209 / 221
乗り越えるべき壁
作戦決行の時
しおりを挟む
ついに、作戦を実行する日がやって来た。
「全兵!配置につけ!魔法陣部隊、魔法陣を発動しろ!」
カレルヴォ兄上の号令と共に、遥か遠くに見える魔窟に向けて結界魔法陣が展開された。あまりに遠すぎると思ってしまうが、結界なしで魔窟に近づくのは、ここまでが限界である。
「前線、前方注意!魔力の流れの変化によって、モンスターが雪崩出て来るのを覚悟しろ!」
結界魔法陣ギリギリに帝国軍兵が配列し、剣を構えた。その傍ではサムエルが堂々とした佇まいで歌っている。周りの兵士たちは怪訝な表情をしつつも、俺やカレルヴォ兄上が黙認しているため、何も言えないでいる。
サムエルはふと歌を止めると、少し考える素振りを見せたあと、こちらに振り返った。
「殿下あ、魔窟周辺の魔力の流れに主立った乱れはないようです~」
「ありがとうございます、サムエル。ですがやはりモンスターは厄介ですから、警戒は続けるべきでしょうね」
「そうだな。サムエル、引き続き魔力の調査を頼む」
「かしこまりましたあ」
サムエルはいい笑顔で頷くと、また魔窟の方へ向き直り、歌を再開させた。歌に微量の魔力を含ませ、周囲の魔力の流れに乱れがないか確認してくれているのだ。俺たちの会話を聞いて周りの兵士たちは、原理はわからないがサムエルは何かしらの調査を行っているのだと察し、怪訝な表情を和らげた。流石カレルヴォ兄上の部下たち。順応力が高い。
俺が感心していると、じっと魔窟の方を見ていた兵士の一人が声を上げた。
「……!前方!モンスターを発見!恐らく狼が凶暴化したものかと!」
「群れを成してないか確認しろ!」
「恐らく単体です!」
「なら先手をとれ!」
「はっ!」
モンスターの報告をした兵士はどこからか取り出した結界魔法陣を発動させると、周囲の2、3人を引き連れてモンスターの方へ向かった。モンスターを素早く囲い、魔法で弱らせた後、剣でとどめを刺す。見事な連携プレイに、俺は思わず感嘆の声を出しながら拍手した。近くにいたカレルヴォ兄上はそんな俺を見て呆れたように笑う。
「……今から生死を分ける大仕事があるってのに、呑気なもんだな」
「緊張しても、何も生み出しませんから」
「まあそうだけどよ」
カレルヴォ兄上は「仕方ねぇなあ」と呟きながら頭を掻き、軍の指揮に意識を戻した。その瞳には心配の色が見えた気がした。やっぱり腹違いとはいえ、弟が危険を冒すとなると心配になるようだ。……本当に、良い兄をもったよ、俺も。
でも、もう引き返すことなんて出来ないから。
「……では、ロヴィーサ嬢。アウクスティの居場所を見つけてくれますか?」
「わかりました」
俺が隣にいたロヴィーサ嬢の方に視線をやると、ロヴィーサ嬢は小さく頷き、眉間に皺を寄せて両手を胸の前で握り締め、何やら集中する素振りを見せた。周囲の人々はそれを固唾を飲んで見守る。
「____見えました。北東の方向、丁度丘の頂上付近に、アウクスティ殿下はおられます」
「ロヴィーサ嬢、地図上で場所を示すことは出来ますか?」
「わかりました」
俺がそう問うとロヴィーサ嬢はダーヴィドから差し出された地図に顔を向け、受け取ったペンで地図上に小さな丸を描いた。俺はその地図を横から覗き込んだ後、北東の方へ視線を向ける。
「……結構な距離がありますね。アウクスティの元に辿り着く前に体力が切れてしまわないか不安です」
「なら俺がエルネスティ様を抱きかかえてお連れしましょう。俺は体力に自信がありますし、剣なら片手で振れるのでモンスターから身を守ることも可能です」
俺が眉を顰めていると、俺の隣に控えていたヴァイナモがそう提案してきた。俺はその言葉にピシッと固まってしまう。ヴァイナモに抱っこされたままアウクスティの元に向かう……?それ何の羞恥プレイ……!?
いや、でもさっき言った通り俺じゃ体力ないし、足も遅いからな……。結界魔法陣があるとしても魔窟みたいな魔力の溜まり場には長居すべきじゃないから、ヴァイナモにパッと連れてってもらった方が良いよな……。ヴァイナモなら俺を抱えたまま片手で剣を振るってモンスター倒せそうだし……。抱っこなのか……?やはり抱っこなのか……??
俺は百面相し悩みに悩んだ後、憚るような視線を逸らしながら小さく頷いた。
「ならその……よろしくお願いします……」
「はい。エルネスティ様は俺が責任を持ってお守り致します」
ヴァイナモはそう頷きながら剣を抜くと、柄を両手で握りしめて剣を地面に突き刺し、片膝をついて額を柄に置いた。騎士が誓いをたてる際の最上級の敬礼だ。いきなりの行動で一瞬焦ったが、ヴァイナモなりの意思表示だろうと解釈し、俺は頷いた。
「よろしくお願いします、ヴァイナモ」
そんな会話をしていると、軍に指示を出していたカレルヴォ兄上が再びこちらに視線を向けてきた。
「そろそろ動けるか?目視出来る限りではあるが、この辺り一帯のモンスターは撃退したぞ」
「いけます。ありがとうございます」
「礼を言われるようなモンじゃねぇよ。……必ず、生きて戻って来い」
「……わかってますよ」
カレルヴォ兄上の獅子のような軍人の眼差しに、俺は気を新たに引き締めた。どうなるかわからないこの任務、必ず完遂してみせる。
俺がしっかりと封印魔法陣を手に持ったことを確認すると、ヴァイナモは「失礼します」と一言断りを入れて俺に腕を回してきた。そして俺を左腕に座らせるように抱き上げると、右手で剣を抜く。
「大丈夫ですか?剣が振りにくいとかありませんか?」
「大丈夫です。ですが危険なので、エルネスティ様も俺にしっかり捕まっておいてくださいね」
「わかりました」
俺はヴァイナモの言葉に従い、ヴァイナモの首元に腕を回してギュッと抱きつく。恥ずかしいなんて言ってられない。今は生死のかかった重大な任務の真っ最中なんだから。
「ではカレルヴォ兄上、いってきます」
「……ああ、健闘を祈る」
俺が再度カレルヴォ兄上の方を見ると、兄上は一切「兄」の表情をしていなかった。今の俺と兄上の関係は兄弟ではなく、勅命を受けて国民のために動く同士である。ほんの少しだけ、対等になれた気がして嬉しいのは自分だけの秘密だ。
俺たちの会話が終わったことを確認したヴァイナモは、結界魔法陣に魔力を流し込んで魔法陣を発動させた。俺は結界に綻びがないか確認し、ヴァイナモに向かって軽く頷く。それを見たヴァイナモはその場にいる皆に軽く一礼をし、目的地へ向かって一直線に走り出した。
ヴァイナモの肩越しに皆の顔を確認すると、毅然としつつもやはりどこか心配するような目でこちらを見ていた。俺は彼らに少しでも安心してもらえるよう、軽く微笑んで小さく手を振った。皆、豆鉄砲を食らったような表情を見せたのが面白くて、ふっと笑いが零れる。
……彼らのためにも、絶対に成功して戻ってくるんだ。
俺はギュッと拳を握りしめ、視線を目的地へと向けた。
「全兵!配置につけ!魔法陣部隊、魔法陣を発動しろ!」
カレルヴォ兄上の号令と共に、遥か遠くに見える魔窟に向けて結界魔法陣が展開された。あまりに遠すぎると思ってしまうが、結界なしで魔窟に近づくのは、ここまでが限界である。
「前線、前方注意!魔力の流れの変化によって、モンスターが雪崩出て来るのを覚悟しろ!」
結界魔法陣ギリギリに帝国軍兵が配列し、剣を構えた。その傍ではサムエルが堂々とした佇まいで歌っている。周りの兵士たちは怪訝な表情をしつつも、俺やカレルヴォ兄上が黙認しているため、何も言えないでいる。
サムエルはふと歌を止めると、少し考える素振りを見せたあと、こちらに振り返った。
「殿下あ、魔窟周辺の魔力の流れに主立った乱れはないようです~」
「ありがとうございます、サムエル。ですがやはりモンスターは厄介ですから、警戒は続けるべきでしょうね」
「そうだな。サムエル、引き続き魔力の調査を頼む」
「かしこまりましたあ」
サムエルはいい笑顔で頷くと、また魔窟の方へ向き直り、歌を再開させた。歌に微量の魔力を含ませ、周囲の魔力の流れに乱れがないか確認してくれているのだ。俺たちの会話を聞いて周りの兵士たちは、原理はわからないがサムエルは何かしらの調査を行っているのだと察し、怪訝な表情を和らげた。流石カレルヴォ兄上の部下たち。順応力が高い。
俺が感心していると、じっと魔窟の方を見ていた兵士の一人が声を上げた。
「……!前方!モンスターを発見!恐らく狼が凶暴化したものかと!」
「群れを成してないか確認しろ!」
「恐らく単体です!」
「なら先手をとれ!」
「はっ!」
モンスターの報告をした兵士はどこからか取り出した結界魔法陣を発動させると、周囲の2、3人を引き連れてモンスターの方へ向かった。モンスターを素早く囲い、魔法で弱らせた後、剣でとどめを刺す。見事な連携プレイに、俺は思わず感嘆の声を出しながら拍手した。近くにいたカレルヴォ兄上はそんな俺を見て呆れたように笑う。
「……今から生死を分ける大仕事があるってのに、呑気なもんだな」
「緊張しても、何も生み出しませんから」
「まあそうだけどよ」
カレルヴォ兄上は「仕方ねぇなあ」と呟きながら頭を掻き、軍の指揮に意識を戻した。その瞳には心配の色が見えた気がした。やっぱり腹違いとはいえ、弟が危険を冒すとなると心配になるようだ。……本当に、良い兄をもったよ、俺も。
でも、もう引き返すことなんて出来ないから。
「……では、ロヴィーサ嬢。アウクスティの居場所を見つけてくれますか?」
「わかりました」
俺が隣にいたロヴィーサ嬢の方に視線をやると、ロヴィーサ嬢は小さく頷き、眉間に皺を寄せて両手を胸の前で握り締め、何やら集中する素振りを見せた。周囲の人々はそれを固唾を飲んで見守る。
「____見えました。北東の方向、丁度丘の頂上付近に、アウクスティ殿下はおられます」
「ロヴィーサ嬢、地図上で場所を示すことは出来ますか?」
「わかりました」
俺がそう問うとロヴィーサ嬢はダーヴィドから差し出された地図に顔を向け、受け取ったペンで地図上に小さな丸を描いた。俺はその地図を横から覗き込んだ後、北東の方へ視線を向ける。
「……結構な距離がありますね。アウクスティの元に辿り着く前に体力が切れてしまわないか不安です」
「なら俺がエルネスティ様を抱きかかえてお連れしましょう。俺は体力に自信がありますし、剣なら片手で振れるのでモンスターから身を守ることも可能です」
俺が眉を顰めていると、俺の隣に控えていたヴァイナモがそう提案してきた。俺はその言葉にピシッと固まってしまう。ヴァイナモに抱っこされたままアウクスティの元に向かう……?それ何の羞恥プレイ……!?
いや、でもさっき言った通り俺じゃ体力ないし、足も遅いからな……。結界魔法陣があるとしても魔窟みたいな魔力の溜まり場には長居すべきじゃないから、ヴァイナモにパッと連れてってもらった方が良いよな……。ヴァイナモなら俺を抱えたまま片手で剣を振るってモンスター倒せそうだし……。抱っこなのか……?やはり抱っこなのか……??
俺は百面相し悩みに悩んだ後、憚るような視線を逸らしながら小さく頷いた。
「ならその……よろしくお願いします……」
「はい。エルネスティ様は俺が責任を持ってお守り致します」
ヴァイナモはそう頷きながら剣を抜くと、柄を両手で握りしめて剣を地面に突き刺し、片膝をついて額を柄に置いた。騎士が誓いをたてる際の最上級の敬礼だ。いきなりの行動で一瞬焦ったが、ヴァイナモなりの意思表示だろうと解釈し、俺は頷いた。
「よろしくお願いします、ヴァイナモ」
そんな会話をしていると、軍に指示を出していたカレルヴォ兄上が再びこちらに視線を向けてきた。
「そろそろ動けるか?目視出来る限りではあるが、この辺り一帯のモンスターは撃退したぞ」
「いけます。ありがとうございます」
「礼を言われるようなモンじゃねぇよ。……必ず、生きて戻って来い」
「……わかってますよ」
カレルヴォ兄上の獅子のような軍人の眼差しに、俺は気を新たに引き締めた。どうなるかわからないこの任務、必ず完遂してみせる。
俺がしっかりと封印魔法陣を手に持ったことを確認すると、ヴァイナモは「失礼します」と一言断りを入れて俺に腕を回してきた。そして俺を左腕に座らせるように抱き上げると、右手で剣を抜く。
「大丈夫ですか?剣が振りにくいとかありませんか?」
「大丈夫です。ですが危険なので、エルネスティ様も俺にしっかり捕まっておいてくださいね」
「わかりました」
俺はヴァイナモの言葉に従い、ヴァイナモの首元に腕を回してギュッと抱きつく。恥ずかしいなんて言ってられない。今は生死のかかった重大な任務の真っ最中なんだから。
「ではカレルヴォ兄上、いってきます」
「……ああ、健闘を祈る」
俺が再度カレルヴォ兄上の方を見ると、兄上は一切「兄」の表情をしていなかった。今の俺と兄上の関係は兄弟ではなく、勅命を受けて国民のために動く同士である。ほんの少しだけ、対等になれた気がして嬉しいのは自分だけの秘密だ。
俺たちの会話が終わったことを確認したヴァイナモは、結界魔法陣に魔力を流し込んで魔法陣を発動させた。俺は結界に綻びがないか確認し、ヴァイナモに向かって軽く頷く。それを見たヴァイナモはその場にいる皆に軽く一礼をし、目的地へ向かって一直線に走り出した。
ヴァイナモの肩越しに皆の顔を確認すると、毅然としつつもやはりどこか心配するような目でこちらを見ていた。俺は彼らに少しでも安心してもらえるよう、軽く微笑んで小さく手を振った。皆、豆鉄砲を食らったような表情を見せたのが面白くて、ふっと笑いが零れる。
……彼らのためにも、絶対に成功して戻ってくるんだ。
俺はギュッと拳を握りしめ、視線を目的地へと向けた。
312
お気に入りに追加
3,828
あなたにおすすめの小説

【第2部開始】悪役令息ですが、家族のため精一杯生きているので邪魔しないでください~僕の執事は僕にだけイケすぎたオジイです~
ちくわぱん
BL
【第2部開始 更新は少々ゆっくりです】ハルトライアは前世を思い出した。自分が物語の当て馬兼悪役で、王子と婚約するがのちに魔王になって結局王子と物語の主役に殺される未来を。死にたくないから婚約を回避しようと王子から逃げようとするが、なぜか好かれてしまう。とにかく悪役にならぬように魔法も武術も頑張って、自分のそばにいてくれる執事とメイドを守るんだ!と奮闘する日々。そんな毎日の中、困難は色々振ってくる。やはり当て馬として死ぬしかないのかと苦しみながらも少しずつ味方を増やし成長していくハルトライア。そして執事のカシルもまた、ハルトライアを守ろうと陰ながら行動する。そんな二人の努力と愛の記録。両片思い。じれじれ展開ですが、ハピエン。

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる