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学園生活をエンジョイする
純粋な理由 ※No Side※
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ある日、学園の昼休みにて。クラスメイトのアンティアに呼び出されたマティルダは、内心ガクブルと震えながらアンティアについて行っていた。マティルダには呼び出される理由が見当もつかず、ただ只管警戒するしかない。
人気のない場所まで来たアンティアは徐に立ち止まり、マティルダの方へ振り返った。マティルダは緊張で敏感になっているため、アンティアの行動ひとつひとつに肩をビクッとさせる。
怯えた様子のマティルダにアンティアは苦笑いを浮かべた。
「安心してくれ、マティルダ嬢。私は貴女に危害を加えるつもりはない」
安心させるような優しい声色にマティルダの強ばっていた肩の力が抜けた。普段の威圧的な雰囲気がなく、「こんな表情出来るんだ」と意外に思い、ついまじまじと見てしまう。アンティアは見つめられて照れるように顎を引いた。
「……なんだ、そんなまじまじと見て」
「いえ、いつも顰めっ面なイメージがあったので、柔和な笑みを浮かべられたのが意外でして」
「……まあ確かにそれは否定出来ないな。男の前では舐められないようメンチ切っている」
「なっ、舐められる……?」
アンティアから発せられた令嬢らしからぬ言葉にマティルダは思わず反芻してしまう。別に知らない言葉ではない、寧ろ男爵令嬢であるマティルダはよく「舐められないようにしないと」と自分自身を戒める。しかしそれは心の中だけの話であり、言葉にすることや、ましてや他人に言うことなどない。それが男勝りであるとは言え公爵令嬢の口から発せられるとは、思ってもみなかったのだ。
ちなみにここで『メンチ切る』の方に反応しなかったのは、ただ単にマティルダがその言葉を知らなかっただけである。
アンティアは険しい表情を浮かべて頷いた。
「私の父も母も兄も、私が女であるから騎士になどなれないと言うのだ。女は弱いから、と。しかし歴代の皇帝には女性の方……つまり女帝も存在したのだ。皇帝には強い者しかなれない。我々の君主ですら女性の強さを認めていると言うのに、臣下である我々が認めないのはおかしいだろう」
淡々としながらも、「忌々しい」と吐き捨てるように話し終えたアンティアは、マティルダの反応を待つように真っ直ぐ見据えた。
マティルダはアンティアの話を聞き、この人も自分と同じような待遇を受けて来たのだな、と少し親近感を抱いた。マティルダ自身、両親から自分の趣味を否定されて育った。自らを束縛していく家族に辟易し、反発する気持ちは良くわかる。
でも何故かアンティアの発言に「違う、そうじゃない」と思ってしまう。何が違うのか、それはマティルダ自身にもわからない。でもどこか、アンティアがちぐはぐなように見えて仕方ないのだ。何がそうさせているのか、マティルダは考えを巡らす。
「……あの、それで、今日私を呼び出してここに連れて来た理由は……?」
「ああ、そうだな。話が逸れてしまっていた。何、大したことではないのだが、殿下との噂について、真相が知りたくてな」
「……ああ、そういう……」
マティルダはどこまで話すか迷った。ここで自分が家具職人をしていることを話すのはリスクが高い。別にバレることに対して抵抗がある訳ではないのだが、意図せずバレてしまうのは心臓に悪い。自分のことを小心者で平凡な人間だと思っているマティルダはメンタル的な面での心配をしているようだが、彼女のことだ。少し取り乱したりはするだろうがすぐに持ち前の豪胆さで平常心を取り戻すだろう。
そう言った面に関して彼女は自己分析が甘い。……いや、目立たず平凡であろうとするが故に自分に普通を押し付けているのかもしれない。しかし残念かな。エルネスティから変わり者認定されている時点で彼女は普通ではない。
そして実際、彼女は今まさに豪胆さを発揮しようとしていた。
「私と殿下は仕事仲間と言いますか、職人と依頼主と言う関係にあります。私は家具職人をしていますので」
「……家具職人、だと?」
アンティアはピクッと眉を動かした。想像以上に低い声を掛けられたが、マティルダはなんとか震えを抑え、毅然とした態度を続ける。何か気分を害することを言っただろうか、とマティルダはハラハラしたが、この不安は杞憂に終わった。
アンティアはみるみる表情を明るくさせ、グッとマティルダの手を握った。マティルダは目をぱちくりとさせる。
「素晴らしいな!家具職人とは普通、男がなる職業だとされているが、君は女性で若く、しかも爵位を持つ家の出だ!そうだな!職業選択に性別も年齢も家柄も関係ない!君の志は素晴らしく革新的だ!私も騎士を目指していてな!見習わなくては!」
嬉しそうに熱弁するアンティアに、マティルダはついて行けなかった。突然のことであることは勿論、自分とアンティアには認識の齟齬があることに気づいたからだ。そしてそれは、先程の違和感の答えでもあった。
「……すみません、アンティア様。私にはそのような崇高な志はございません。私にあるのは『家具を作りたい』と言う欲求だけです。それを褒められても、私は嬉しくありませんし、そんな風に褒められるためにしている訳でもありません。貴女も騎士になりたいのであって、男女平等を説くために目指している訳ではないはずです。それと同じですよ」
マティルダにとってそれだけは譲れないことだった。自分の仕事の動機は単純な感情であるため、そんな他所から与えられた豪勢な衣装を着せられても困るし、何より職人としてのプライドが許さない。ひたむきな向上心にそんな下世話な理由をつけられたくない。
アンティアは目を見開いて固まってしまっていた。マティルダは失礼なことを言ってしまったことに気づき、顔を青くする。
「あっ、す、すみません。生意気なことを言ってしまって……」
「……男女平等を説くためではない、か……そうだな、その通りだ」
アンティアはそう呟くと、悲しそうな表情を見せて顔を伏せてしまった。その弱々しい表情にマティルダは言葉を失う。
「……すまない。無神経なことを言ってしまったな。それと、ありがとう。危うく私も本来の動機を見失う所だった」
「あっ、いえ……本来の動機?」
顔を上げたアンティアが無理して笑っているように見えて、マティルダは上手く言葉が出なかった。アンティアはそのことを気にせず、マティルダの問いかけに答える。
「私に剣術とその楽しさを教えてくれた伯父のような、立派な騎士になりたい。そう思っていたはずなのに、家族に反対されて意固地になっていたようだ」
「ああ、なるほど……」
「だから、ありがとう。……その、厚かましいことだとは承知だが、もし良かったら偶に私の話に付き合ってもらえないだろうか?また私が道を誤りかけたら、君が引き止めて欲しい」
そんな大層なことはしてないし、出来ないって!
マティルダはそう叫びそうになったがグッと堪える。アンティアは真剣なのだ。無碍にするべきではない、と思ったからだ。
それに、アンティアのこの寂しそうな表情を見て、断れる訳がない。マティルダは観念した。
「……わかりました。よろしくお願いします、アンティア様」
それを聞いて満面の笑みを浮かべたアンティアを見て、マティルダはこの判断は正解だったな、と胸を撫で下ろすのであった。
* * * * * * * * *
2022/03/31
タイトルに「※No Side※」を付け加えました。
人気のない場所まで来たアンティアは徐に立ち止まり、マティルダの方へ振り返った。マティルダは緊張で敏感になっているため、アンティアの行動ひとつひとつに肩をビクッとさせる。
怯えた様子のマティルダにアンティアは苦笑いを浮かべた。
「安心してくれ、マティルダ嬢。私は貴女に危害を加えるつもりはない」
安心させるような優しい声色にマティルダの強ばっていた肩の力が抜けた。普段の威圧的な雰囲気がなく、「こんな表情出来るんだ」と意外に思い、ついまじまじと見てしまう。アンティアは見つめられて照れるように顎を引いた。
「……なんだ、そんなまじまじと見て」
「いえ、いつも顰めっ面なイメージがあったので、柔和な笑みを浮かべられたのが意外でして」
「……まあ確かにそれは否定出来ないな。男の前では舐められないようメンチ切っている」
「なっ、舐められる……?」
アンティアから発せられた令嬢らしからぬ言葉にマティルダは思わず反芻してしまう。別に知らない言葉ではない、寧ろ男爵令嬢であるマティルダはよく「舐められないようにしないと」と自分自身を戒める。しかしそれは心の中だけの話であり、言葉にすることや、ましてや他人に言うことなどない。それが男勝りであるとは言え公爵令嬢の口から発せられるとは、思ってもみなかったのだ。
ちなみにここで『メンチ切る』の方に反応しなかったのは、ただ単にマティルダがその言葉を知らなかっただけである。
アンティアは険しい表情を浮かべて頷いた。
「私の父も母も兄も、私が女であるから騎士になどなれないと言うのだ。女は弱いから、と。しかし歴代の皇帝には女性の方……つまり女帝も存在したのだ。皇帝には強い者しかなれない。我々の君主ですら女性の強さを認めていると言うのに、臣下である我々が認めないのはおかしいだろう」
淡々としながらも、「忌々しい」と吐き捨てるように話し終えたアンティアは、マティルダの反応を待つように真っ直ぐ見据えた。
マティルダはアンティアの話を聞き、この人も自分と同じような待遇を受けて来たのだな、と少し親近感を抱いた。マティルダ自身、両親から自分の趣味を否定されて育った。自らを束縛していく家族に辟易し、反発する気持ちは良くわかる。
でも何故かアンティアの発言に「違う、そうじゃない」と思ってしまう。何が違うのか、それはマティルダ自身にもわからない。でもどこか、アンティアがちぐはぐなように見えて仕方ないのだ。何がそうさせているのか、マティルダは考えを巡らす。
「……あの、それで、今日私を呼び出してここに連れて来た理由は……?」
「ああ、そうだな。話が逸れてしまっていた。何、大したことではないのだが、殿下との噂について、真相が知りたくてな」
「……ああ、そういう……」
マティルダはどこまで話すか迷った。ここで自分が家具職人をしていることを話すのはリスクが高い。別にバレることに対して抵抗がある訳ではないのだが、意図せずバレてしまうのは心臓に悪い。自分のことを小心者で平凡な人間だと思っているマティルダはメンタル的な面での心配をしているようだが、彼女のことだ。少し取り乱したりはするだろうがすぐに持ち前の豪胆さで平常心を取り戻すだろう。
そう言った面に関して彼女は自己分析が甘い。……いや、目立たず平凡であろうとするが故に自分に普通を押し付けているのかもしれない。しかし残念かな。エルネスティから変わり者認定されている時点で彼女は普通ではない。
そして実際、彼女は今まさに豪胆さを発揮しようとしていた。
「私と殿下は仕事仲間と言いますか、職人と依頼主と言う関係にあります。私は家具職人をしていますので」
「……家具職人、だと?」
アンティアはピクッと眉を動かした。想像以上に低い声を掛けられたが、マティルダはなんとか震えを抑え、毅然とした態度を続ける。何か気分を害することを言っただろうか、とマティルダはハラハラしたが、この不安は杞憂に終わった。
アンティアはみるみる表情を明るくさせ、グッとマティルダの手を握った。マティルダは目をぱちくりとさせる。
「素晴らしいな!家具職人とは普通、男がなる職業だとされているが、君は女性で若く、しかも爵位を持つ家の出だ!そうだな!職業選択に性別も年齢も家柄も関係ない!君の志は素晴らしく革新的だ!私も騎士を目指していてな!見習わなくては!」
嬉しそうに熱弁するアンティアに、マティルダはついて行けなかった。突然のことであることは勿論、自分とアンティアには認識の齟齬があることに気づいたからだ。そしてそれは、先程の違和感の答えでもあった。
「……すみません、アンティア様。私にはそのような崇高な志はございません。私にあるのは『家具を作りたい』と言う欲求だけです。それを褒められても、私は嬉しくありませんし、そんな風に褒められるためにしている訳でもありません。貴女も騎士になりたいのであって、男女平等を説くために目指している訳ではないはずです。それと同じですよ」
マティルダにとってそれだけは譲れないことだった。自分の仕事の動機は単純な感情であるため、そんな他所から与えられた豪勢な衣装を着せられても困るし、何より職人としてのプライドが許さない。ひたむきな向上心にそんな下世話な理由をつけられたくない。
アンティアは目を見開いて固まってしまっていた。マティルダは失礼なことを言ってしまったことに気づき、顔を青くする。
「あっ、す、すみません。生意気なことを言ってしまって……」
「……男女平等を説くためではない、か……そうだな、その通りだ」
アンティアはそう呟くと、悲しそうな表情を見せて顔を伏せてしまった。その弱々しい表情にマティルダは言葉を失う。
「……すまない。無神経なことを言ってしまったな。それと、ありがとう。危うく私も本来の動機を見失う所だった」
「あっ、いえ……本来の動機?」
顔を上げたアンティアが無理して笑っているように見えて、マティルダは上手く言葉が出なかった。アンティアはそのことを気にせず、マティルダの問いかけに答える。
「私に剣術とその楽しさを教えてくれた伯父のような、立派な騎士になりたい。そう思っていたはずなのに、家族に反対されて意固地になっていたようだ」
「ああ、なるほど……」
「だから、ありがとう。……その、厚かましいことだとは承知だが、もし良かったら偶に私の話に付き合ってもらえないだろうか?また私が道を誤りかけたら、君が引き止めて欲しい」
そんな大層なことはしてないし、出来ないって!
マティルダはそう叫びそうになったがグッと堪える。アンティアは真剣なのだ。無碍にするべきではない、と思ったからだ。
それに、アンティアのこの寂しそうな表情を見て、断れる訳がない。マティルダは観念した。
「……わかりました。よろしくお願いします、アンティア様」
それを聞いて満面の笑みを浮かべたアンティアを見て、マティルダはこの判断は正解だったな、と胸を撫で下ろすのであった。
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2022/03/31
タイトルに「※No Side※」を付け加えました。
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