チート魔王に転生したので勇者を育ててみることにしました。

快夜ハレ

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全員食べ終わり、調理器具などを洗ってからしまい後は寝るだけ。
見張り以外が眠ったことを感じて起きる。

「あの、眠れないので一緒にいても良いですか?」
「いいぞ」

最初の見張りはトリスト。

「すみません、こういったことが初めてでなんだか楽しくて」
「いいんじゃないか。怖気付かないのも才能なんじゃないか?」
「ありがとうございます」

この中では一番年上なため、しっかりしているなということを感じる。
リーダーは勇者であるリアトがしているようだが、一緒に過ごしてみるとトリストがリーダーみたいだ。

「なあ、今日オルガが矢でスイッチを押してただろ?」
「はい、あれはすごかったですね。あんな小さい隙間を一発で当てるなんて・・・・・・」
「すごいのはヘイト、君だろ?」

やっぱり侮れないなぁ。

「俺は何もしてないですよ」
「あいつらは鈍いから気づかなかったかもしれないが俺は違う。あの時、おそらくだがオルガの矢はスイッチには当たらなかった」
「妹の腕を疑うんですか?」
「違う、そうじゃない」

このまま騙して真実を解らなくすればいい。
その方がお互い何もしなくて済む。
「オルガは矢を放ったがスイッチが押された時と、矢が刺さった時の音に時間差があった」

つまりトリストはこう言いたいんだろう。

「お前がやったんだろう?」

と。

「俺にはそんなことできませんよ」

普通なら出来ない。
トリストやリアトたちのようなレベルの魔導士には出来ない芸当だ。
だが俺はレベルが1000だから、技術も威力も周りとは違う。

「いや出来るはずだ。脱出するとき最後に風魔法を使っただろ?あそこまでの魔法はレベルが高くないと出来ないだろう」
「俺はMPが多いからいろいろなことができるんです」
「それならなぜ魔物に襲われて道で倒れていた?その能力さえあればどうとでも出来たんじゃないか?」

さっきトリストは自分は他の三人みたいに鈍くはないと言った。
だが俺からしてみれば鈍すぎるくらいだ。
その根拠としてまず俺を侮ったことだ。
人間一つや二つ知られたくないことはある・・・・・・今は人間ではなく魔族だが。
自分より強い相手と話すときは否定の言葉は言わないことだ。
もし相手が殺し屋で「殺し屋ですか?」なんて聞いたら殺されるかもしれない。
「そうですね、でもMPが多いだけで強いとは限りません」
「実際俺たちより何倍も強いんだろ?宿での回復だって高難度だ。あそこまで回復できるのは・・・・・・」

魔族とは疑われていない。
ただ、強いはずなのになぜこんな弱いパーティーに入っているのかが知りたいんだろう。

「もしそうだったとして、本当だったらどうします?」
「それは・・・・・・強かったら戦いが前より楽になるかもしれない。だが何が目的でいるのか分からない限りは信用できない」

残念・・・・・・。
俺に今必要なのは、この4人からの信頼と経験値のみだ。
あなたのように俺を疑う人は必要ない。

「そうですよね・・・・・・だからこそ俺はこうするしかない」
「えっ・・・・・・」
記憶削除ディレーション

バタッ

俺に関する記憶を一部消してしまえばいい。
起きた時に違和感を持たれないように都合がいいように置き換えられる。

次に俺を見ても疑われることはないだろう。

「出てこいシーク」
『なに?』

シークは今までずっと俺のポケットの中に姿形を変えて忍ばせていた。

「一つ頼みたいことがあるんだけどいいか?」
『いいよ~』
「母にこの手紙を渡してくれ」
『まかせて』

今即席で書いたものをシークに渡す。
そして一瞬で城の方まで飛ばす。

今までの話を聞かれていたかは気にすることではない。
トリストが俺に関する話を持ちかけてくることは分かっていたから、あらかじめ他の三人には眠っているように魔法をかけてある。
さあ俺も寝ようかな。
見張りをしていないと疑われるのは嫌なので、他が起きる前には起きておく。

これ以上は何もないといいが・・・・・・。


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