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その四十

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 これには少々の間ラフィットも口をつぐんだが、少々の間でしかない

「……ジューク様。恐れながら申し上げます。
 フェニル様……いえ、は人間です。何かに長けたところもない。
 そんな方をどうして主と敬うことができましょうか?」

「なんですって!
 ラフィット、あなたに言われるほど私は落ちぶれてはいないわ。その場に今すぐ五体投地するのなら許さないわけではないけれど……?」

「頭を下げろ、と? お断りいたします。なぜ人間ごときに頭を下げる必要があるのですか?」

 もとより他人から蔑まれることにはなれていないフェニルだ。この言葉に怒気をあらわにした。

「いい加減になさい。
 私があなたに劣っているなどいうこと、あり得ませんわ」

 それは紛れもない本心だ。
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