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その五十三
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「声が、震えていただろう」
「……よく気づきましたわね」
観念して涙目で睨む。
「手助けは、いるか?」
しばしの間悩んでフェニルは「いいえ」とはっきり口にした。
「……そうか。ならば餞別をやろう」
「……は?」
どのような意味か、と問うよりも前にフェニルは身動きが取れなくなった。
拘束されたわけではない。けれど心理的な意味で、身動きが取れなかった。
ジュークが触れたのは顎と、そして……唇だけ。
顎に触れたのは勿論手であるが、唇に触れたのは手ではない。ジュークの、口唇だ。
つまりジュークはフェニルに接吻をしたのである。
「……よく気づきましたわね」
観念して涙目で睨む。
「手助けは、いるか?」
しばしの間悩んでフェニルは「いいえ」とはっきり口にした。
「……そうか。ならば餞別をやろう」
「……は?」
どのような意味か、と問うよりも前にフェニルは身動きが取れなくなった。
拘束されたわけではない。けれど心理的な意味で、身動きが取れなかった。
ジュークが触れたのは顎と、そして……唇だけ。
顎に触れたのは勿論手であるが、唇に触れたのは手ではない。ジュークの、口唇だ。
つまりジュークはフェニルに接吻をしたのである。
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