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その三十二

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 そしてぐいぐいと粥を押し付ける。まだ熱かったようでジュークが肩を震わせたが、謝ることはせず「早く食べて頂戴」とうそぶいた。

「何を怒っているのだ?」と不思議そうなジューク。それに対し、フェニルは「怒っているわけではありませんわ。早く部屋に戻りたいだけですの」とわけのわからぬ言い訳を返す。わけのわからぬ、というのは台詞もさることながら、理由も、だ。ジュークが粥を食べ終わるまでフェニルが部屋にいる必要はないためである。

(ああもう、自分の考えていることまでわからないだなんて……)

 やきもきするフェニルの目線の先でジュークが粥をさじですくい、口に運ぶ。


 ぼうっと見ていたジュークの様子が変わったのは、それからすぐのことだった。
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