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その四十九

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 ほう、と息を吐く。

 フェニルが思い出していたのは部屋を出て行く際のラフィットの台詞。

『明日の朝、日が昇る前に参りますので、それまでに心の準備をされるのが宜しいでしょう』

(心の準備ってなによ。死ぬ準備をしろ、とでも言いたいのかしら?
 本当に食えない男! 必ず私の前に跪かせてやるんだから!)

 というようにはじめは意気込んでいたのだが、暗い部屋に長時間一人でいれば心細くもなってくる。

 今が何時なのか、それと視界が鮮明でないというそれだけで人は恐怖を感じるらしい。

 だがフェニルはその恐怖をラフィットへの怒りで消し去った。
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