前世の記憶を思い出した皇子だけど皇帝なんて興味ねえんで魔法陣学究めます

当意即妙

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人間関係が広がるお年頃

やらかした王国騎士 ※No Side※

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そのアムレアン王国の騎士はイライラしていた。

彼は王国騎士団に入団してまだ日の浅い新米騎士であった。若いが向上心と優れた魔法技術が買われ、王国騎士団の中でも特に精鋭と謳われる第二部隊に所属していた。彼は所謂『脳筋』と言う部類の人間であったが、足りないもの考える力は部隊の仲間が補っている。

そんな彼には憧れの人がいる。

ハーララ帝国近衛騎士団団長である。

団長は大陸最恐の魔法剣士と呼ばれており、魔法と剣の両方が優れているだけではなく、その組み合わせ方もずば抜けて上手である。同じ魔法剣士をする身としては、憧れずにはいられなかった。願わくばその実力をその目で見てみたいと思っているが、泰平の世と呼ばれる今日、他国の近衛騎士の魔法を見る機会などない。

そんな団長には一番弟子とも言える部下がいる。彼は羨望を通り越して、その者を尊敬していた。憧れの人に認められているのは羨ましいが、それ以上に憧れの人が認める実力を持つ者への、強さへの純粋な憧憬があったのだ。

そんな彼に喜ばしい知らせが入った。王国騎士団第二部隊が、帝国軍との合同訓練に参加することになったのだ。帝国に赴けばもしかしたら憧れの人やその一番弟子に会えるかもしれない。魔法は見れなくとも、その姿だけでも見ることが出来たなら、彼にとってそれ以上の幸福はなかった。

その願いが届いたのか何なのか、憧れの人の一番弟子が合同訓練の見学に来ることになった。彼は狂喜乱舞した。憧れの人が認める実力者を見ることが出来るのだ。少年のような強さへの憧れが、彼の中で舞い踊った。

だがそんな彼の気分を害する事実を聞いた。なんでもその一番弟子は帝国の第四皇子の専属護衛騎士であるらしい。近衛騎士騎士団団長が認めるほどの実力者を、何故わざわざ第四皇子などにつけるのか。聞くとその第四皇子は皇帝のお気に入りらしい。第四皇子はその権力を笠に着て、無理矢理その弟子を侍らせてるに違いないと彼は思った。そうでないと、そんな優秀な人材の無駄遣いをするはずがない。彼は根っからのアムレアン脳実力主義であった。

ずば抜けた実力を持っていながら、権力者の言いなりになって活躍の場を奪われているその弟子が不憫でならない。アムレアン王国に生まれたなら、そんな不遇は受けなかっただろうに。彼は第四皇子に対する嫌悪感と、その弟子に同情の念を膨らましていった。

そして訓練当日。訓練場に現れた憧れの人の一番弟子は、見ただけでもわかる強者であった。誰も彼の実力を信じて疑わないだろう。それ程のオーラが、その者にはあった。

そしてその隣には憎き第四皇子の姿が。剣も振れなさそうな貧弱な身体付きの学者皇子が何故、と彼は思った。それが彼の尊敬する一番弟子を連れ出すためにアムレアン国王が皇帝に頼んだことだと、彼は知らなかったのだ。

疑念の視線を学者皇子に送っていると、一番弟子から全身の身の毛がよだつ殺気が放たれた。彼は鳥肌が立つと同時に、これが憧れの人が認めた強さか、と興奮が抑えきれなかった。一番弟子への尊敬の念と、それに比例する第四皇子への憎悪の念が、むくむくと膨れ上がった。

その後、帝国軍に所属するハーララ帝国第三皇子と対談する第四皇子を見て、第四皇子は第三皇子の勇姿を見るために来たのだ、と彼は解釈した。合同訓練は参観日じゃないんだぞ、と彼は深い憤りを感じた。実際には第四皇子は来たくもなかったのだが、それを彼が知る由もない。

昼休憩中、彼はチラチラと第四皇子を伺った。本命は一番弟子なのだが、見ようとすると自然と第四皇子の方に目が行ってしまう。尊敬すべき人を束縛する憎き相手だが、第四皇子の容姿は正に天使。不本意だが、恨みも忘れて見蕩れてしまうのだ。

だかそんな彼を我に帰らせる出来事が起きた。第四皇子が嫌がる一番弟子に無理矢理サンドウィッチを渡したのだ。自分よがりに物を与えるのは慈悲ではない。ただの偽善である。彼は激しく第四皇子を侮蔑した。実際には一番弟子は謙遜しただけであり、サンドウィッチは美味しく食したのだが。第四皇子が悪に、一番弟子が不憫に見える先入観が彼にこべりついていた。

その後、昼休憩に入った一番弟子のもとに彼は急いで向かった。そして一番弟子に同情の言葉をかけた。それは不満の捌け口に自分を使って欲しいという、自分よがりな善意であった。

そして一番弟子の逆燐に触れ、睨まれた。あまりの迫力に彼が慄いていると、スッと一番弟子は横を通り過ぎていく。彼は何故怒らせてしまったのかわからなかった。自分は一番弟子を不憫に思い、少しでも不満を解消出来たらと思っただけなのに、と。

暫く考えた後、あることに思い至った。いくら嫌々でも、主を悪く言うことが出来ないのではないか、と。

帝国の騎士は皇族への忠義が第一に重んじられると聞く。つまり皇族の言いなりになるのが騎士のあるべき姿と言う考えがあるに違いない。彼はそう考えた。

実際はそんなことはない。忠義と従順は全く別物だと言う考えが帝国にはあるため、そのような騎士は逆に愚かな騎士の象徴である。しかし他国の事情をよく知らない彼は一番弟子を不憫に思うばかり、一番弟子を取り巻く環境全てが悪のように見えてしまった。

彼はイライラしていた。一番弟子の不遇の根源である第四皇子への憎悪が抑えきれなかった。幸福そうに笑いやがって、その裏でどれだけ一番弟子が苦しんでいるか知りもしないで。お前の幸せは1人の騎士の犠牲によって成り立っていると言うのに。

恨みを込めた視線を送ろうとしたその時。感じたことのない膨大な魔力をその身に受けた。彼は崩れ落ちそうになる膝をなんとか踏ん張って留めた。絶対的な魔力を前にして、彼は身動きがとれなくなった。

魔力の威圧が止み、彼は魔力の出処へと顔を向けた。そこには一番弟子と第四皇子が。一体、どちらの魔力だ。普通に考えれば一番弟子なのだが、一番弟子の殺気とはまた違うように感じた。なら、第四皇子だと言うのか?あんな貧弱で、脳内お花畑な皇子が?

彼は第四皇子に対して『負け』を感じた。あれほどの魔力に適う訳がない。それは彼をとてもイライラさせた。これでも王国騎士としてプライドがあるのだ。魔力だけで貧弱学者皇子に負けたと思ってしまったのが、嫌で仕方なかった。

訓練は魔法を扱ったものに切り替わった。彼は第四皇子に対して苛立ちやらを感じて、注意力が散漫だった。ことあるごとに第四皇子を目で追ってしまい、全く集中出来ていなかった。

だからかもしれない。いや、そうだからと断言しよう。

彼の放った土魔法の弾丸が一直線に第四皇子に向かって行ったのは。

魔法は使い手の感情に左右されやすい。その中でも脳筋な彼は特に感覚で魔法を使っていた。そんな彼が特定の人に憎しみを感じながら攻撃魔法を放てばどうなるか。想像は容易いだろう。

彼がその瞬間思ったことは「やっべえ俺死んだ」である。脳筋な彼だが他国の皇族に怪我させたなら首と胴体がさよならするぐらいはわかっている。彼は死を覚悟した。

ドゴーンッ。

激しい衝突音がその場を包む。彼は腕で顔を覆って飛んでくる破片を防いだ。どうか死なないでくれ。自分は戦争以外で人を殺したくはない。そう必死に願いながら。

衝撃が止み、彼は恐る恐る腕を下ろす。そして第四皇子の方を見ると、そこには。

大きな防壁が魔法によって作り出されていた。

彼は安堵した。良かった誰も死ななかった、と。それと同時に当惑した。一番弟子が魔法不得手者であることを知っていたからだ。一体誰が、あのような立派な防壁を作り出したのか。

一番弟子の後ろで第四皇子がふらりと動いたのが見えた。きっと今から激怒して、魔法を放った者を公開処刑するだろう。だがそれぐらいのことを自分はしてしまったのだ。彼は腹を括って一歩前に出た。

一番弟子に隠れて見えなかった第四皇子の表情を見た時、彼は幻想を見ているのかと思った。

危険な目にあったと言うのに、第四皇子の目は爛々と輝いていたのだ。

「ふおっふあ~!凄い!凄いですぞヴァイナモ殿!魔法陣が!煌々と輝いていますぞ!そしてあれほどの衝撃にも耐える防壁を、一瞬のうちに作り上げた!しかも!適正属性を持たぬ人の魔力によって!素晴らしい!実験は山のようにしましたがやはり実践で使うとまた違った印象を受けますな!ああ!魔法陣への情熱が抑えきれない!今すぐ研究に戻りたい!」

その声を聞いた彼が頭にクエスチョンマークを増産させたのは至極当たり前の反応である。

「殿下、落ち着いてください」

「落ち着いていられますか!今すぐ実際に使っての感想やら改良点やら考察やらエトセトラエトセトラを書かなくては!行きますぞヴァイナモ殿!」

「えっ今からですか?見学の方は……?」

「父上は一日中しろとは仰ってなかったので大丈夫です!」

「……こうなった殿下は止められませんね」

一番弟子は興奮気味の第四皇子に呆れて溜息をつきながらも、口元が笑っているように見えた。

意気揚々と訓練場を去っていく第四皇子の背を見送りながら、彼は間抜けに開いた口が塞がらなかった。第四皇子は自分を見向きもしないで、死にかけたことにすら無頓着に、魔法陣について語り出したのだ。魔法陣を研究している変わり者だと彼も聞いていたが、ここまでだとは思わなかった。

そして彼は、自分がとんでもない思い違いをしていたと察した。

一番弟子は嫌々連れ回されている訳ではない、と。

第四皇子が魔法陣について熱く語る姿を、あんな愛おしそうな目で見ていたのに、そこに嫌悪の感情があるはずもない、と。

彼はあまりの衝撃に話すことも、動くことすら出来なかった。だから彼は帝国軍所属の第三皇子に鬼の形相で胸倉を掴まれて頬をぶん殴られても、惚けた表情しか出来なかった。
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