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動き出す時
閑話:或皇帝の回顧 ※No Side※
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某日某所。ハーララ帝国皇帝は風の便りに満足気な笑みを浮かべていた。
「そうかそうか!エルネスティはやっとヴァイナモと付き合うようになったか!」
皇帝は弾むような声色でそう言った。傍らで聞いていた枢長は『下世話な父親だな』と皇帝に対して失礼なことを考えながら皇帝を見ていた。
「長かった。お前らまだ自覚していないのかと会う度に焦れったく思う日々だった」
「……お言葉ですが、少なくともヴァイナモが自分の気持ちに気づくのが遅くなった原因のひとつに、陛下が含まれるのではありませんか?」
「……まあそれは否定せん。脅しに使ったのは悪かったとは思っておる」
枢長の指摘に皇帝はバツが悪そうに目を逸らした。3年前の建国記念式典にて、エルネスティを護りきれなかったヴァイナモに皇帝が激怒し、つい脅しに似たものを言ってしまったことがあった。詳しくは『閑話:或第四皇子専属護衛騎士の焦燥』を参照されたし。
多分あれでヴァイナモの無意識下に『恋愛感情=騎士失格』と言う方程式を焼き付けてしまったに違いない。本人ですら気づいていないだろうが。それほどトラウマとして残るような言い方であった。枢長は何度あの発言を非難したかわからない。
まあ結果としてヴァイナモは他国に知れ渡るほどの実力に上り詰めたのだから、枢長はもう何も言えないが。律儀に言われたことを達成していくどころかそれを越えていくヴァイナモに感心を通り越して畏怖しているとは、口が裂けても言えないことだ。
「……私としてはいつまでもエルネスティ殿下の側にヴァイナモを騎士として置くのは危険かと思いますが」
「我もそう思う。だがそれを許すような2人ではないだろう」
「頑固ですからね、エルネスティ殿下。陛下に似て」
枢長は皇帝に対してにしては砕けた口調で話す。だがそれを皇帝は咎めない。彼を自らの右腕とした時から彼には絶対的な信頼を寄せているからだ。その辛辣さが己の愚かさに気づかせてくれた。それを損なわせるのは宝の持ち腐れと言うもの。だから2人きりの時はこのような口調で会話を交わしているのだ。
話を戻すが、エルネスティの側にヴァイナモを置くのが何故危険か。それはエルネスティが魔法陣学を研究していることやヴァイナモは帝国が誇る実力の持ち主であること、皇帝がエルネスティを気に入っていることが他国に知れ渡っている事実である、と言うことに関わりがある。
皇帝が重用している、画期的な兵器を造りかねない学問を研究している学者に、帝国随一の近衛騎士を護衛として付けている。他国の目からは皇帝が学者を囲って恐ろしい兵器を造らせているように見えるだろう。そうなると他国は何とかしてその学者を葬りたいと思うだろう。自国の脅威となり得るからだ。
今はまだ未成年と言うこともあり、まだそこまで目を付けられていない。それなら今のうちにヴァイナモと引き離して、エルネスティの研究と国とは関わりがないことを示した方が良いのだ。
だが何故それをしないのか。一重に親心である。
「まあ息子の1人や2人護れずして、何が皇帝だと言う話だ。それに我はエドヴァルドと違って、いざとなれば武力行使も厭わない。出来るだけ避けたいことではあるがな」
皇帝はニヤリと笑った。ちょっかい出して来る輩には倍返しすれば良い。単純明快な強者の原理である。
ちなみにエドヴァルドが平和主義であることは、エルネスティとエドヴァルドの会談を風が運んでくれたから知っている。あの会話を聞くことで、皇帝のの中でエドヴァルドは甘いが嫌いではないと言う評価に変わった。帝位継承権争いの渦中にいるため、口には出せないが。
「……最近度々エドヴァルド殿下の名前を出しますね。そんなに嬉しかったのですか?」
「まあな。息子の評価が良い方に変わるのは喜ばしいことだ」
皇帝は上機嫌に答える。その脳裏には以前のエルネスティが浮かび上がっていた。
以前の、帝位継承権争いに参加していたエルネスティの評価は、色々含むものがあるが、端的に言って『つまらない人間』であった。それは非難とも同情とも同族嫌悪とも似て非なる感情から成るものだ。
皇帝はつくづく思っていた。何故エルネスティはあそこまで第二皇妃に似ていないのだろうか、と。
第二皇妃は生き残るために皇妃になった。だから第二皇妃からは良くも悪くも貪欲な生への執着と、強大な力への恐怖が滲み出ている。生きるために足掻いている。ある意味最も人間らしい……生き物らしいとも言えよう。
それに対し以前のエルネスティは、何のために皇帝になりたいのかまるでわからなかった。そもそも理由があるのかも怪しかった。そこには貪欲な生への執着も、何かに対する恐怖も、何かに対する憧憬すらも存在しない。ただそこに生きているだけの、息をする人形そのものなのだ。ある意味第二皇妃とは対角に位置していた。
感情的な第二皇妃から産まれたのが無感情なエルネスティ。だがあの母子にも共通点があった。とある学問に興味があった点と、好きでもないもののために好きなものを捨てた点だ。
第二皇妃はこれ以上強大な力に虐げられないために、目指していた学者の夢を諦めた。エルネスティは皇帝になるために本当は研究したくて堪らない魔法陣学に興味がないように振舞った。
皇帝の脳裏に強烈に残っている。普段は無機質で死んでいるようだったエルネスティが、魔法陣学の話題を振った時に一瞬、年相応に目を輝かせたことを。すぐに真顔を取り繕い、「私は皇帝となる人間なので、そのような学問には興味ありません」と答えたが、見間違えではないと皇帝は確信していた。
そしてその時思ったことはひとつだった。皇帝の座など、好きなものを我慢してまで手に入れる価値などない、と言うことだ。皇帝は皇帝になるために様々なものを失った。だがそれはこの国を良くするために必要な損失だったと割り切っている。
だが皇帝の座に、この国に興味がないのであれば、そのために自分の好きなものを犠牲にするなんて、馬鹿馬鹿しいことこの上ない。
だから皇帝の中で以前のエルネスティは『つまらない人間』であった。
だがエルネスティは何が起きたのか、自分のしたいことに素直になった。危なっかしくて目が離せないが、魔法陣を語るエルネスティの生気に満ちた表情は、以前の感情を押し殺していた頃に比べれば断然良いに決まっている。別の意味で第二皇妃とは真逆の性格になったと言えよう。
皇帝はエルネスティの変わりようが嬉しくて仕方なかった。あのまま行けばエルネスティは全てを失って、絶望と言う意味も知らずに消滅していただろうから。どれだけつまらない人間でも、我が子には良い人生を送ってもらいたいものである。
「……アウクスティもエルネスティと同じようになればいいのだがな」
アウクスティはまさしく、以前のエルネスティ同然の状況に置かれている。
実は皇帝は魔力操作の植物についての調査・研究に、アウクスティも参加させようとしていた。風の裏付け調査でアウクスティが植物に関する知識が豊富なこと、そしてエルネスティほどではないにしろ魔法が得意であることが明らかになっていたのだ。まだ若いが、だからこその柔軟な思考が出来ると言う利点がある。今までエルネスティに埋もれていたアウクスティに、何か実績を与えようと言う皇帝なりの親心もあった。
しかし皇帝が直接その話を振ると、アウクスティは丁重に断った。しかも以前のエルネスティのように、一瞬目を輝かせた後、すぐに真顔を取り繕って首を横に振り、そして一言、「私は皇帝となる人間なので、そのような研究をする訳にはいきません」と答えたのだ。その姿に以前のエルネスティの面影を見出さない訳がない。
兄弟だから似たとかではなく、十中八九第二皇妃の教育の賜物であろうが、皇帝は第二皇妃に「不可侵を約束する代わりに、生き残ってみせろ」と鼓舞した事実がある手前、横槍を入れることは出来ない。皇帝は嘘を嫌い、約束は必ず守る人間である。アウクスティ自身が何か行動を起こさない限り、皇帝は手出ししないつもりだ。
エルネスティが呪縛から脱することが出来たのだから、アウクスティにも不可能ではないはず。是非とも何が一番大切か、手遅れになる前に気づいて欲しい。皇帝は密かにそう願っていた。
そして願わくば、呪縛から解放された兄弟が道を誤った母親を正気に戻してくれたなら。皇帝の初恋も少しは報われると言うものだ。
「……まあ今は喜ばしいことを祝うべき時だな」
皇帝は自嘲気味に呟いた。今はエルネスティとヴァイナモが結ばれたことを喜ぶべき時であり、決して報われない自らの初恋を憂う時ではない。皇帝は気分を切り替えた。
「色々と懸念があるが、我は我の出来ることをするのみだ」
皇帝は自らの側に置いてあった書類を手に持ち、ヒラヒラと動かした。枢長はその書類を心配そうに見つめる。
その書類には今年度の学園入学者と着任教師の名前が並べられており、エルネスティの名はもちろん、
シーウェルト・レフィ・エリアン・テオ・ベイエルと、チェルソ・カルメン・ソアーヴェの名前が記されていた。
* * * * * * * * *
いつも本作品をご愛読いただき、誠にありがとうございます。作者の当意即妙です。
いきなりですが、暫くの間、本作品の投稿をお休みさせていただこうと思います。
理由としては、今でも毎日投稿が厳しくて睡眠時間が削られていることに加え、これからの作者の私生活の予定を考えると、執筆活動をする時間を取ることが出来ないと判断しました。
休載期間は1、2週間程度を予定していますが、確定ではありません。投稿を再開したとしても、毎日投稿は難しいかもしれません。11月中旬頃には完全に落ち着いているはずなので、その頃までには毎日投稿が再開出来ると思われますが、本当に今後の予定は不明瞭なので、断言は出来ません。申し訳ございません。
コメントの返信も停滞するかもしれませんが、全てに目を通すことはしたいと思いますので、気軽にしていただけると幸いです。
本作品を毎日楽しみにしてくださっている読者の皆様には誠に恐縮ですが、何卒ご理解のほどをよろしくお願い致します。そして今後とも本作品をよろしくお願い致します。
2020/10/13
脱字修正しました。
2020/12/13
一部文章を修正しました。
「そうかそうか!エルネスティはやっとヴァイナモと付き合うようになったか!」
皇帝は弾むような声色でそう言った。傍らで聞いていた枢長は『下世話な父親だな』と皇帝に対して失礼なことを考えながら皇帝を見ていた。
「長かった。お前らまだ自覚していないのかと会う度に焦れったく思う日々だった」
「……お言葉ですが、少なくともヴァイナモが自分の気持ちに気づくのが遅くなった原因のひとつに、陛下が含まれるのではありませんか?」
「……まあそれは否定せん。脅しに使ったのは悪かったとは思っておる」
枢長の指摘に皇帝はバツが悪そうに目を逸らした。3年前の建国記念式典にて、エルネスティを護りきれなかったヴァイナモに皇帝が激怒し、つい脅しに似たものを言ってしまったことがあった。詳しくは『閑話:或第四皇子専属護衛騎士の焦燥』を参照されたし。
多分あれでヴァイナモの無意識下に『恋愛感情=騎士失格』と言う方程式を焼き付けてしまったに違いない。本人ですら気づいていないだろうが。それほどトラウマとして残るような言い方であった。枢長は何度あの発言を非難したかわからない。
まあ結果としてヴァイナモは他国に知れ渡るほどの実力に上り詰めたのだから、枢長はもう何も言えないが。律儀に言われたことを達成していくどころかそれを越えていくヴァイナモに感心を通り越して畏怖しているとは、口が裂けても言えないことだ。
「……私としてはいつまでもエルネスティ殿下の側にヴァイナモを騎士として置くのは危険かと思いますが」
「我もそう思う。だがそれを許すような2人ではないだろう」
「頑固ですからね、エルネスティ殿下。陛下に似て」
枢長は皇帝に対してにしては砕けた口調で話す。だがそれを皇帝は咎めない。彼を自らの右腕とした時から彼には絶対的な信頼を寄せているからだ。その辛辣さが己の愚かさに気づかせてくれた。それを損なわせるのは宝の持ち腐れと言うもの。だから2人きりの時はこのような口調で会話を交わしているのだ。
話を戻すが、エルネスティの側にヴァイナモを置くのが何故危険か。それはエルネスティが魔法陣学を研究していることやヴァイナモは帝国が誇る実力の持ち主であること、皇帝がエルネスティを気に入っていることが他国に知れ渡っている事実である、と言うことに関わりがある。
皇帝が重用している、画期的な兵器を造りかねない学問を研究している学者に、帝国随一の近衛騎士を護衛として付けている。他国の目からは皇帝が学者を囲って恐ろしい兵器を造らせているように見えるだろう。そうなると他国は何とかしてその学者を葬りたいと思うだろう。自国の脅威となり得るからだ。
今はまだ未成年と言うこともあり、まだそこまで目を付けられていない。それなら今のうちにヴァイナモと引き離して、エルネスティの研究と国とは関わりがないことを示した方が良いのだ。
だが何故それをしないのか。一重に親心である。
「まあ息子の1人や2人護れずして、何が皇帝だと言う話だ。それに我はエドヴァルドと違って、いざとなれば武力行使も厭わない。出来るだけ避けたいことではあるがな」
皇帝はニヤリと笑った。ちょっかい出して来る輩には倍返しすれば良い。単純明快な強者の原理である。
ちなみにエドヴァルドが平和主義であることは、エルネスティとエドヴァルドの会談を風が運んでくれたから知っている。あの会話を聞くことで、皇帝のの中でエドヴァルドは甘いが嫌いではないと言う評価に変わった。帝位継承権争いの渦中にいるため、口には出せないが。
「……最近度々エドヴァルド殿下の名前を出しますね。そんなに嬉しかったのですか?」
「まあな。息子の評価が良い方に変わるのは喜ばしいことだ」
皇帝は上機嫌に答える。その脳裏には以前のエルネスティが浮かび上がっていた。
以前の、帝位継承権争いに参加していたエルネスティの評価は、色々含むものがあるが、端的に言って『つまらない人間』であった。それは非難とも同情とも同族嫌悪とも似て非なる感情から成るものだ。
皇帝はつくづく思っていた。何故エルネスティはあそこまで第二皇妃に似ていないのだろうか、と。
第二皇妃は生き残るために皇妃になった。だから第二皇妃からは良くも悪くも貪欲な生への執着と、強大な力への恐怖が滲み出ている。生きるために足掻いている。ある意味最も人間らしい……生き物らしいとも言えよう。
それに対し以前のエルネスティは、何のために皇帝になりたいのかまるでわからなかった。そもそも理由があるのかも怪しかった。そこには貪欲な生への執着も、何かに対する恐怖も、何かに対する憧憬すらも存在しない。ただそこに生きているだけの、息をする人形そのものなのだ。ある意味第二皇妃とは対角に位置していた。
感情的な第二皇妃から産まれたのが無感情なエルネスティ。だがあの母子にも共通点があった。とある学問に興味があった点と、好きでもないもののために好きなものを捨てた点だ。
第二皇妃はこれ以上強大な力に虐げられないために、目指していた学者の夢を諦めた。エルネスティは皇帝になるために本当は研究したくて堪らない魔法陣学に興味がないように振舞った。
皇帝の脳裏に強烈に残っている。普段は無機質で死んでいるようだったエルネスティが、魔法陣学の話題を振った時に一瞬、年相応に目を輝かせたことを。すぐに真顔を取り繕い、「私は皇帝となる人間なので、そのような学問には興味ありません」と答えたが、見間違えではないと皇帝は確信していた。
そしてその時思ったことはひとつだった。皇帝の座など、好きなものを我慢してまで手に入れる価値などない、と言うことだ。皇帝は皇帝になるために様々なものを失った。だがそれはこの国を良くするために必要な損失だったと割り切っている。
だが皇帝の座に、この国に興味がないのであれば、そのために自分の好きなものを犠牲にするなんて、馬鹿馬鹿しいことこの上ない。
だから皇帝の中で以前のエルネスティは『つまらない人間』であった。
だがエルネスティは何が起きたのか、自分のしたいことに素直になった。危なっかしくて目が離せないが、魔法陣を語るエルネスティの生気に満ちた表情は、以前の感情を押し殺していた頃に比べれば断然良いに決まっている。別の意味で第二皇妃とは真逆の性格になったと言えよう。
皇帝はエルネスティの変わりようが嬉しくて仕方なかった。あのまま行けばエルネスティは全てを失って、絶望と言う意味も知らずに消滅していただろうから。どれだけつまらない人間でも、我が子には良い人生を送ってもらいたいものである。
「……アウクスティもエルネスティと同じようになればいいのだがな」
アウクスティはまさしく、以前のエルネスティ同然の状況に置かれている。
実は皇帝は魔力操作の植物についての調査・研究に、アウクスティも参加させようとしていた。風の裏付け調査でアウクスティが植物に関する知識が豊富なこと、そしてエルネスティほどではないにしろ魔法が得意であることが明らかになっていたのだ。まだ若いが、だからこその柔軟な思考が出来ると言う利点がある。今までエルネスティに埋もれていたアウクスティに、何か実績を与えようと言う皇帝なりの親心もあった。
しかし皇帝が直接その話を振ると、アウクスティは丁重に断った。しかも以前のエルネスティのように、一瞬目を輝かせた後、すぐに真顔を取り繕って首を横に振り、そして一言、「私は皇帝となる人間なので、そのような研究をする訳にはいきません」と答えたのだ。その姿に以前のエルネスティの面影を見出さない訳がない。
兄弟だから似たとかではなく、十中八九第二皇妃の教育の賜物であろうが、皇帝は第二皇妃に「不可侵を約束する代わりに、生き残ってみせろ」と鼓舞した事実がある手前、横槍を入れることは出来ない。皇帝は嘘を嫌い、約束は必ず守る人間である。アウクスティ自身が何か行動を起こさない限り、皇帝は手出ししないつもりだ。
エルネスティが呪縛から脱することが出来たのだから、アウクスティにも不可能ではないはず。是非とも何が一番大切か、手遅れになる前に気づいて欲しい。皇帝は密かにそう願っていた。
そして願わくば、呪縛から解放された兄弟が道を誤った母親を正気に戻してくれたなら。皇帝の初恋も少しは報われると言うものだ。
「……まあ今は喜ばしいことを祝うべき時だな」
皇帝は自嘲気味に呟いた。今はエルネスティとヴァイナモが結ばれたことを喜ぶべき時であり、決して報われない自らの初恋を憂う時ではない。皇帝は気分を切り替えた。
「色々と懸念があるが、我は我の出来ることをするのみだ」
皇帝は自らの側に置いてあった書類を手に持ち、ヒラヒラと動かした。枢長はその書類を心配そうに見つめる。
その書類には今年度の学園入学者と着任教師の名前が並べられており、エルネスティの名はもちろん、
シーウェルト・レフィ・エリアン・テオ・ベイエルと、チェルソ・カルメン・ソアーヴェの名前が記されていた。
* * * * * * * * *
いつも本作品をご愛読いただき、誠にありがとうございます。作者の当意即妙です。
いきなりですが、暫くの間、本作品の投稿をお休みさせていただこうと思います。
理由としては、今でも毎日投稿が厳しくて睡眠時間が削られていることに加え、これからの作者の私生活の予定を考えると、執筆活動をする時間を取ることが出来ないと判断しました。
休載期間は1、2週間程度を予定していますが、確定ではありません。投稿を再開したとしても、毎日投稿は難しいかもしれません。11月中旬頃には完全に落ち着いているはずなので、その頃までには毎日投稿が再開出来ると思われますが、本当に今後の予定は不明瞭なので、断言は出来ません。申し訳ございません。
コメントの返信も停滞するかもしれませんが、全てに目を通すことはしたいと思いますので、気軽にしていただけると幸いです。
本作品を毎日楽しみにしてくださっている読者の皆様には誠に恐縮ですが、何卒ご理解のほどをよろしくお願い致します。そして今後とも本作品をよろしくお願い致します。
2020/10/13
脱字修正しました。
2020/12/13
一部文章を修正しました。
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