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三.演劇は終わりを告げる
16.例えるならば、素人の演技
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犯人は誰だ。白鳥葵を自殺に見せかけて、半沢美波を殴り殺したのは。
白鳥葵の時はこれは他殺であると知らせるかのように、下手な偽装工作を施して。半沢美波の時は工作などせずに殺害し、傍から見れば弄ばれているようにも感じるが、時久はただ、思う。
「不出来だ」
それはまるで素人が考えた物語のようで、ところどころに穴がある。ミステリー小説のように完璧なものではない。
それでも行われた殺人は例えるならば、そう――
「素人の演技」
素人が上手くもない演技をして、役者たちはただそれに踊らされているだけ。
放課後の教室で時久は事件の事を思い出していた。白鳥葵から始まり、半沢美波と続いた殺人事件を。机の上に時系列の書かれたメモ帳を広げてぼんやりと眺める時久の様子を飛鷹は窺っていた。
声をかけていいものか、変な事を言って考えを阻害してしまわないかと気を使っているようだ。そうやって黙って考えていれば、「まだ、帰らないの?」と不思議そうに由香奈に声をかけられる。
「もう下校時刻だけど……」
「皇さん」
「何?」
「何度も聞きますが、白鳥先輩は昼休みは必ず講堂の小ホールにいるんですか?」
時久の問いに由香奈は頷く、殆ど彼女は昼休みには必ず講堂の小ホールにいると。何か用事がない限りはそこで演技練習をしていたと本人から聞いたと証言した。
「基本的にはそうだよ。一人で演技の練習をしてるって言ってたから」
「邪魔は嫌うと」
「そうそう。練習中に会いに行くと不機嫌になるし、怒鳴ってくるからみんな講堂には行かないんだよね」
白鳥葵は神経質で自分の行動を邪魔されることを嫌う。不機嫌になるだけならいいが、怒鳴り嫌味を言ってくることもあった。だから、演劇部員たちは昼休みは小ホールには行かないようにしている。
時久は再度、確認のために「それを知っているのは演劇部員だけですか?」と問えば、「そのはずだよ」と由香奈は返した。
「クラスメイトには教えてはいないって先輩は言ってたから……」
誰かに知られていたら分からないけれど、少なくとも葵からは聞いていないと由香奈は答えた。
そうなるとやはり知っている人間の中に犯人がいる。容疑者の候補として挙がっていたのは半沢美波、中部陽菜乃、平原裕二、沢渡斗真、、皇由香奈、前島清治の六人。
六人の中から半沢美波が殺害されて、彼女の握り締めていたボタンにより平原裕二が連行された。彼以外に美波の死亡推定時刻にアリバイがないのは中部陽菜乃と沢渡斗真、皇由香奈。前島清治は職員室にいたことが分かっている。
とはいえ、アリバイ工作などされてしまっているのであれば、前島も容疑者から外すことはできない。
自殺に見せかける必要があったのは、半沢美波も殺すからだったのか。連続した殺人であると知らせるために。何故、そんなことをしたのか。そこが鍵になっているはずだと時久は考える。
「時久くんは何が引っかかってるの?」
「白鳥先輩の自殺に見せかけていた行為でしょうか。あれは他殺であると教えているようなものでしたから」
「うーん、やっぱり半沢さんと関連付けたいからとか?」
飛鷹の言葉に時久もそうだろうと頷く。犯人は二人の死を関連付けさせたかったのだ、初めからこうなるのだというように。
「でも、小ホールには鍵がかかってたし」
「それはそうなんですが、講堂の扉には鍵がかかってなかったんですよね」
「あ、よくある紐を使った鍵閉めトリックとか!」
由香奈は「ミステリー小説によくある!」と主張する。そういった工作がないわけではないので可能性はあった。そこまで器用にできる犯人だろうかと時久は思ってしまう。何せ、不出来だと感じていたから。
「なんというか、もっと簡単だと思うんですよね」
「うーん、なんだろう?」
もっと簡単な気がすると時久に言われて飛鷹は首を傾げる。
「ならさ、合鍵を作ったとか?」
ぽんっと思いついたように手を打った飛鷹になくはないなと時久も思う、合鍵を作っておいてそれを使ったのならば。
合鍵を作ったという証拠が必要になる。今なら鍵を作るのにそう時間はかからないし、型があれば鍵本体がなくても作成は可能だ。
「そうなると、鍵を何処でとなりますが……」
「作る隙ってあったのかな?」
「うーん、どうだろう。陽菜乃さんも白鳥先輩もちゃんと鍵は返してたし……」
「まぁ、警察に調べられるというのは犯人もわかっていそうですが」
「それはそうだよね」
合鍵を作った可能性を疑われないとも限らないし、鍵をどう処分するかだ。ずっと所持していれば見つかる可能性がある。迂闊なところに捨てればすぐに見つかってしまうだろう。なら、何処に隠しているのかとなる。
「皇さんは登校していなかったんですよね?」
「うん。わたし、歩くのが遅くって……。やっぱり、疑われるよね、わたし」
「アリバイが無い以上はそうなりますね」
きっぱりと言う時久にですよねと由香奈は項垂れた。容疑者として疑われる人の気持ちをひしひしと理解したようで、「辛いね、結構」と疲れた顔を見せる。それでも自分はやっていないのだと由香奈は主張した、アリバイを証明はできないけれどと。
「人が死んでるっていうのに、悲しむどころか自分が疑わているっていうのが嫌だっていう感情が勝っててさ。薄情な自分に嫌気がさす」
由香奈ははぁと溜息を吐いた。嫌味を言われてはいたけれど部活の先輩が、同級生が日も経たずに亡くなったというのに、自分の保身を優先して考えてしまっている。それが由香奈は嫌だったようで、「わたしって酷い人間だ」と俯いた。
「滝沢さんの時だって、きっとわたしに何かできたかもしれない」
滝沢未来が自殺した時、葵と美波のせいではないかと思った。手を上げるようないじめらしいものは見ていなかったけれど、嫌味や小言を言っては雑用を押し付けていたのだ。これだって立派ないじめじゃないか。どうして、どうして見て見ぬふりをしてしまったのだろうか。後悔しても遅くて、今だって自分の保身を考えてしまっている、なんて酷い人間だろうと由香奈は吐き出した。
「滝沢さん、すっごく明るくて元気で、ムードメーカーって感じでさ。部活動を盛り上げようとしてくれていたんだよね。なのにさ、白鳥先輩たちに目をつけられちゃって……わたしは怖くて手を差し伸べてあげられなかった」
人が死んだというのに自分の事しか考えてないと由香奈は肩を落とした。飛鷹が彼女を励ますように声をかけているけれど、自分を責めるのをやめようとはしない。
彼女の感情は仕方ないことだと時久は思った。誰だって自分の事を考えてしまうのもで、他人にまで構っていられないこともある。それが正しいとは言えないけれど、我が身可愛さに見て見ぬふりをしてしまう心情というのは理解できた。
部活動を共に頑張ってきた学友が死んだというのに自分が疑われて嫌だと感じてしまうのも、悪いことではないのだが、人の心がないと指さされてしまうかもしれない。由香奈が酷い人間だと自分の事を感じたように。
「皇さんの行動は悪いとはいいませんが、良いとも言えません」
「うん、そうだよね……」
「でも、貴女は自分の行動を見つめ直すことができている。それができる人間というのは少ないものですよ」
人間というのは過ちに気づいても、見て見ぬふりを、あるいは自分は悪くなかったと正当化することがある。自己保身を優先してしまうのは悪いことではない、自分の身を守る行為であるのだから。
過ちに気づき、自分の行動を見つめ直すことができる。それだけでも、次から気をつけていくことができるはずだと時久は言った。
「すみません。私は励ますのが下手なようです。ですが、貴女は自覚を持って見つめ直すことができる人なのですから、あまり自分を責めないでください」
「うん、ありがとう天上院くん。あ、推理の邪魔しちゃったよね。何かわたしにできることある?」
「そうですね……もう少し白鳥先輩の周辺のことを知りたいのですが」
「部活動内でのことはわたし話せるけど……周辺かー。前島先生と二人で話してる時とかあったし、知ってるかも?」
「なら、聞きに行ってみましょうか」
教師ならまだ学校に残っているだろうと時久はメモ帳をブレザーの胸ポケットに仕舞うと席を立った。由香奈に礼を言ってからカバンを持って教室を出れば、飛鷹も着いてきたので時久は振り返る。
「別に帰ってもいいんですよ?」
「え、時久くん一人にはしとけないよー」
飛鷹はどうやら時久に最後まで付き合うつもりらしい。事件にかかわるということはそれだけ危険であるのだがと、思いながらも職員室に行くだけなら問題はない。
時久は「危ないことはしないでくださいね」と言って飛鷹を連れて行くことにした。断ってもきっとついてくるだろうことは想像できたから。
白鳥葵の時はこれは他殺であると知らせるかのように、下手な偽装工作を施して。半沢美波の時は工作などせずに殺害し、傍から見れば弄ばれているようにも感じるが、時久はただ、思う。
「不出来だ」
それはまるで素人が考えた物語のようで、ところどころに穴がある。ミステリー小説のように完璧なものではない。
それでも行われた殺人は例えるならば、そう――
「素人の演技」
素人が上手くもない演技をして、役者たちはただそれに踊らされているだけ。
放課後の教室で時久は事件の事を思い出していた。白鳥葵から始まり、半沢美波と続いた殺人事件を。机の上に時系列の書かれたメモ帳を広げてぼんやりと眺める時久の様子を飛鷹は窺っていた。
声をかけていいものか、変な事を言って考えを阻害してしまわないかと気を使っているようだ。そうやって黙って考えていれば、「まだ、帰らないの?」と不思議そうに由香奈に声をかけられる。
「もう下校時刻だけど……」
「皇さん」
「何?」
「何度も聞きますが、白鳥先輩は昼休みは必ず講堂の小ホールにいるんですか?」
時久の問いに由香奈は頷く、殆ど彼女は昼休みには必ず講堂の小ホールにいると。何か用事がない限りはそこで演技練習をしていたと本人から聞いたと証言した。
「基本的にはそうだよ。一人で演技の練習をしてるって言ってたから」
「邪魔は嫌うと」
「そうそう。練習中に会いに行くと不機嫌になるし、怒鳴ってくるからみんな講堂には行かないんだよね」
白鳥葵は神経質で自分の行動を邪魔されることを嫌う。不機嫌になるだけならいいが、怒鳴り嫌味を言ってくることもあった。だから、演劇部員たちは昼休みは小ホールには行かないようにしている。
時久は再度、確認のために「それを知っているのは演劇部員だけですか?」と問えば、「そのはずだよ」と由香奈は返した。
「クラスメイトには教えてはいないって先輩は言ってたから……」
誰かに知られていたら分からないけれど、少なくとも葵からは聞いていないと由香奈は答えた。
そうなるとやはり知っている人間の中に犯人がいる。容疑者の候補として挙がっていたのは半沢美波、中部陽菜乃、平原裕二、沢渡斗真、、皇由香奈、前島清治の六人。
六人の中から半沢美波が殺害されて、彼女の握り締めていたボタンにより平原裕二が連行された。彼以外に美波の死亡推定時刻にアリバイがないのは中部陽菜乃と沢渡斗真、皇由香奈。前島清治は職員室にいたことが分かっている。
とはいえ、アリバイ工作などされてしまっているのであれば、前島も容疑者から外すことはできない。
自殺に見せかける必要があったのは、半沢美波も殺すからだったのか。連続した殺人であると知らせるために。何故、そんなことをしたのか。そこが鍵になっているはずだと時久は考える。
「時久くんは何が引っかかってるの?」
「白鳥先輩の自殺に見せかけていた行為でしょうか。あれは他殺であると教えているようなものでしたから」
「うーん、やっぱり半沢さんと関連付けたいからとか?」
飛鷹の言葉に時久もそうだろうと頷く。犯人は二人の死を関連付けさせたかったのだ、初めからこうなるのだというように。
「でも、小ホールには鍵がかかってたし」
「それはそうなんですが、講堂の扉には鍵がかかってなかったんですよね」
「あ、よくある紐を使った鍵閉めトリックとか!」
由香奈は「ミステリー小説によくある!」と主張する。そういった工作がないわけではないので可能性はあった。そこまで器用にできる犯人だろうかと時久は思ってしまう。何せ、不出来だと感じていたから。
「なんというか、もっと簡単だと思うんですよね」
「うーん、なんだろう?」
もっと簡単な気がすると時久に言われて飛鷹は首を傾げる。
「ならさ、合鍵を作ったとか?」
ぽんっと思いついたように手を打った飛鷹になくはないなと時久も思う、合鍵を作っておいてそれを使ったのならば。
合鍵を作ったという証拠が必要になる。今なら鍵を作るのにそう時間はかからないし、型があれば鍵本体がなくても作成は可能だ。
「そうなると、鍵を何処でとなりますが……」
「作る隙ってあったのかな?」
「うーん、どうだろう。陽菜乃さんも白鳥先輩もちゃんと鍵は返してたし……」
「まぁ、警察に調べられるというのは犯人もわかっていそうですが」
「それはそうだよね」
合鍵を作った可能性を疑われないとも限らないし、鍵をどう処分するかだ。ずっと所持していれば見つかる可能性がある。迂闊なところに捨てればすぐに見つかってしまうだろう。なら、何処に隠しているのかとなる。
「皇さんは登校していなかったんですよね?」
「うん。わたし、歩くのが遅くって……。やっぱり、疑われるよね、わたし」
「アリバイが無い以上はそうなりますね」
きっぱりと言う時久にですよねと由香奈は項垂れた。容疑者として疑われる人の気持ちをひしひしと理解したようで、「辛いね、結構」と疲れた顔を見せる。それでも自分はやっていないのだと由香奈は主張した、アリバイを証明はできないけれどと。
「人が死んでるっていうのに、悲しむどころか自分が疑わているっていうのが嫌だっていう感情が勝っててさ。薄情な自分に嫌気がさす」
由香奈ははぁと溜息を吐いた。嫌味を言われてはいたけれど部活の先輩が、同級生が日も経たずに亡くなったというのに、自分の保身を優先して考えてしまっている。それが由香奈は嫌だったようで、「わたしって酷い人間だ」と俯いた。
「滝沢さんの時だって、きっとわたしに何かできたかもしれない」
滝沢未来が自殺した時、葵と美波のせいではないかと思った。手を上げるようないじめらしいものは見ていなかったけれど、嫌味や小言を言っては雑用を押し付けていたのだ。これだって立派ないじめじゃないか。どうして、どうして見て見ぬふりをしてしまったのだろうか。後悔しても遅くて、今だって自分の保身を考えてしまっている、なんて酷い人間だろうと由香奈は吐き出した。
「滝沢さん、すっごく明るくて元気で、ムードメーカーって感じでさ。部活動を盛り上げようとしてくれていたんだよね。なのにさ、白鳥先輩たちに目をつけられちゃって……わたしは怖くて手を差し伸べてあげられなかった」
人が死んだというのに自分の事しか考えてないと由香奈は肩を落とした。飛鷹が彼女を励ますように声をかけているけれど、自分を責めるのをやめようとはしない。
彼女の感情は仕方ないことだと時久は思った。誰だって自分の事を考えてしまうのもで、他人にまで構っていられないこともある。それが正しいとは言えないけれど、我が身可愛さに見て見ぬふりをしてしまう心情というのは理解できた。
部活動を共に頑張ってきた学友が死んだというのに自分が疑われて嫌だと感じてしまうのも、悪いことではないのだが、人の心がないと指さされてしまうかもしれない。由香奈が酷い人間だと自分の事を感じたように。
「皇さんの行動は悪いとはいいませんが、良いとも言えません」
「うん、そうだよね……」
「でも、貴女は自分の行動を見つめ直すことができている。それができる人間というのは少ないものですよ」
人間というのは過ちに気づいても、見て見ぬふりを、あるいは自分は悪くなかったと正当化することがある。自己保身を優先してしまうのは悪いことではない、自分の身を守る行為であるのだから。
過ちに気づき、自分の行動を見つめ直すことができる。それだけでも、次から気をつけていくことができるはずだと時久は言った。
「すみません。私は励ますのが下手なようです。ですが、貴女は自覚を持って見つめ直すことができる人なのですから、あまり自分を責めないでください」
「うん、ありがとう天上院くん。あ、推理の邪魔しちゃったよね。何かわたしにできることある?」
「そうですね……もう少し白鳥先輩の周辺のことを知りたいのですが」
「部活動内でのことはわたし話せるけど……周辺かー。前島先生と二人で話してる時とかあったし、知ってるかも?」
「なら、聞きに行ってみましょうか」
教師ならまだ学校に残っているだろうと時久はメモ帳をブレザーの胸ポケットに仕舞うと席を立った。由香奈に礼を言ってからカバンを持って教室を出れば、飛鷹も着いてきたので時久は振り返る。
「別に帰ってもいいんですよ?」
「え、時久くん一人にはしとけないよー」
飛鷹はどうやら時久に最後まで付き合うつもりらしい。事件にかかわるということはそれだけ危険であるのだがと、思いながらも職員室に行くだけなら問題はない。
時久は「危ないことはしないでくださいね」と言って飛鷹を連れて行くことにした。断ってもきっとついてくるだろうことは想像できたから。
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