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乗り越えるべき壁
役割という名の呪縛※No Side※ 【後編】
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「……っそれが嫌なんだよ!」
シーウェルトの言葉に頭にきたアルットゥリはいきなりそう怒鳴った。いつの間にか座席に振り下ろされていた拳に熱が通っていく。シーウェルトは目を丸くするが、アルットゥリはお構い無しに話を続けた。
「そんなの僕でなくても出来るじゃないか!僕は皇帝になるという、僕にしか出来ない役割を背負って来たのに!」
「……君にはそんな大それた役割があるのか」
「ああそうだね!お前が笑うのも無理はないさ!そんな役割、俺が勝手に見ていた幻想なんだからね!この世界に役割なんてものはない!僕なんて何の役割も持たない、いてもいなくても構わない存在さ!」
腰を座席から少し上げて肩で息をするアルットゥリに、シーウェルトは真剣な眼差しで見つめ返す。嫌な沈黙がその場を支配した。頭の冷えたアルットゥリは気まずそうに腰を下ろす。
「……私としては与えられた役割がどうとか、あまり気にする必要はないと思うがな」
「……っお前に何がっ……!」
「わからないさ。だから私は私の持論を展開する」
シーウェルトの有無を言わせぬ態度にアルットゥリは何も言い返せず、口を噤んだ。シーウェルトは話を続ける。
「もしこの世界に役割というものが存在するなら、私は絶対に王太子にはなるべきではない。何故なら私はベイエル王国第二王子だからかだ。ベイエル王国は第一王子が王太子となることとなっている。なら第二王子の私の役割は、王太子である兄の補佐か、波風を立てないように社交界からフェードアウトすることだろう。だが私はそれは嫌だ。あんな愚兄に我が国を任せるなんて耐えられない。だから私は王太子になれるよう、色々と手を回している」
「……そう簡単に昔からの慣例を覆せるのかい?」
「簡単ではないが、出来るさ。それが私の使命だと思っているからな」
「……使命」
「……いや、使命とかそういう大それたものじゃないな。自分がやりたいから、やっているんだ。それを聞こえが良いようにするために使命だとかの言葉で言い換えているだ」
自信満々にそう言ってのけるシーウェルトにアルットゥリは絶句した。役割だとか使命だとかは自分とは異なる存在から与えられるものである。それを自分で勝手に決めてしまうだなんて。なんて傲慢なんだ。アルットゥリが何も言えないでいると、シーウェルトは悪戯っ子のようにニヤリと笑った。
「人間誰しもそんなものだ。君だってそうだろう?皇帝になるのが君の役割だなんて、誰が言い出した?その者は何故、君にそんな役割があるとわかった?神のお告げがあったのか?いや違うだろう。君がそうなって欲しいから、自分の思い通りになって欲しいからそう言ったのだ。そんなものだ、人間なんて」
シーウェルトの脳裏には、幼い頃から何度も見た夢が思い浮かんでいた。どれだけ努力しても、正当に評価されない。他人の数倍の成果を出して初めて認められた。それでも乗り越えることの出来ない壁が多く立ち塞がる。理不尽だ。悔しい。憎い。空色への憎悪を前に薄れていた様々な不満が、空色への執着を払うことによって次々と思い出されていった。いや、無意識下にはずっと心に抱いていたのだろう。だから自分は幼い頃から第二王子ながらも王太子の座を狙っていた。今度こそ夢の中で受けていた雪辱を果たすために。
「人間は自分勝手だ。なら私が憚る必要などない。やりたいことを堂々と使命として掲げ、努力してもぎ取ってみせるさ」
悪夢を振り切るためにも。
シーウェルトはアルットゥリに聞こえないぐらい小さな声でそう付け加えた。「使命」という言葉はシーウェルトが幼い頃から縛られ続けていた呪縛から解放してくれるものであった。空色は決して自分を裏切った訳では無い。いつでも自分の味方となってくれるのだ。そう信じるための魔法の言葉でもあった。
「……やりたいこと……」
アルットゥリは放心状態でそう反芻した。そう言われても、今まで「役割」に縛られて生きてきたアルットゥリにとって、自分のしたいことなど思いつかなかった。アルットゥリは、別に何かを成し遂げたかった訳でも、ましてや皇子として帝国の役に立ちたかった訳でもなかった。ただ只管、それを役割だと信じて、がむしゃらに努力して、色々我慢して……。
その時、アルットゥリからある言葉がこぼれ落ちた。
「……友達が欲しい」
それは成人して早10年が経とうとしている男性が言うには、あまりにも幼稚な言葉だった。だがそれがアルットゥリの全てだった。何故アルットゥリは「役割」に固執したのか。その大きな原因に、「何故他の子供達は友達を作って楽しそうにしているのに、自分はそれが出来ないのか」という強い憤りがあったのだ。それを「役割」のせいにして、自分は他の子供達とは違うのだ、と優越感を感じることで紛らわしていたのだ。
でも何かひとつ、今までの人生において何が欲しかったかと聞かれたら。
友達が欲しかった。
一緒に笑いあって、慰めあって、ぶつかり合って、高めあえるような、そんな友達が欲しかった。
アルットゥリは決して皇帝の器は持ち合わせていなかった。平凡であった。友達と和気あいあいとして、平穏に生きたかったのだ。
その願いを諦めるための「役割」だったのだ。
アルットゥリの返答が意外だったシーウェルトは目を丸くした。そして一瞬のうちに考えを巡らせ、ほぼ反射的に口を開いた。
「……友人になら、私がなってやろうか?」
「……いえ、流石に僕達は歳が10ほど離れているから、友達は無理ではないかい?」
「友人になるのに、歳など関係ないだろう。私は一向に構わないが」
「……僕は変なプライドだけが厄介に育った人間だぞ?今だって、ベイエル王国との交渉なんて大役、荷が重くて逃げ出したいと思ってるんだぞ?」
「普通そんな仕事、誰もしたがらないだろう。誰かがやらないといけないから、実績の残したい命知らずがやるもんだ」
「……僕には特にこれといった特技はないぞ?」
「君にはこれまで皇帝になるための教養があるじゃないか。是非その知識を私にも共有して欲しいのだが」
「……本当に僕なんかで良いのか?」
「ああ。むしろ君が良い」
シーウェルトのこの言葉が決め手となり、アルットゥリは顔を赤くして俯いてしまった。彼はこのような可愛らしい表情も出来るのか、とシーウェルトはまじまじとアルットゥリの顔を見る。
「……なっ、なんだね、急に。そんなまじまじと僕を見て」
「いや、そんな可愛らしい反応も出来るのだな、と思ってな」
「なっ、可愛っ!?」
アルットゥリは顔を真っ赤にさせて自らの太ももをバシンと叩いて抗議した。シーウェルトはクックックと笑うと、アルットゥリに向けて握手を求めるように手を差し出した。
「まあとりあえず、これから友達と言うことで、よろしくな、アル」
「あっ、アル、だとっ!?」
「親しい間柄だと愛称で呼び合うものだろう。私のこともウェルで良いぞ」
アルットゥリは差し出された手を警戒心むき出しで見つめた。そしておずおずと自分の手も差し出して行く。その様子にシーウェルトは黒猫のようだ、という考えが過ぎった。成人男性に対して抱く考えに似つかわしくないが、実際そうなのだから仕方ない。アルットゥリと言いエルネスティと言い、帝国の皇子には本当にあの厳しい皇帝の血を引いているのかと疑いたくなるような可愛らしい奴が多い、とシーウェルトは思った。
「……よっ、よろしく、ウェル」
アルットゥリの恐る恐る繋がれた手と、弱々しいそんな言葉にシーウェルトは形容し難い感情に襲われた。胸のざわめきに首を傾げながらも、気にせず会話を続けることにした。
「……よし。なら友人となって初めての共同作業として、陛下の説得を頑張ろうな」
「……と言っても僕はただ居るだけでいいのだから、とても共同作業だなんて言えないじゃないか」
「いや、アルにやる気があるなら、とあることをお願いしたいんだ」
アルットゥリは片眉をピクリと動かし、怪訝そうな表情を見せた。怪しむようなその態度にシーウェルトは心外だな、と感じつつ、無意識に上がっていた口角をそのままに作戦を話し始めるのだった。
* * * * * * * * *
2024/09/11
一部誤字を修正しました。
2024/09/13
一部誤字を修正しました。
シーウェルトの言葉に頭にきたアルットゥリはいきなりそう怒鳴った。いつの間にか座席に振り下ろされていた拳に熱が通っていく。シーウェルトは目を丸くするが、アルットゥリはお構い無しに話を続けた。
「そんなの僕でなくても出来るじゃないか!僕は皇帝になるという、僕にしか出来ない役割を背負って来たのに!」
「……君にはそんな大それた役割があるのか」
「ああそうだね!お前が笑うのも無理はないさ!そんな役割、俺が勝手に見ていた幻想なんだからね!この世界に役割なんてものはない!僕なんて何の役割も持たない、いてもいなくても構わない存在さ!」
腰を座席から少し上げて肩で息をするアルットゥリに、シーウェルトは真剣な眼差しで見つめ返す。嫌な沈黙がその場を支配した。頭の冷えたアルットゥリは気まずそうに腰を下ろす。
「……私としては与えられた役割がどうとか、あまり気にする必要はないと思うがな」
「……っお前に何がっ……!」
「わからないさ。だから私は私の持論を展開する」
シーウェルトの有無を言わせぬ態度にアルットゥリは何も言い返せず、口を噤んだ。シーウェルトは話を続ける。
「もしこの世界に役割というものが存在するなら、私は絶対に王太子にはなるべきではない。何故なら私はベイエル王国第二王子だからかだ。ベイエル王国は第一王子が王太子となることとなっている。なら第二王子の私の役割は、王太子である兄の補佐か、波風を立てないように社交界からフェードアウトすることだろう。だが私はそれは嫌だ。あんな愚兄に我が国を任せるなんて耐えられない。だから私は王太子になれるよう、色々と手を回している」
「……そう簡単に昔からの慣例を覆せるのかい?」
「簡単ではないが、出来るさ。それが私の使命だと思っているからな」
「……使命」
「……いや、使命とかそういう大それたものじゃないな。自分がやりたいから、やっているんだ。それを聞こえが良いようにするために使命だとかの言葉で言い換えているだ」
自信満々にそう言ってのけるシーウェルトにアルットゥリは絶句した。役割だとか使命だとかは自分とは異なる存在から与えられるものである。それを自分で勝手に決めてしまうだなんて。なんて傲慢なんだ。アルットゥリが何も言えないでいると、シーウェルトは悪戯っ子のようにニヤリと笑った。
「人間誰しもそんなものだ。君だってそうだろう?皇帝になるのが君の役割だなんて、誰が言い出した?その者は何故、君にそんな役割があるとわかった?神のお告げがあったのか?いや違うだろう。君がそうなって欲しいから、自分の思い通りになって欲しいからそう言ったのだ。そんなものだ、人間なんて」
シーウェルトの脳裏には、幼い頃から何度も見た夢が思い浮かんでいた。どれだけ努力しても、正当に評価されない。他人の数倍の成果を出して初めて認められた。それでも乗り越えることの出来ない壁が多く立ち塞がる。理不尽だ。悔しい。憎い。空色への憎悪を前に薄れていた様々な不満が、空色への執着を払うことによって次々と思い出されていった。いや、無意識下にはずっと心に抱いていたのだろう。だから自分は幼い頃から第二王子ながらも王太子の座を狙っていた。今度こそ夢の中で受けていた雪辱を果たすために。
「人間は自分勝手だ。なら私が憚る必要などない。やりたいことを堂々と使命として掲げ、努力してもぎ取ってみせるさ」
悪夢を振り切るためにも。
シーウェルトはアルットゥリに聞こえないぐらい小さな声でそう付け加えた。「使命」という言葉はシーウェルトが幼い頃から縛られ続けていた呪縛から解放してくれるものであった。空色は決して自分を裏切った訳では無い。いつでも自分の味方となってくれるのだ。そう信じるための魔法の言葉でもあった。
「……やりたいこと……」
アルットゥリは放心状態でそう反芻した。そう言われても、今まで「役割」に縛られて生きてきたアルットゥリにとって、自分のしたいことなど思いつかなかった。アルットゥリは、別に何かを成し遂げたかった訳でも、ましてや皇子として帝国の役に立ちたかった訳でもなかった。ただ只管、それを役割だと信じて、がむしゃらに努力して、色々我慢して……。
その時、アルットゥリからある言葉がこぼれ落ちた。
「……友達が欲しい」
それは成人して早10年が経とうとしている男性が言うには、あまりにも幼稚な言葉だった。だがそれがアルットゥリの全てだった。何故アルットゥリは「役割」に固執したのか。その大きな原因に、「何故他の子供達は友達を作って楽しそうにしているのに、自分はそれが出来ないのか」という強い憤りがあったのだ。それを「役割」のせいにして、自分は他の子供達とは違うのだ、と優越感を感じることで紛らわしていたのだ。
でも何かひとつ、今までの人生において何が欲しかったかと聞かれたら。
友達が欲しかった。
一緒に笑いあって、慰めあって、ぶつかり合って、高めあえるような、そんな友達が欲しかった。
アルットゥリは決して皇帝の器は持ち合わせていなかった。平凡であった。友達と和気あいあいとして、平穏に生きたかったのだ。
その願いを諦めるための「役割」だったのだ。
アルットゥリの返答が意外だったシーウェルトは目を丸くした。そして一瞬のうちに考えを巡らせ、ほぼ反射的に口を開いた。
「……友人になら、私がなってやろうか?」
「……いえ、流石に僕達は歳が10ほど離れているから、友達は無理ではないかい?」
「友人になるのに、歳など関係ないだろう。私は一向に構わないが」
「……僕は変なプライドだけが厄介に育った人間だぞ?今だって、ベイエル王国との交渉なんて大役、荷が重くて逃げ出したいと思ってるんだぞ?」
「普通そんな仕事、誰もしたがらないだろう。誰かがやらないといけないから、実績の残したい命知らずがやるもんだ」
「……僕には特にこれといった特技はないぞ?」
「君にはこれまで皇帝になるための教養があるじゃないか。是非その知識を私にも共有して欲しいのだが」
「……本当に僕なんかで良いのか?」
「ああ。むしろ君が良い」
シーウェルトのこの言葉が決め手となり、アルットゥリは顔を赤くして俯いてしまった。彼はこのような可愛らしい表情も出来るのか、とシーウェルトはまじまじとアルットゥリの顔を見る。
「……なっ、なんだね、急に。そんなまじまじと僕を見て」
「いや、そんな可愛らしい反応も出来るのだな、と思ってな」
「なっ、可愛っ!?」
アルットゥリは顔を真っ赤にさせて自らの太ももをバシンと叩いて抗議した。シーウェルトはクックックと笑うと、アルットゥリに向けて握手を求めるように手を差し出した。
「まあとりあえず、これから友達と言うことで、よろしくな、アル」
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アルットゥリは差し出された手を警戒心むき出しで見つめた。そしておずおずと自分の手も差し出して行く。その様子にシーウェルトは黒猫のようだ、という考えが過ぎった。成人男性に対して抱く考えに似つかわしくないが、実際そうなのだから仕方ない。アルットゥリと言いエルネスティと言い、帝国の皇子には本当にあの厳しい皇帝の血を引いているのかと疑いたくなるような可愛らしい奴が多い、とシーウェルトは思った。
「……よっ、よろしく、ウェル」
アルットゥリの恐る恐る繋がれた手と、弱々しいそんな言葉にシーウェルトは形容し難い感情に襲われた。胸のざわめきに首を傾げながらも、気にせず会話を続けることにした。
「……よし。なら友人となって初めての共同作業として、陛下の説得を頑張ろうな」
「……と言っても僕はただ居るだけでいいのだから、とても共同作業だなんて言えないじゃないか」
「いや、アルにやる気があるなら、とあることをお願いしたいんだ」
アルットゥリは片眉をピクリと動かし、怪訝そうな表情を見せた。怪しむようなその態度にシーウェルトは心外だな、と感じつつ、無意識に上がっていた口角をそのままに作戦を話し始めるのだった。
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