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二.舞台に残された役者
9.情報の取引
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「ねぇねぇ、天上院くん。あの若い刑事さんってどんな人なの?」
「若い刑事?」
職員室へと向かう道すがら、飛鷹だけでなく何故か着いてきた由香奈に質問される。
若い刑事とは誰のことを言っているのだろうかと首を傾げれば、「ほら、昼休みに気さくに話しかけてきた刑事さん」と言われて、東郷のことを聞かれているのだと気づく。
「東郷恭一郎警部のことですか?」
「そうそう! 天上院くん、恭一郎さんって名前で呼んでたからさ! めっちゃ仲良いのかなって」
「仲の良さは分かりませんが、父の部下で警部なんですよ。私が関わった事件を担当していたので」
東郷とは最初の事件である連続通り魔殺人事件からの仲だ。あの時は父である幸成に気づいたことを話しただけで、会ったのは紹介された時だった。
それからいくつかの事件に協力しているうちに気軽に話す仲になった。ただ、それだけなのだが由香奈は「探偵と刑事のコンビって王道だよね!」と目を輝かせる。
王道かどうかはさておき、それがどうかしたのだろうかと聞けば、「単純な興味」と返された。
「てか、警部って結構上な位だよね! あの刑事さん若いよね!」
「俗に言うキャリア組というやつですよ」
「あ! 聞いたことある! あるんだ、本当に!」
「ゆかっち興奮しすぎー」
「これを興奮しないでいられると思う!」
きらきらとした瞳を見せる由香奈に彼女は元気そうだなと時久は思う。葵の死に動揺していた彼女だが、気持ちは持ち直したようだった。
「最高の組み合わせって感じ」
「そうですか。あぁ、そうだ。由香奈さん」
「え、何?」
「半沢さんと平原さん、白鳥先輩の恋愛絡みのいざこざについて何か知ってませんか?」
恋愛絡みのいざこざと聞いて由香奈は一瞬だけ固まると目を逸らした。そんな彼女に時久が「皇さんが言っていたとは誰にも公言しませんから」と声を潜める。
言うか言うまいかと考えている由香奈に時久は「私と恭一郎さんのお話、聞きたくないですか?」と提案した。
「皇さんが協力してくれるというのなら、恭一郎さんとの仲の話、少し話しても構いませんよ」
「ーーっ! それ、狡い!」
時久の取引に由香奈はうぅっと呻ると「誰にも言わないでよ?」と念を押してから話し出した。
美波は裕二に惹かれて演劇部に入部したらしく、隙を見てはアピールしていたらしい。同じく、彼を贔屓していた葵に気づいて突っかかっていくことがあったのだと。
葵は露骨な贔屓をする。裕二にだけ良い配役を与えたり、彼の我儘を聞いたりと傍から見ればすぐに分かるほどだ。
それを注意したくとも葵は強かった。彼女は社長令嬢で、その地位を大いに振るっていたのだ。部活の先輩の中にも葵の父の部下がいて、波風立てたくないからか、他の部員にも見逃してくれと頼んでいた。
「もう敵なしって感じだったんだけどさ。でも、美波さんのお父さんも社長だったの。しかも、白鳥先輩のお父さんの取引先」
美波は葵と同じ土俵に立てる唯一の存在だたった。だから、葵が裕二に贔屓して自分のものにしようとしているのに突っかかっていけた。
「もうかなりギスギスしてたんだよね。わたしは面倒なことやってるなって感じで毎回、遠目から見てたけど」
「二人は仲が悪かったんですね?」
「仲悪かったっていうよりか、二人とも嫌い合っていたって感じ」
「険悪だー」
部員内で知らない人はいないというほどに二人は嫌い合っていたらしく、「彼女がやったんじゃないかって他の部員が噂してて」と声を潜める。
噂は美波にも伝わっているようで、目が合うだけで「何よ、何かあるっていうの!」と怒鳴られてしまうのだと由香奈は話す。
「もう凄いんだって、まだ一日しか経ってないのにさ。美波さん気が立ってて……」
「まぁ、疑われればそうもなりますよね」
周囲から犯人ではと疑われれば誰だって不安になったり、気が立つ。信じていた友達にさえそう囁かれていたのなら尚更だ。
「わたしが知ってるのはこれぐらいかな」
「ありがとうございます。あと聞きたいのですが、昼休みは図書室に居たのは間違いないのですね?」
「間違いないよ! わたし、ちゃんと居たんだから!」
図書室の奥の席で一人、黙々と台本の調整をしていたのだと由香奈は主張した。こういった作業は一人で静かな場所でやりたいからと図書室を選んだのだと。司書教諭も図書委員とも顔を合わせてなかった上に図書室の奥にいたせいか、目に留まらなかったらしいとがっくり肩を落とす。
「もうさぁ。これでアリバイが無いって言われてほんと、辛いんだよねぇ……」
「それは仕方ないですね……」
「最悪だよ。って、わたしは答えたよ! さぁさぁ! 次は天上院くんの番!」
「何を知りたいんですか」
「どんな関係?」
どんな関係とはと時久は首を捻る。刑事と高校生という関係にしては、事件を経ているので少し違う感じがした。
友達という間柄とは言えず、じゃあなんだろうかと時久は考えるがこれと言って思い浮かばない。強いて言うならば、仕事仲間とかだろうか。これも違う気がするが一番近いのはこれな気がするなと時久は答える。
「仕事仲間とかが近いですかね? まぁ、探偵ではないのですが」
「相棒! 相棒的な!」
「相棒って……。子供の私が相棒では恭一郎さんが大変でしょう」
相棒という言葉が合うとは思えず、時久は苦笑する。由香奈は「だって、二人で事件を解決してるんでしょ! 相棒じゃん!」と声高く主張する。
なんでそこだけ強く言うのだろうかと時久は思ったけれど、由香奈は「絶対にそうだって!」と引かない。
「確かに事件はいくつか解決していますが……」
「ほら! 相棒じゃん!」
「東郷警部と時久くんが組んだ事件は解決してるもんねー」
「こら、飛鷹」
余計なことを言うなと見遣るもすでに遅くて、由香奈はますます「流石、探偵と刑事の組み合わせ!」と一人の世界に入ってしまった。
その様子に時久は若干、引いてしまっているのだが本人は全く気づいていない。飛鷹を見遣れば、「だめだこりゃ」と肩をすくめている。
「これはだめだわ。ゆかっちが妄想爆発させてる」
「皇さんってどういう人なんですか」
「ミステリーオタク」
ミステリーものならば、映画やドラマ、漫画に小説と幅広く読んでいる。好きなミステリーはシャーロックホームズと王道路線だ。
演劇でミステリーもののアイデアが出たのをいいことに推しに推したらしい。それを聞いてだからやけに時系列がしっかり決められていたのかと時久は納得した。
台本を読んだ印象がどうも小説のように感じたのはそのせいなのかもしれない。由香奈のミステリー好きが影響したようだ。
「私、ミステリーものは特に詳しくないんですよね」
「え! シャーロックホームズを知らないというの!」
「えぇ、全く」
時久の返事に由香奈は珍しい生き物を見つけた時のように目を開いていた。そんな表情をされてもタイトルは聞いたことあれど、実際に読んだことがないという人は多いのではないだろうか。そう時久は思ったのだが、由香奈は信じられない様子だ。
「面白いから読んで!」
「機会があれば」
飛鷹は時久の返しに「あ、これ読まないやつだ」といったふうに反応するも、由香奈は気づいていない。「面白いから!」と勧めていた。
「他にも聞きたいことあるの!」
「なんでしょうか」
「やっぱり、事件の捜査に参加する時ってほかの刑事さんに何か言われたりするの?」
捜査に協力するとなると東郷以外の刑事と話すこともあるのではないか。周囲からの反応はどうなのか、それこが気になるらしい。
時久は「あまり関わらないですね」と答えた。刑事と共に現場を行き来するということがあるとしても、基本的に東郷と一緒なので接することが少ないのだ。
そう答えれば、「やっぱり相棒!」と由香奈の目が輝いたので、彼女に餌を与えてしまったらしい。
「嫌味を言われりしない?」
「本人に向かって言う人はいませんね。影でどう言われているか知りませんが」
他の刑事から見れば、探偵ごっこをしているように思われるかもしれない。時久自身もそう感じるので、そう言われても文句はいえなかった。
「何を言われても別に気にしませんけど。もういいですかね?」
「待って! あと、あとまだあって!」
「まだあるんですか……。あ、職員室についたので話はその後にでも」
由香奈の押しを時久はそう言ってかわして職員室の扉をノックする。彼女が不満そうにしているのが見えるけれど、気にすることなく職員室に入っていった。
「若い刑事?」
職員室へと向かう道すがら、飛鷹だけでなく何故か着いてきた由香奈に質問される。
若い刑事とは誰のことを言っているのだろうかと首を傾げれば、「ほら、昼休みに気さくに話しかけてきた刑事さん」と言われて、東郷のことを聞かれているのだと気づく。
「東郷恭一郎警部のことですか?」
「そうそう! 天上院くん、恭一郎さんって名前で呼んでたからさ! めっちゃ仲良いのかなって」
「仲の良さは分かりませんが、父の部下で警部なんですよ。私が関わった事件を担当していたので」
東郷とは最初の事件である連続通り魔殺人事件からの仲だ。あの時は父である幸成に気づいたことを話しただけで、会ったのは紹介された時だった。
それからいくつかの事件に協力しているうちに気軽に話す仲になった。ただ、それだけなのだが由香奈は「探偵と刑事のコンビって王道だよね!」と目を輝かせる。
王道かどうかはさておき、それがどうかしたのだろうかと聞けば、「単純な興味」と返された。
「てか、警部って結構上な位だよね! あの刑事さん若いよね!」
「俗に言うキャリア組というやつですよ」
「あ! 聞いたことある! あるんだ、本当に!」
「ゆかっち興奮しすぎー」
「これを興奮しないでいられると思う!」
きらきらとした瞳を見せる由香奈に彼女は元気そうだなと時久は思う。葵の死に動揺していた彼女だが、気持ちは持ち直したようだった。
「最高の組み合わせって感じ」
「そうですか。あぁ、そうだ。由香奈さん」
「え、何?」
「半沢さんと平原さん、白鳥先輩の恋愛絡みのいざこざについて何か知ってませんか?」
恋愛絡みのいざこざと聞いて由香奈は一瞬だけ固まると目を逸らした。そんな彼女に時久が「皇さんが言っていたとは誰にも公言しませんから」と声を潜める。
言うか言うまいかと考えている由香奈に時久は「私と恭一郎さんのお話、聞きたくないですか?」と提案した。
「皇さんが協力してくれるというのなら、恭一郎さんとの仲の話、少し話しても構いませんよ」
「ーーっ! それ、狡い!」
時久の取引に由香奈はうぅっと呻ると「誰にも言わないでよ?」と念を押してから話し出した。
美波は裕二に惹かれて演劇部に入部したらしく、隙を見てはアピールしていたらしい。同じく、彼を贔屓していた葵に気づいて突っかかっていくことがあったのだと。
葵は露骨な贔屓をする。裕二にだけ良い配役を与えたり、彼の我儘を聞いたりと傍から見ればすぐに分かるほどだ。
それを注意したくとも葵は強かった。彼女は社長令嬢で、その地位を大いに振るっていたのだ。部活の先輩の中にも葵の父の部下がいて、波風立てたくないからか、他の部員にも見逃してくれと頼んでいた。
「もう敵なしって感じだったんだけどさ。でも、美波さんのお父さんも社長だったの。しかも、白鳥先輩のお父さんの取引先」
美波は葵と同じ土俵に立てる唯一の存在だたった。だから、葵が裕二に贔屓して自分のものにしようとしているのに突っかかっていけた。
「もうかなりギスギスしてたんだよね。わたしは面倒なことやってるなって感じで毎回、遠目から見てたけど」
「二人は仲が悪かったんですね?」
「仲悪かったっていうよりか、二人とも嫌い合っていたって感じ」
「険悪だー」
部員内で知らない人はいないというほどに二人は嫌い合っていたらしく、「彼女がやったんじゃないかって他の部員が噂してて」と声を潜める。
噂は美波にも伝わっているようで、目が合うだけで「何よ、何かあるっていうの!」と怒鳴られてしまうのだと由香奈は話す。
「もう凄いんだって、まだ一日しか経ってないのにさ。美波さん気が立ってて……」
「まぁ、疑われればそうもなりますよね」
周囲から犯人ではと疑われれば誰だって不安になったり、気が立つ。信じていた友達にさえそう囁かれていたのなら尚更だ。
「わたしが知ってるのはこれぐらいかな」
「ありがとうございます。あと聞きたいのですが、昼休みは図書室に居たのは間違いないのですね?」
「間違いないよ! わたし、ちゃんと居たんだから!」
図書室の奥の席で一人、黙々と台本の調整をしていたのだと由香奈は主張した。こういった作業は一人で静かな場所でやりたいからと図書室を選んだのだと。司書教諭も図書委員とも顔を合わせてなかった上に図書室の奥にいたせいか、目に留まらなかったらしいとがっくり肩を落とす。
「もうさぁ。これでアリバイが無いって言われてほんと、辛いんだよねぇ……」
「それは仕方ないですね……」
「最悪だよ。って、わたしは答えたよ! さぁさぁ! 次は天上院くんの番!」
「何を知りたいんですか」
「どんな関係?」
どんな関係とはと時久は首を捻る。刑事と高校生という関係にしては、事件を経ているので少し違う感じがした。
友達という間柄とは言えず、じゃあなんだろうかと時久は考えるがこれと言って思い浮かばない。強いて言うならば、仕事仲間とかだろうか。これも違う気がするが一番近いのはこれな気がするなと時久は答える。
「仕事仲間とかが近いですかね? まぁ、探偵ではないのですが」
「相棒! 相棒的な!」
「相棒って……。子供の私が相棒では恭一郎さんが大変でしょう」
相棒という言葉が合うとは思えず、時久は苦笑する。由香奈は「だって、二人で事件を解決してるんでしょ! 相棒じゃん!」と声高く主張する。
なんでそこだけ強く言うのだろうかと時久は思ったけれど、由香奈は「絶対にそうだって!」と引かない。
「確かに事件はいくつか解決していますが……」
「ほら! 相棒じゃん!」
「東郷警部と時久くんが組んだ事件は解決してるもんねー」
「こら、飛鷹」
余計なことを言うなと見遣るもすでに遅くて、由香奈はますます「流石、探偵と刑事の組み合わせ!」と一人の世界に入ってしまった。
その様子に時久は若干、引いてしまっているのだが本人は全く気づいていない。飛鷹を見遣れば、「だめだこりゃ」と肩をすくめている。
「これはだめだわ。ゆかっちが妄想爆発させてる」
「皇さんってどういう人なんですか」
「ミステリーオタク」
ミステリーものならば、映画やドラマ、漫画に小説と幅広く読んでいる。好きなミステリーはシャーロックホームズと王道路線だ。
演劇でミステリーもののアイデアが出たのをいいことに推しに推したらしい。それを聞いてだからやけに時系列がしっかり決められていたのかと時久は納得した。
台本を読んだ印象がどうも小説のように感じたのはそのせいなのかもしれない。由香奈のミステリー好きが影響したようだ。
「私、ミステリーものは特に詳しくないんですよね」
「え! シャーロックホームズを知らないというの!」
「えぇ、全く」
時久の返事に由香奈は珍しい生き物を見つけた時のように目を開いていた。そんな表情をされてもタイトルは聞いたことあれど、実際に読んだことがないという人は多いのではないだろうか。そう時久は思ったのだが、由香奈は信じられない様子だ。
「面白いから読んで!」
「機会があれば」
飛鷹は時久の返しに「あ、これ読まないやつだ」といったふうに反応するも、由香奈は気づいていない。「面白いから!」と勧めていた。
「他にも聞きたいことあるの!」
「なんでしょうか」
「やっぱり、事件の捜査に参加する時ってほかの刑事さんに何か言われたりするの?」
捜査に協力するとなると東郷以外の刑事と話すこともあるのではないか。周囲からの反応はどうなのか、それこが気になるらしい。
時久は「あまり関わらないですね」と答えた。刑事と共に現場を行き来するということがあるとしても、基本的に東郷と一緒なので接することが少ないのだ。
そう答えれば、「やっぱり相棒!」と由香奈の目が輝いたので、彼女に餌を与えてしまったらしい。
「嫌味を言われりしない?」
「本人に向かって言う人はいませんね。影でどう言われているか知りませんが」
他の刑事から見れば、探偵ごっこをしているように思われるかもしれない。時久自身もそう感じるので、そう言われても文句はいえなかった。
「何を言われても別に気にしませんけど。もういいですかね?」
「待って! あと、あとまだあって!」
「まだあるんですか……。あ、職員室についたので話はその後にでも」
由香奈の押しを時久はそう言ってかわして職員室の扉をノックする。彼女が不満そうにしているのが見えるけれど、気にすることなく職員室に入っていった。
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