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乗り越えるべき壁
騎士になりたかった少女 ※No Side※ 【前編】
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「アンティア!食料が足りねぇ!ヴァルヴィオ子爵の元に行って食料の手配を頼む!」
「わかりました!」
上司の怒号にも似た指示に対し、アンティア・カーリ・ラウタヴァーラは気分を害することなく、むしろ腹から声を張った令嬢らしからぬ返事をして駆け出した。
ヴァルヴィオ子爵領某所。そこではヘルレヴィ旧男爵領から逃れた人々の避難所となっており、帝国軍第十部隊の隊員たちが彼らの支援にあたっていた。アンティアは帝国軍兵でも何でもないが、今回は帝国軍第十部隊の隊員として、あちこちを走り回っていた。
というのもアンティアは最近、帝国軍兵と混じって訓練するようになっていた。ヴァイナモに稽古をつけてもらった日の後、カレルヴォがわざわざアンティアの元を訪れて、帝国軍兵として訓練を受けないかと提案してきたのだ。アンティアとしては騎士になりたいが、このまま我流で剣の鍛錬を続けても上達しないと感じていたので、この機会を逃すものかと二つ返事した。今回の作戦にも、帝国軍第十部隊の隊員として参加するように言われたため、異例中の異例でこの場にいる。
アンティアは帝国軍兵ではない上に、貴き血の流れる公爵令嬢である。しかしだからといって特別扱いされることはない。訓練中も他の兵士と同様に扱かれるし、今回の作戦でも他の隊員たちと同様に上司に使役される。そのことはアンティアにとってはさほど苦ではなかった。カレルヴォの誘いに乗ったその時から、彼女は帝国軍兵と同等なのだ。蝶よ花よと大事にされる公爵令嬢ではない。支給された新品の制服は、その決意の表れだ。
しかし胸の何処かで、自分がこのような場所で働いていることに不満を感じていた。もっと作戦の本筋に関わる任務を任されると思っていたアンティアは、ヴァルヴィオ子爵領での支援活動を命じられて拍子抜けしたのだ。流石に現役の兵士でもない自分が危険な任務に関わらせてもらえないか、と納得する気持ちももちろんある。しかしそれとは別に、自分には作戦の本筋に関われるほどの実力がないと、侮られているようにも感じたのだ。それはこれからの働きでいくらでも覆せるだろうが、正直支援活動ではそれは見込めない。まるで出世街道を外された文官のような心持ちだ。
だが、だからといってアンティアには与えられた任務を怠るつもりは毛頭ない。助けを求める民衆を救うことは、貴族としての義務でもあるからだ。
ヴァルヴィオ子爵領に避難してきた人々には、開けた平地に仮設でテントを貼って過ごしてもらっているが、そこには危険が沢山ある。食料や衛生面、体調不良者の治療に避難者間の争い事の仲裁、さらに夜間だと野生動物への警戒など、問題は多岐に渡っている。それをひとつひとつ解決していくのは大変だが、非常にやりがいもある。もしかしたらこれこそ民を守る貴族のあるべき姿なのかもしれない。アンティアはそんなことを思い始めていた。
アンティアは自分に新たな視点を与えてくれたカレルヴォに感謝していた。感謝はしているが、それと同時にカレルヴォが自分を気にかけてくれる理由がわからないため、不安でもあった。
アンティアはずっと気がかりだった。何故カレルヴォは自分を帝国軍兵の訓練や今回の作戦に参加させたのだろう、ということが。アンティアは、自分がわざわざカレルヴォに目をかけてもらえるほどの実力はないと自覚している。声をかけてもらえた時は一瞬「自分には突出した強さがあるのか?」と期待しなくもなかったが、それは訓練が始まればすぐに打ち砕かれた。そもそも体格や体力差がある中で、普段から厳しい訓練を積み重ねてきた兵士と、剣の鍛錬はしていたとはいえ公爵令嬢として無理のない程度に抑えていたアンティア。そこに実力の差が出ることは至極当然のことだった。アンティアは「やはり自分には武術における天賦の才は無かったのだな」と少し落ち込んだものだ。
それは兎も角、現状カレルヴォにはアンティアを気にかける理由も義理もない。何か見返りを要求されたこともない。誰かから頼まれたのか、この先何かに自分を利用しようと考えているのか。意図のわからない無償の善意ほど恐ろしいものはない。
自分に待ち受けている未来は栄光か暗転か。アンティアは先の見えない日々に一抹の焦りを感じていた。
焦りと言えば。アンティアは未だにヴァイナモからの問に答えが出せていないことにも焦りを感じていた。
ヴァイナモに訓練を施してもらったあの日。ヴァイナモはアンティアの剣筋を受け止めながらアンティアに色々と質問を投げかけてきた。アンティアが攻勢で、ヴァイナモは守ることしか出来ないという圧倒的不利な条件下であるにも関わらず、彼は息も切らさず剣を受け流しアンティアの答えに反応していく。アンティアにはその質問の数々に何の意味があるのかわからなかったが、息が上がって声も出せないなんてみっともないと思ったため、息を絶え絶えにしながらも律儀に質問に答えて言った。
ヴァイナモが勢いよく剣を払い除け、アンティアもそれに負けじと剣を振り上げたその時、ヴァイナモに言われた言葉に、アンティアは心をかき乱された。
____アンティアは何故騎士になりたいんだ?
アンティアは一瞬、言葉に詰まった。しかし直ぐに気を取り直して、はっきりとこう言った。
「……伯父のようなっ、素晴らしい人間にっ、なりたいからですっ」
これはマティルダに出会えたからこそ思い出せた、騎士になりたい本当の理由。これまでのアンティアなら、女である自分を侮ってくる人達を見返したい、そして女性の価値をもっと上げたいからと答えていただろう。アンティアは女である自分が剣を握り、騎士を目指すことを反対され続けてきたが、それでも自分は正しいと肯定したかった。騎士になれば、それが出来ると思っていた。
しかしそんな不純な理由で騎士になるべきではないと、マティルダを通して痛感した。マティルダは純粋に家具造りが好きだから家具職人になりたい。何かになりたい理由は、それだけで良いのだ。むしろ見返したいだとか地位向上だとか色々考える方が、間違っているんだ。
アンティアは自信満々にそう答えた。しかしヴァイナモはアンティアの答えに、ピクリと眉を少しだけ顰めた。
____それは、本当にアンティアが騎士になりたい理由か?
ヴァイナモの問いかけにアンティアは動揺した。何故、そんなことを聞くのか。本当に決まっている。だって自分は伯父の姿に憧れて、剣を習い始めた。そして伯父のようになりたいからと、騎士を目指し始めた。理由はそれだけで十分だ。後から付け足されたような不純な理由など、切り捨てるべきなのだ。
だけど何故か、肯定の言葉を口にすることが出来なかった。何かが喉につっかえたように、声を遮断する。ヴァイナモは続けて、こう問いかけてきた。
____アンティア、お前は本当に騎士になりたいのか?
なりたいに決まってる。そう思ったアンティアは直ぐに肯定の言葉を口にしようとした。しかしやはり、喉から思うように声が出なかった。無意識のうちに、その問いかけに肯定するのを躊躇ったのだ。アンティアはそんな自分に驚き、ヴァイナモは目をスッと細めた。
____アンティア、今のその心持ちのまま騎士になるのは辞めておいた方が良い。
「……っ!」
その言葉を思い出すだけで、今でも破壊衝動が湧き上がる。その時も思わず全力でヴァイナモに剣を振り下ろしてしまった。まるで見透かされているような、不快な感じがしたのだ。
恐らく、ヴァイナモはわかっていた。今のアンティアが騎士を目指す理由は、伯父ではないことを。
確かに最初は伯父のような人になりたいという純粋な理由だった。伯父は強くて、優しかった。騎士になったら、そんな伯父みたいな人に自分もなれると思った。だから剣術を学び、騎士を目指し始めた。
しかしそこからだんだんと、アンティアの気持ちは変化していった。自分を女だと侮った奴らを見返したい、という不純な気持ちに。女が剣を握り、騎士を目指すことを反対され、自分を否定され続ける中で、最初にあった純粋な理由はどこかに消え去ってしまった。伯父がどのような人であったかなんて、もう朧気だ。そんな伯父のことを自分の目指すべき姿に据えても、何の実感も活力も湧いてこない。なんとも空虚で、ゴールの見えない目標であった。
そう。今の自分が騎士になりたい理由は、不純なものだ。自分を女だと侮ってくる奴らを見返したい。自分を女だからと馬鹿にしてくる人間を、少しでも減らしたい。
でも、それの何が悪い?
そうだ、自分がそう思うのは何も間違ってはいないはずだ。
確かにそういった理由は不純かもしれない。でも自分以上に不純でちっぽけな理由で騎士になった人は大勢いるはずだ。そんな中で、自分の騎士になる大義名分だけが、清いものでなくてはならないなんてことはないはずだ。
自分は騎士になるしかないんだ。
周りの人々から否定され続けても尚、剣を握り続けた自分を肯定するには。自分のこれまでの努力が無駄ではなかったと、自分が正しいと証明するには。
でもヴァイナモは、そんな不純な理由で騎士になるべきではないと言うのか?
目の前の尊敬すべき相手は、自分のこれまでの人生を、今の自分の心情を否定しているのか?
騎士になるのは辞めておいた方が良い。
なら自分は何になれば良いんだ?
自暴自棄になり、剣を落として泣いてしまったアンティアに、ヴァイナモはこう言った。
____自分が本当に目指しているものを探すのは、今からでも遅くはない。
自分が本当に目指しているもの。ヴァイナモは、それは騎士ではないとでも言うのか?
……わからない。自分が目指しているものは、今も昔も騎士だったのだ。今更他の目標を探せと言われても、無理に決まってる。
アンティアがそんなことを悶々と考えていると、ヴァルヴィオ子爵邸まで辿り着いていた。今は自分の今後のことより、目の前の任務だ。アンティアは頭を振って気を取り直し、堂々とした様子で中へ入っていった。
「わかりました!」
上司の怒号にも似た指示に対し、アンティア・カーリ・ラウタヴァーラは気分を害することなく、むしろ腹から声を張った令嬢らしからぬ返事をして駆け出した。
ヴァルヴィオ子爵領某所。そこではヘルレヴィ旧男爵領から逃れた人々の避難所となっており、帝国軍第十部隊の隊員たちが彼らの支援にあたっていた。アンティアは帝国軍兵でも何でもないが、今回は帝国軍第十部隊の隊員として、あちこちを走り回っていた。
というのもアンティアは最近、帝国軍兵と混じって訓練するようになっていた。ヴァイナモに稽古をつけてもらった日の後、カレルヴォがわざわざアンティアの元を訪れて、帝国軍兵として訓練を受けないかと提案してきたのだ。アンティアとしては騎士になりたいが、このまま我流で剣の鍛錬を続けても上達しないと感じていたので、この機会を逃すものかと二つ返事した。今回の作戦にも、帝国軍第十部隊の隊員として参加するように言われたため、異例中の異例でこの場にいる。
アンティアは帝国軍兵ではない上に、貴き血の流れる公爵令嬢である。しかしだからといって特別扱いされることはない。訓練中も他の兵士と同様に扱かれるし、今回の作戦でも他の隊員たちと同様に上司に使役される。そのことはアンティアにとってはさほど苦ではなかった。カレルヴォの誘いに乗ったその時から、彼女は帝国軍兵と同等なのだ。蝶よ花よと大事にされる公爵令嬢ではない。支給された新品の制服は、その決意の表れだ。
しかし胸の何処かで、自分がこのような場所で働いていることに不満を感じていた。もっと作戦の本筋に関わる任務を任されると思っていたアンティアは、ヴァルヴィオ子爵領での支援活動を命じられて拍子抜けしたのだ。流石に現役の兵士でもない自分が危険な任務に関わらせてもらえないか、と納得する気持ちももちろんある。しかしそれとは別に、自分には作戦の本筋に関われるほどの実力がないと、侮られているようにも感じたのだ。それはこれからの働きでいくらでも覆せるだろうが、正直支援活動ではそれは見込めない。まるで出世街道を外された文官のような心持ちだ。
だが、だからといってアンティアには与えられた任務を怠るつもりは毛頭ない。助けを求める民衆を救うことは、貴族としての義務でもあるからだ。
ヴァルヴィオ子爵領に避難してきた人々には、開けた平地に仮設でテントを貼って過ごしてもらっているが、そこには危険が沢山ある。食料や衛生面、体調不良者の治療に避難者間の争い事の仲裁、さらに夜間だと野生動物への警戒など、問題は多岐に渡っている。それをひとつひとつ解決していくのは大変だが、非常にやりがいもある。もしかしたらこれこそ民を守る貴族のあるべき姿なのかもしれない。アンティアはそんなことを思い始めていた。
アンティアは自分に新たな視点を与えてくれたカレルヴォに感謝していた。感謝はしているが、それと同時にカレルヴォが自分を気にかけてくれる理由がわからないため、不安でもあった。
アンティアはずっと気がかりだった。何故カレルヴォは自分を帝国軍兵の訓練や今回の作戦に参加させたのだろう、ということが。アンティアは、自分がわざわざカレルヴォに目をかけてもらえるほどの実力はないと自覚している。声をかけてもらえた時は一瞬「自分には突出した強さがあるのか?」と期待しなくもなかったが、それは訓練が始まればすぐに打ち砕かれた。そもそも体格や体力差がある中で、普段から厳しい訓練を積み重ねてきた兵士と、剣の鍛錬はしていたとはいえ公爵令嬢として無理のない程度に抑えていたアンティア。そこに実力の差が出ることは至極当然のことだった。アンティアは「やはり自分には武術における天賦の才は無かったのだな」と少し落ち込んだものだ。
それは兎も角、現状カレルヴォにはアンティアを気にかける理由も義理もない。何か見返りを要求されたこともない。誰かから頼まれたのか、この先何かに自分を利用しようと考えているのか。意図のわからない無償の善意ほど恐ろしいものはない。
自分に待ち受けている未来は栄光か暗転か。アンティアは先の見えない日々に一抹の焦りを感じていた。
焦りと言えば。アンティアは未だにヴァイナモからの問に答えが出せていないことにも焦りを感じていた。
ヴァイナモに訓練を施してもらったあの日。ヴァイナモはアンティアの剣筋を受け止めながらアンティアに色々と質問を投げかけてきた。アンティアが攻勢で、ヴァイナモは守ることしか出来ないという圧倒的不利な条件下であるにも関わらず、彼は息も切らさず剣を受け流しアンティアの答えに反応していく。アンティアにはその質問の数々に何の意味があるのかわからなかったが、息が上がって声も出せないなんてみっともないと思ったため、息を絶え絶えにしながらも律儀に質問に答えて言った。
ヴァイナモが勢いよく剣を払い除け、アンティアもそれに負けじと剣を振り上げたその時、ヴァイナモに言われた言葉に、アンティアは心をかき乱された。
____アンティアは何故騎士になりたいんだ?
アンティアは一瞬、言葉に詰まった。しかし直ぐに気を取り直して、はっきりとこう言った。
「……伯父のようなっ、素晴らしい人間にっ、なりたいからですっ」
これはマティルダに出会えたからこそ思い出せた、騎士になりたい本当の理由。これまでのアンティアなら、女である自分を侮ってくる人達を見返したい、そして女性の価値をもっと上げたいからと答えていただろう。アンティアは女である自分が剣を握り、騎士を目指すことを反対され続けてきたが、それでも自分は正しいと肯定したかった。騎士になれば、それが出来ると思っていた。
しかしそんな不純な理由で騎士になるべきではないと、マティルダを通して痛感した。マティルダは純粋に家具造りが好きだから家具職人になりたい。何かになりたい理由は、それだけで良いのだ。むしろ見返したいだとか地位向上だとか色々考える方が、間違っているんだ。
アンティアは自信満々にそう答えた。しかしヴァイナモはアンティアの答えに、ピクリと眉を少しだけ顰めた。
____それは、本当にアンティアが騎士になりたい理由か?
ヴァイナモの問いかけにアンティアは動揺した。何故、そんなことを聞くのか。本当に決まっている。だって自分は伯父の姿に憧れて、剣を習い始めた。そして伯父のようになりたいからと、騎士を目指し始めた。理由はそれだけで十分だ。後から付け足されたような不純な理由など、切り捨てるべきなのだ。
だけど何故か、肯定の言葉を口にすることが出来なかった。何かが喉につっかえたように、声を遮断する。ヴァイナモは続けて、こう問いかけてきた。
____アンティア、お前は本当に騎士になりたいのか?
なりたいに決まってる。そう思ったアンティアは直ぐに肯定の言葉を口にしようとした。しかしやはり、喉から思うように声が出なかった。無意識のうちに、その問いかけに肯定するのを躊躇ったのだ。アンティアはそんな自分に驚き、ヴァイナモは目をスッと細めた。
____アンティア、今のその心持ちのまま騎士になるのは辞めておいた方が良い。
「……っ!」
その言葉を思い出すだけで、今でも破壊衝動が湧き上がる。その時も思わず全力でヴァイナモに剣を振り下ろしてしまった。まるで見透かされているような、不快な感じがしたのだ。
恐らく、ヴァイナモはわかっていた。今のアンティアが騎士を目指す理由は、伯父ではないことを。
確かに最初は伯父のような人になりたいという純粋な理由だった。伯父は強くて、優しかった。騎士になったら、そんな伯父みたいな人に自分もなれると思った。だから剣術を学び、騎士を目指し始めた。
しかしそこからだんだんと、アンティアの気持ちは変化していった。自分を女だと侮った奴らを見返したい、という不純な気持ちに。女が剣を握り、騎士を目指すことを反対され、自分を否定され続ける中で、最初にあった純粋な理由はどこかに消え去ってしまった。伯父がどのような人であったかなんて、もう朧気だ。そんな伯父のことを自分の目指すべき姿に据えても、何の実感も活力も湧いてこない。なんとも空虚で、ゴールの見えない目標であった。
そう。今の自分が騎士になりたい理由は、不純なものだ。自分を女だと侮ってくる奴らを見返したい。自分を女だからと馬鹿にしてくる人間を、少しでも減らしたい。
でも、それの何が悪い?
そうだ、自分がそう思うのは何も間違ってはいないはずだ。
確かにそういった理由は不純かもしれない。でも自分以上に不純でちっぽけな理由で騎士になった人は大勢いるはずだ。そんな中で、自分の騎士になる大義名分だけが、清いものでなくてはならないなんてことはないはずだ。
自分は騎士になるしかないんだ。
周りの人々から否定され続けても尚、剣を握り続けた自分を肯定するには。自分のこれまでの努力が無駄ではなかったと、自分が正しいと証明するには。
でもヴァイナモは、そんな不純な理由で騎士になるべきではないと言うのか?
目の前の尊敬すべき相手は、自分のこれまでの人生を、今の自分の心情を否定しているのか?
騎士になるのは辞めておいた方が良い。
なら自分は何になれば良いんだ?
自暴自棄になり、剣を落として泣いてしまったアンティアに、ヴァイナモはこう言った。
____自分が本当に目指しているものを探すのは、今からでも遅くはない。
自分が本当に目指しているもの。ヴァイナモは、それは騎士ではないとでも言うのか?
……わからない。自分が目指しているものは、今も昔も騎士だったのだ。今更他の目標を探せと言われても、無理に決まってる。
アンティアがそんなことを悶々と考えていると、ヴァルヴィオ子爵邸まで辿り着いていた。今は自分の今後のことより、目の前の任務だ。アンティアは頭を振って気を取り直し、堂々とした様子で中へ入っていった。
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