メンヘラ? てめぇが沼なだけだろうが!!

イケランド

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本当にこの人なのだろうか。

彼と付き合ってから一年近くたったころからだろうか、こんなことをずっと考えている。

元来、片屋栞という人間は男に媚び諂うような人間ではないと栞自身も自負していたし、周りもそう認識していた。
思えばあの出会いがそもそもの間違いであったのだ。

今からちょうど一年前、大学に入りたてだった私はあるバドミントンサークルに入った。
そこで出会ったのが彼、つまり松田真斗であった。

恋は盲目とはよく言ったもので、当時の私には真斗は清廉潔白、眉目秀麗、将来有望を兼ね備えた人間かのように見えていた。

もれなく私自身も恋という名の病で正常な判断が出来なくなっていたのかもしれない。

それからまもなく私たちは付き合いはじめ、3カ月もたたないうちに真斗は浮気をした。

虚しさは鳴る。

私の心は音もなく崩れ落ちた。

その後、彼の4回の浮気を経た今となっては淀んでしまった気持ちと崩れ落ちた私の心がただそこに残っていた。

本当に運命の人はこの人なのだろうか。

そんなことを考え出したのはその頃からだった。

彼の心を海とするならばその海はひどく淀んでいて、
その深い水底になにがあるのかを私は知りたくて重い水を蹴り続け、

知ろう。知ろう。

とするような、そんな恋だったのかもしれない。

「別れを告げよう」そんなことを思ったのは水を蹴る脚や、呼吸、身体の四肢全てが限界になったころだった。
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