1 / 4
沼
しおりを挟む
本当にこの人なのだろうか。
彼と付き合ってから一年近くたったころからだろうか、こんなことをずっと考えている。
元来、片屋栞という人間は男に媚び諂うような人間ではないと栞自身も自負していたし、周りもそう認識していた。
思えばあの出会いがそもそもの間違いであったのだ。
今からちょうど一年前、大学に入りたてだった私はあるバドミントンサークルに入った。
そこで出会ったのが彼、つまり松田真斗であった。
恋は盲目とはよく言ったもので、当時の私には真斗は清廉潔白、眉目秀麗、将来有望を兼ね備えた人間かのように見えていた。
もれなく私自身も恋という名の病で正常な判断が出来なくなっていたのかもしれない。
それからまもなく私たちは付き合いはじめ、3カ月もたたないうちに真斗は浮気をした。
虚しさは鳴る。
私の心は音もなく崩れ落ちた。
その後、彼の4回の浮気を経た今となっては淀んでしまった気持ちと崩れ落ちた私の心がただそこに残っていた。
本当に運命の人はこの人なのだろうか。
そんなことを考え出したのはその頃からだった。
彼の心を海とするならばその海はひどく淀んでいて、
その深い水底になにがあるのかを私は知りたくて重い水を蹴り続け、
知ろう。知ろう。
とするような、そんな恋だったのかもしれない。
「別れを告げよう」そんなことを思ったのは水を蹴る脚や、呼吸、身体の四肢全てが限界になったころだった。
彼と付き合ってから一年近くたったころからだろうか、こんなことをずっと考えている。
元来、片屋栞という人間は男に媚び諂うような人間ではないと栞自身も自負していたし、周りもそう認識していた。
思えばあの出会いがそもそもの間違いであったのだ。
今からちょうど一年前、大学に入りたてだった私はあるバドミントンサークルに入った。
そこで出会ったのが彼、つまり松田真斗であった。
恋は盲目とはよく言ったもので、当時の私には真斗は清廉潔白、眉目秀麗、将来有望を兼ね備えた人間かのように見えていた。
もれなく私自身も恋という名の病で正常な判断が出来なくなっていたのかもしれない。
それからまもなく私たちは付き合いはじめ、3カ月もたたないうちに真斗は浮気をした。
虚しさは鳴る。
私の心は音もなく崩れ落ちた。
その後、彼の4回の浮気を経た今となっては淀んでしまった気持ちと崩れ落ちた私の心がただそこに残っていた。
本当に運命の人はこの人なのだろうか。
そんなことを考え出したのはその頃からだった。
彼の心を海とするならばその海はひどく淀んでいて、
その深い水底になにがあるのかを私は知りたくて重い水を蹴り続け、
知ろう。知ろう。
とするような、そんな恋だったのかもしれない。
「別れを告げよう」そんなことを思ったのは水を蹴る脚や、呼吸、身体の四肢全てが限界になったころだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説


なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる