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道中

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 いとこ同士のマサキとあんずは図書館へ向かっていた。

「あ、あんずじゃん」

「ミサキ~」

「清水……」

 声を掛けてきたのは、あんずの友人、清水ミサキだった。
 自転車を止めるあんず。
 つられてマサキも自転車を止めた。

「あんずどうしたの?」

「図書館に行くのよ」

「マジ?」

「マジマジ。宿題やろ~かな~って」

「珍しいね。雨降るんじゃない」

「降らないよ~」

「で、何でトナカイまで一緒なの?」

 トナカイが、マサキの名字、田中井から付けられたアダ名なのは言うまでもない。

「私より勉強できるから教えてもらおうと思ってさ」

「あー、そういう事。でもさ、いくらいとこだと言ってもこんな陰キャと付き合うのはどうかと思うよ」

「ただの幼なじみだって」

「そう? いつもトナカイにちょっかい掛けてるけど」

「私が構ってあげなきゃずっと一人でいるからさ。自分のいとこがそういうのって何か嫌じゃん」

「あー、分かるかも。身内がダサいと口出ししたくなる的な」

「…………あんず、先行ってるわ」

 マサキがペダルに足を掛ける。

「わ、わ、待ってよ」

「大変だね~。あんなのがいとこでしかも家が隣だもんね」

「あ、うん。ミサキ、私行くね」

「はいはい。いってら~」

 あんずはマサキを追い掛ける。
 図書館まではまだ先である。
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