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ホワイトガーデン/最終話
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週明けの学校。
いつもと変わらないはずだった。
「おはよう、マカさん」
「お、おはよう。ねえ、エカテリーナ。土曜日の事なんだけどさ、修司って子も一緒にいたよね? 皆、修司の事知らないって言うの」
慌てた様子で捲くし立てる。
エカテリーナは顔色一つ変えずに言い切る。
「何言ってるの? マカさん。私たちの知り合いにそんな人はいないでしょ」
「え? 私がおかしいのかな…………?」
首を捻るマカが今度は英人にも話しかけている。
どうも納得がいかないらしい。
これで良いの。
エカテリーナはそう自分に言い聞かせた。
何度も。
何度も。
もうこの新しい世界に椎名修司なんて人間はいないのだから。
家に帰ればエカテリーナだけの修司が待っている。教えなければならない事はいくらでもあった。
放課後、廊下で会った家庭科部の乾先生にマカは呼び止められた。
「村中さん。うちの部に椎名修司って男子生徒がいなかったかって質問の事だけど」
「いましたよね?」
焦っているマカは早口になる。
「午前中にも言ったけど村中さんの勘違いじゃないかしら。名簿とか活動記録を調べたけどそんな男子いなかったわよ」
なんでマカがそんな事を言ったのか、乾は不思議で仕方なかった。
いつもと変わらないはずだった。
「おはよう、マカさん」
「お、おはよう。ねえ、エカテリーナ。土曜日の事なんだけどさ、修司って子も一緒にいたよね? 皆、修司の事知らないって言うの」
慌てた様子で捲くし立てる。
エカテリーナは顔色一つ変えずに言い切る。
「何言ってるの? マカさん。私たちの知り合いにそんな人はいないでしょ」
「え? 私がおかしいのかな…………?」
首を捻るマカが今度は英人にも話しかけている。
どうも納得がいかないらしい。
これで良いの。
エカテリーナはそう自分に言い聞かせた。
何度も。
何度も。
もうこの新しい世界に椎名修司なんて人間はいないのだから。
家に帰ればエカテリーナだけの修司が待っている。教えなければならない事はいくらでもあった。
放課後、廊下で会った家庭科部の乾先生にマカは呼び止められた。
「村中さん。うちの部に椎名修司って男子生徒がいなかったかって質問の事だけど」
「いましたよね?」
焦っているマカは早口になる。
「午前中にも言ったけど村中さんの勘違いじゃないかしら。名簿とか活動記録を調べたけどそんな男子いなかったわよ」
なんでマカがそんな事を言ったのか、乾は不思議で仕方なかった。
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