【完結】最後の人類の僕と唯一のアンドロイドの彼女が出会ったら(瓦礫の街、小さな花束)

田中マーブル(まーぶる)

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第3章:ロボットとニンゲンの距離

散策と探索

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「とりあえず散策でもするか」

 僕は立ち上がり、眠ってるタイチを置いて部屋を出る。

 寺から出る前にお墓へ行って手を合わせた。まだ新しい花は供えられてはいなかった。

 タイチには何もされなかったし、別に他のニンゲンに会っても大丈夫だろう。

 まずは道を覚えようと周囲に目印になりそうな物を探す。

 ギザギザ屋根の大きな建物、玄関にタヌキの置物がある家、角の家にある伸び放題の生垣など。

 静かな町をゆったりと歩く。

 誰もいない町。

 時折鳥のさえずりが聞こえるくらいだ。

 昔、人々が生活してた時はどんなだっただろうか、なんて想像をしてみた。

 ニンゲンたちの町の様子を思い出して、頭の中で目の前の町の景色と重ね合わせる。

 沢山の人、話し声、そこに混じる生活音。そして、そんな景色の中にいる僕とエリー。浮かぶ光景に心が躍る。

 エリーの家、行ってみようかな。

 彼女の家に行くとして、道が分からない。それに途中で誰かに会ったらまずい。

 僕の住んでた町との境界でもある橋まで来た所で寺まで引き返す。道順も目印もある程度覚えられたからほぼ間違える事なく帰ってこれた。

「おーい、カンジ、どこいった?」

 タイチの声がした。

「ここだよ」

「外かよ。何かすっかり眠ってちまってたわ」

 出てきたタイチはうーんと腕を突き上げ伸びをした。

「よく寝てたね」

「ああ。カンジは散歩でもしてたのか?」

「そんなとこ」

「誰かいたか?」

 タイチの問いに僕は頭を横に振る。

「そうか。オレの仲間、どこ行ったのかな。誰か1人くらいこっちに来ていてもおかしくないのに」

 どういう事だろう。

 確かに僕とタイチ以外に誰もいない。

 それが不思議な事なのか?

「バラバラに活動してるならおかしくはないだろ?」

「うーん。しかし、何日もってのは」

 そうなのか。

「そういえばカンジは腹、減らないのか?」

「え?」

「ずっと食べてないだろ?」

「何故か減ってないな」

「ふーん。変な奴だな」

「タイチだって変だろ」

「どこが?」

「食べてからすぐ爆睡してたし」

「そうか? けっこういると思うけど」

 けっこういるんだ。

「まあ、いいや。カンジ。ここに何かないか探そうぜ。食べ物があったくらいだ。他にも良い物があるかもしれないからな」

「そうだな。探そう」

 こうして僕たちは寺で何かエリーの手掛かりになりそうな物を探し始めた。
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