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勇者の存在

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あれからさらに8年が経ち、18歳となった。

俺は魔王としての仕事に加え、魔法の研究や鍛錬を重ねてきた。
その甲斐あって20歳に満たずして父のレベルを越し、今ではレベルMAXの1000である。
能力値は周りとは桁外れ。
今の俺のステータスは・・・・・・

Lv 1000(MAX)(男)
HP 358000/358000
MP 674000/674000
称号 転生者、魔王、アンチ勇者

レベルがMAXになった時おかしな称号が一つ増えていた。
とはどういったものなのか、そしてこれの習得条件とは・・・・・・。
それに最近新しい情報を得た。
それは新しい勇者が誕生したとのことだ。
父である前魔王を倒した勇者は、自らも傷を負い、父の数日後に亡くなったのだった。
そして最近になって新たに勇者の称号を与えられた者がいると。

そういうわけで直接勇者を見定めるためにその勇者がいるという森まで来た。

勇者を見つけるとちょうど戦っているときだった。

「はあっ!」

ザシュッ

おおっ、一撃・・・・・・と感心したいところだがやられたのは弱いやつだからな。
今勇者が倒したのは魔物の中で一番弱いやつだ。

魔物と俺たち魔族というのは全く違う生物だ。
魔物は突如として出現し、感情を持たず、ただ自分たち以外の種族を襲うようにこの世界では設定されている。
勇者のレベルはまだまだ100には満たしていない。
俺のところにたどり着くのは遥か先の未来だな。

一旦城に戻り、どうするべきかをかんがえる。
強くなりすぎた俺にましてや魔王に、敵が一人もいないというのは面白くない。
そして一つの方法を思いついた。
急遽会議を開く。

「俺はしばらく城を離れようと思う。それにあたって代理を頼みたい」

静かだったこの部屋がざわつき始める。

「何故ですかっ!」
「この目で勇者を見てきたがあれはあまりにも弱すぎる。だが素材は悪くない。よって俺が直々に育ててやろうと思う」
「それは魔王様が強すぎるからですよ」

そうは言っているが、ここにいる者は強者ばかりだ。
普段仕事ばかりしていても強さは一級品。

「俺はここを任せるくらいに貴方たちには信頼しているつもりだったが」
「魔王様・・・・・・」
「それではここは私がお受けいたしましょう」

名乗りを挙げたのは父の仕事を一番近くで手伝っていたレギアだ。

「ああ、頼んだ」

早速部屋へ戻り収納空間ストレージに大事な荷物を詰め込む。

『どこかに行くの?』
「そんなところにいたのか」

今目の前にいるこいつは直接頭の中に話しかけてくる。

「お前もついてきてくれるか?シーク」
『うん』

俺がシークと名付けたこいつはたまたま実験中に生み出された生物だ。
色々と試してみたが様々な能力を持っていた。

一つ目はレベルアップ機能
俺たちのように戦ってレベルが上がるわけではないが、魔力を注ぐことでレベルアップする。
上限は普通の2分の1の500だが、もともとの能力値が高い。
二つ目は変体機能
シーク自体が魔力を持っているため攻撃したりすることができる。
それに加えて武器になることもでき、俺はそれを使って戦っている。
なくても魔法は出せるが、あるほうが威力の高い魔法を出すことができる。
まだレベルは低いが、俺の魔力量ならすぐに上限に達するだろう。


「さあ行くか!」

ここからはワープを使って移動する。
周りの人に言われたが、俺が使う魔法はとても高難易度で使用できる者はほとんどいないと。

これから勇者と会うまでの設定はこうだ。
いきなり出てくるというのは怪しまれてしまう可能性があるのでとても重要になってくる。
まず、俺がいた村が魔物に襲われる。
必死で逃げている途中に大きな怪我をしてしまい、道に倒れているところを勇者が助ける、という設定だ。
前の戦っているところを見て100パーセント俺のことを助けるだろう。
そのための準備として、変装すること。
目も髪も黒いと魔王だと分かってしまう。
父もそうだが、歴代で黒だと決まっている。
なので髪は赤色、目は見えないことにして白に近い水色。
次は怪我を負わなければならないが・・・・・・。
服を相応のものに着替えてから自分に攻撃魔法をかける。

このとき注意をしなければならないのが音で気づかれてはならない。
すぐに来られたら魔物がいると勘違いされるからな。
とりあえず防音壁を張って痛覚麻痺をかけておく。

「インパクト」

攻撃魔法で傷を負う
後は倒れるために気絶する魔法をかける。

バタッ

ここまでは計画通り。



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