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動き出す時
ヴァイナモの長兄
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結局その後パレンシア侯爵は料理人を連れて意気揚々と帰って行った。そんなに海の死神を気に入ったのか。予想以上だ。まあパレンシア侯爵に海の死神を布教してもらえるなら、それに越したことはないから有難いけど。
パレンシア侯爵がお帰りになり、静かになった部屋で俺はぽつりと呟いた。
「……もしかしてこれは、あの料理人さんにウーノさんの料理を教え込んで、パレンシア侯爵の元へ派遣した方が良いのでは……?」
「……確かにパレンシア侯爵が海の死神を布教するのであれば、側にレシピを知っている料理人がいた方が良いですよね。陛下に願い立てますか?」
「そうですね。その準備を進めておきましょう。まあ動くのは当の本人たちの意見を聞いてからですが」
「それもそうですね。料理人が帰って来たら早速聞いてみましょうか」
これは俺が動く必要があるけど、やはり最終的には本人たちの意思を尊重すべきだからね。料理人も、もしかしたら宮殿料理人に憧れて今の職業に就いてるのかもしれないし。
まあ何にせよ、海の死神の布教は着実に進んでいるな。やったねウーノさん!食界隈で発言力抜群の美食家が味方についたよ!
* * *
その日は色々と疲れたので、サルメライネン伯爵邸に着いた俺は湯浴みをして直ぐに休んだ。夕食を食べてなかったけど、お腹がいっぱいだから入らなかったんだよね。ヴァイナモには心配されたけど、夕食を一食抜いただけで死にはしないよ!
そう言や今朝はヴァイナモと顔を合わせられない!って思ってたけど、意外と別のことに気を取られていると大丈夫だったな。まあ騎士の皆さんが常にいてくれたって言うのもあるけど。やっぱり自分の気持ちに自覚しようが、ヴァイナモの側は俺にとって気を緩められる、安心出来る場所なんだなあ。……なんかちょっと小っ恥ずかしいな。
そんなことを考えながら眠りにつき、翌朝となった。モーニングコールにはヴァイナモと、無理矢理ついて来たのであろうダーヴィドがやって来た。
俺の中で、律儀に2人きりにしないように配慮してくれるダーヴィドの株が爆上がりなのだが。いや、好きな人を前にしてあたふたする俺をニマニマ眺めたいからって下衆な考えが見え透いてるけど。理由はどうあれ2人きりじゃなくなるからね。感謝はしている。釈然としないけど。
にしても、パロメロ皇国大使との食事会も済んだし、港町視察も済んだし、やること無くなったな。あと一週間ぐらい滞在する予定だけど、何しよう?
俺は2人にそのことを相談した。するとヴァイナモが港町から少し離れた場所にある別荘に行かないか、と提案して来た。自然に囲まれた長閑な田舎町にあるらしい。そう言や俺って前世も今世も大都市に住んでたから、自然豊かな田舎とかに縁がなかったな。ちょっと面白そう。そう思った俺はヴァイナモの提案を呑んだ。今日のうちにサルメライネン伯爵に許可を取ってくれるそうだ。
そんな会話をしながら廊下を歩いていると、前から白皙で細身の青年がやって来た。見かけない顔だなあ、とぼんやり思っていると、ヴァイナモが驚いた様子でその青年に駆け寄った。
「ユリウス兄上!お身体は大丈夫なのですか!?」
「やあヴァイナモ、おはよう。今日は調子が良いからね。ずっと部屋に篭っていても気分が滅入るから、ちょっと屋敷内を散歩していたんだよ」
青年は温和そうに微笑んだ。兄上……ってことは、この方がヴァイナモの一番上のお兄さんか。病弱だって言ってたけど、確かに雰囲気が儚げで、風が吹いたら飛んでいってしまいそうな方だな。
談話していたユリウスさんは俺の方を見て目を丸くした。
「……おや、そちらの方は」
「あっ。この方は第四皇子のエルネスティ殿下です」
「ああ、父上がそんな話をしていたね。初のお目にかかります、殿下。私はサルメライネン伯爵家長男、ユリウス・アーポ・サルメライネンと申します。以後お見知り置きを」
ユリウスさんが恭しく頭を下げたので、俺も軽く会釈して自己紹介をすることにした。
「ご紹介に預かりました。エルネスティ・トゥーレ・タルヴィッキ・ニコ・ハーララです。少しの間ですが、サルメライネン伯爵邸にお邪魔しています」
「確か陛下の勅命でパロメロ皇国大使と食事会を開催されるのでしたか」
「それは昨日済みましたので、残りの滞在期間は別荘の方で過ごそうかと言う話を先程していました」
「そうなのですね。別荘は良い場所ですよ。空気が澄んでいて、とても長閑で。私もよく療養でそちらにいました」
ユリウスさんはそう言うと顔を背けてコホコホと咳をした。それだけでヴァイナモは心配そうにユリウスさんの背中を摩る。伯爵位を継げない程病弱だって聞いたし、病床生活が長いんだろうな。咳ひとつでも心配になるわ。
「まあまだ伯爵の了承を得てはいないのですが」
「きっと了承してくれますよ。別荘は比較的最近まで私が住んでいたので、埃などは溜まっていないでしょうし。別荘ではその周辺を探索してみるのもよろしいかと。ヴァイナモ、その時は殿下の案内を頼むよ」
「わかっています。……そうだ、エルネスティ様。以前俺が話した砂浜が別荘付近にあるので、時間を見つけて行きましょう」
「そうなのですね!楽しみです!」
ヴァイナモの言葉に俺は頬を綻ばせた。砂浜って、ヴァイナモが前にお気に入りの場所だって言ってた所だよね。夕日を受けてキラキラと輝く海面と白砂か。楽しみだなあ。
俺が胸を躍らせていると、ユリウスさんがキョトンと首を傾げ、口を開いた。
「あれ?殿下はヴァイナモのお嫁さんなの?」
一瞬、その場は沈黙に包まれた。誰もユリウスさんの言葉を理解出来なかったからだ。かく言う俺も頭が真っ白になり、宇宙を見た猫の気持ちを実感していた。……えっ?お嫁さん?
いち早く困惑から解放されたのは、ヴァイナモだった。
「……なっ!なんでそうなるんですか兄上!?」
「え?だって昔、家族で行った時に言ってたでしょ?いつかお嫁さんをこの砂浜に連れて来る!って」
「一体いつの話をしてるんですか!?て言うかお嫁さん以外でも連れて行きますよ!」
「そうなの?でもこれまで誰も連れて行ってなかったから、てっきりお嫁さんしか連れて行くつもりはないのかと……」
「それは!今まで俺の交友関係が!狭かったからだ!」
ヴァイナモが珍しく口調が崩れながらも大慌てで訂正を入れようとする。必死な様子にユリウスさんは目を白黒させた。揶揄っている訳ではなく、本気でそう思っていたようだ。幼少期の言葉を今も信じるなんて、ユリウスさん天然か!?
てかヴァイナモ。どさくさに紛れて自虐みたいなこと言うな!?お気に入りの場所を紹介するような友人がいなかったって!悲しいこと言うなよ!
ヴァイナモが大混乱する中、ユリウスさんはマイペースにも何か思い出したような仕草をした。
「あっ、そうだ。父上がさっきヴァイナモを呼んでたよ」
「話を逸らさないでください!……ってそれ、早く言ってくださいよ!今から向かいます!ダーヴィド先輩!エルネスティ様の護衛をお願いします!」
「はいはーい!先輩に任せなさーい!」
ダーヴィドの元気な返事を背に、ヴァイナモは駆け足で去って行った。……えっ待って皆通常運転に戻るの早すぎ!俺を放置しないで!?
* * * * * * * * *
2020/09/15
誤字を修正しました。
パレンシア侯爵がお帰りになり、静かになった部屋で俺はぽつりと呟いた。
「……もしかしてこれは、あの料理人さんにウーノさんの料理を教え込んで、パレンシア侯爵の元へ派遣した方が良いのでは……?」
「……確かにパレンシア侯爵が海の死神を布教するのであれば、側にレシピを知っている料理人がいた方が良いですよね。陛下に願い立てますか?」
「そうですね。その準備を進めておきましょう。まあ動くのは当の本人たちの意見を聞いてからですが」
「それもそうですね。料理人が帰って来たら早速聞いてみましょうか」
これは俺が動く必要があるけど、やはり最終的には本人たちの意思を尊重すべきだからね。料理人も、もしかしたら宮殿料理人に憧れて今の職業に就いてるのかもしれないし。
まあ何にせよ、海の死神の布教は着実に進んでいるな。やったねウーノさん!食界隈で発言力抜群の美食家が味方についたよ!
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その日は色々と疲れたので、サルメライネン伯爵邸に着いた俺は湯浴みをして直ぐに休んだ。夕食を食べてなかったけど、お腹がいっぱいだから入らなかったんだよね。ヴァイナモには心配されたけど、夕食を一食抜いただけで死にはしないよ!
そう言や今朝はヴァイナモと顔を合わせられない!って思ってたけど、意外と別のことに気を取られていると大丈夫だったな。まあ騎士の皆さんが常にいてくれたって言うのもあるけど。やっぱり自分の気持ちに自覚しようが、ヴァイナモの側は俺にとって気を緩められる、安心出来る場所なんだなあ。……なんかちょっと小っ恥ずかしいな。
そんなことを考えながら眠りにつき、翌朝となった。モーニングコールにはヴァイナモと、無理矢理ついて来たのであろうダーヴィドがやって来た。
俺の中で、律儀に2人きりにしないように配慮してくれるダーヴィドの株が爆上がりなのだが。いや、好きな人を前にしてあたふたする俺をニマニマ眺めたいからって下衆な考えが見え透いてるけど。理由はどうあれ2人きりじゃなくなるからね。感謝はしている。釈然としないけど。
にしても、パロメロ皇国大使との食事会も済んだし、港町視察も済んだし、やること無くなったな。あと一週間ぐらい滞在する予定だけど、何しよう?
俺は2人にそのことを相談した。するとヴァイナモが港町から少し離れた場所にある別荘に行かないか、と提案して来た。自然に囲まれた長閑な田舎町にあるらしい。そう言や俺って前世も今世も大都市に住んでたから、自然豊かな田舎とかに縁がなかったな。ちょっと面白そう。そう思った俺はヴァイナモの提案を呑んだ。今日のうちにサルメライネン伯爵に許可を取ってくれるそうだ。
そんな会話をしながら廊下を歩いていると、前から白皙で細身の青年がやって来た。見かけない顔だなあ、とぼんやり思っていると、ヴァイナモが驚いた様子でその青年に駆け寄った。
「ユリウス兄上!お身体は大丈夫なのですか!?」
「やあヴァイナモ、おはよう。今日は調子が良いからね。ずっと部屋に篭っていても気分が滅入るから、ちょっと屋敷内を散歩していたんだよ」
青年は温和そうに微笑んだ。兄上……ってことは、この方がヴァイナモの一番上のお兄さんか。病弱だって言ってたけど、確かに雰囲気が儚げで、風が吹いたら飛んでいってしまいそうな方だな。
談話していたユリウスさんは俺の方を見て目を丸くした。
「……おや、そちらの方は」
「あっ。この方は第四皇子のエルネスティ殿下です」
「ああ、父上がそんな話をしていたね。初のお目にかかります、殿下。私はサルメライネン伯爵家長男、ユリウス・アーポ・サルメライネンと申します。以後お見知り置きを」
ユリウスさんが恭しく頭を下げたので、俺も軽く会釈して自己紹介をすることにした。
「ご紹介に預かりました。エルネスティ・トゥーレ・タルヴィッキ・ニコ・ハーララです。少しの間ですが、サルメライネン伯爵邸にお邪魔しています」
「確か陛下の勅命でパロメロ皇国大使と食事会を開催されるのでしたか」
「それは昨日済みましたので、残りの滞在期間は別荘の方で過ごそうかと言う話を先程していました」
「そうなのですね。別荘は良い場所ですよ。空気が澄んでいて、とても長閑で。私もよく療養でそちらにいました」
ユリウスさんはそう言うと顔を背けてコホコホと咳をした。それだけでヴァイナモは心配そうにユリウスさんの背中を摩る。伯爵位を継げない程病弱だって聞いたし、病床生活が長いんだろうな。咳ひとつでも心配になるわ。
「まあまだ伯爵の了承を得てはいないのですが」
「きっと了承してくれますよ。別荘は比較的最近まで私が住んでいたので、埃などは溜まっていないでしょうし。別荘ではその周辺を探索してみるのもよろしいかと。ヴァイナモ、その時は殿下の案内を頼むよ」
「わかっています。……そうだ、エルネスティ様。以前俺が話した砂浜が別荘付近にあるので、時間を見つけて行きましょう」
「そうなのですね!楽しみです!」
ヴァイナモの言葉に俺は頬を綻ばせた。砂浜って、ヴァイナモが前にお気に入りの場所だって言ってた所だよね。夕日を受けてキラキラと輝く海面と白砂か。楽しみだなあ。
俺が胸を躍らせていると、ユリウスさんがキョトンと首を傾げ、口を開いた。
「あれ?殿下はヴァイナモのお嫁さんなの?」
一瞬、その場は沈黙に包まれた。誰もユリウスさんの言葉を理解出来なかったからだ。かく言う俺も頭が真っ白になり、宇宙を見た猫の気持ちを実感していた。……えっ?お嫁さん?
いち早く困惑から解放されたのは、ヴァイナモだった。
「……なっ!なんでそうなるんですか兄上!?」
「え?だって昔、家族で行った時に言ってたでしょ?いつかお嫁さんをこの砂浜に連れて来る!って」
「一体いつの話をしてるんですか!?て言うかお嫁さん以外でも連れて行きますよ!」
「そうなの?でもこれまで誰も連れて行ってなかったから、てっきりお嫁さんしか連れて行くつもりはないのかと……」
「それは!今まで俺の交友関係が!狭かったからだ!」
ヴァイナモが珍しく口調が崩れながらも大慌てで訂正を入れようとする。必死な様子にユリウスさんは目を白黒させた。揶揄っている訳ではなく、本気でそう思っていたようだ。幼少期の言葉を今も信じるなんて、ユリウスさん天然か!?
てかヴァイナモ。どさくさに紛れて自虐みたいなこと言うな!?お気に入りの場所を紹介するような友人がいなかったって!悲しいこと言うなよ!
ヴァイナモが大混乱する中、ユリウスさんはマイペースにも何か思い出したような仕草をした。
「あっ、そうだ。父上がさっきヴァイナモを呼んでたよ」
「話を逸らさないでください!……ってそれ、早く言ってくださいよ!今から向かいます!ダーヴィド先輩!エルネスティ様の護衛をお願いします!」
「はいはーい!先輩に任せなさーい!」
ダーヴィドの元気な返事を背に、ヴァイナモは駆け足で去って行った。……えっ待って皆通常運転に戻るの早すぎ!俺を放置しないで!?
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