなナイフ。いや、もしかすると本当に矢じりだけを外したのかもしれない。

 それを使って何度も何度もロープを切りつけた。

 何十回かほどで片方のロープが切れる。同じようにしてもう一本のロープも切ると、手足の自由も確保できた。あとはこの部屋から出て行くだけだ。

 鍵をかけていった気配はないので、簡単に開くだろう。

 果たして、扉はいとも容易く開けた。あまりの容易さに拍子抜けしてしまうほどである。

 ラフィットもあのロープをフェニルが切れるとは思っていなかったからだろうとフェニルは推測した。

 城までは五十メートルほどで、かければ一瞬だ。

 しかし、どうすれば良いのだろう。

 このまま向かっても良いだろうか? それがわからない。
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