【完結】最後の人類の僕と唯一のアンドロイドの彼女が出会ったら(瓦礫の街、小さな花束)

田中マーブル(まーぶる)

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第2章:謎の町にて

降りた先には……

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 僕は近くの大木に隠れる。

 たくさんの人。

 エリーは大丈夫なのだろうか。

 教会の前の人集り。

 僕は遠くから様子を見る事しかできなかった。

「救世主様!」

「あなたこそが救世主様だったのですね!」

「どうか我らをお救いください!」

「救世主様!」

「さあ、そこから逃げるのです! 人外の者たちと決別するのです!」

 距離があるのにはっきりと聞こえる。
 どうやら、僕とエリー以外にも誰かいると思っているようだ。

「あの男は救世主じゃなかった。本物の救世主様はまだそこにおられるのですよね?」

「あの男は我々とは違った。本物の救世主様は我々と同じはずです。さあ、一緒に行きましょう」

「我々を真の楽園へ導いてください!」

 楽園?

 あの宴は何だったんだ?

 分からない。

「はあ、はあ」

「救世主様は?」

 踊り子の女二人が教会前に来た。
 僕を連れ出した二人。
 
「偽者は?」

 誰かが聞いた。

「逃げられた」

 赤い女が答える。

「偽者だと分かったのは私たちのおかげ」

 青い女は言う。

「だが、お前たちだけで楽園を目指した事は変わりない」

 二人の踊り子は黙った。

「偽の救世主を探して連れて来なさい。そうすれば、神もお許しになるでしょう」

 二人はコクンと頷いた。

 僕はいる事がバレないようにそっと移動する。

 隠れるのに良い場所はないだろうか。

 教会の周囲は木々が青々とし、町から少し離れた場所にある。
 木の陰に隠れるのは危険。
 かと言って他に隠れられそうな場所は……。
 木々に隠れるようにしながら教会の裏手の方に回る。音を出さないように、それでもできるだけ急いで。裏手に回れば人はいないはずだから。

「…………」

 だんだん声が聞き取りにくくなる。
 やはり位置的に人々の話す内容までは把握できなくなった。
 裏手に来ると予想通り人はいない。
 しかも小屋のような物が設置してあった。レンガでできた小さな小屋。物置小屋だろうか。
 早速開けてみる。
 すんなりとノブが回りドアが開く。
 鍵は掛かって無かった。

 中は暗く雑多な印象。
 ほうきやら、何かの箱やら、適当に物が置かれている。

「はしご……」

 何故かはしごが下に延びていた。
 何とか人一人通れる穴がそこにあった。

 このままここにいても見つかるかもしれない。

 そう思った僕は意を決してはしごを降りた。

 真っ暗な中を手探りで進む。
 僕の足音だけがする世界。
 ドキドキと緊張でどうにかなりそうだ。
 一体、どこに続いているのか。
 何も分からないまま僕は歩いた。
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