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その九
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(あら、あらあらあら?)
玉座の男は息を呑むほどの美形だったのだ。
王太子と比べて? 比べられるはずもない。
王太子の美は美しいとはいえそれでも人の『美』だった。けれど男の美は神から愛された、という言葉が似合う『美』なのである。
「そ……その……何か怒っているのか?」
思わずじぃっと見つめていると、男が怖ず怖ずと言葉を発する。
「何故ですの?」
「いや、その……人間は目力で生物に穴を開けると聞いていたものだからな……。俺の顔に穴をあけようとしているのか、と……。か、勝手に呼び出してしまって怒っているのではないかと考えたのだ」
その言葉に我にもなく吹き出してしまった。
(人間が目力で穴をあけられるってどんな魔法かしら。それに怒っていたのも今は忘れていたし)
彼は竜人で憎むべき相手、そんな風に思っているはずなのに面白い人、とも感じる。二つの感情が同居している。何とも不思議な感覚だった。
玉座の男は息を呑むほどの美形だったのだ。
王太子と比べて? 比べられるはずもない。
王太子の美は美しいとはいえそれでも人の『美』だった。けれど男の美は神から愛された、という言葉が似合う『美』なのである。
「そ……その……何か怒っているのか?」
思わずじぃっと見つめていると、男が怖ず怖ずと言葉を発する。
「何故ですの?」
「いや、その……人間は目力で生物に穴を開けると聞いていたものだからな……。俺の顔に穴をあけようとしているのか、と……。か、勝手に呼び出してしまって怒っているのではないかと考えたのだ」
その言葉に我にもなく吹き出してしまった。
(人間が目力で穴をあけられるってどんな魔法かしら。それに怒っていたのも今は忘れていたし)
彼は竜人で憎むべき相手、そんな風に思っているはずなのに面白い人、とも感じる。二つの感情が同居している。何とも不思議な感覚だった。
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