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ネビュラを探して

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「ネビュラ、ネビュラと・・・」
まずはネビュラに関する本が、どの分野に含まれているのかを知らないとな。
なにせ図書館の内部は広大だ。手当たり次第というのでは、一年かけても半分も進まないだろう。
やっぱり星魔法について書かれている本を、探すところから始めるか。

「タケルさん、ここにメテオに関する記述がありますよ。」
「どれどれ、隕石(メテオ)を利用した武器加工方法か、違うな。」

「星魔法について書いてある本があったわよ。」
「なになに月の満ち欠けが魔術に与える影響についてか、これも違うな。」

探し始めてしばらく経つと、セフィアルとユーディットがいくつかそれっぽい本を見つけてくるが、どれも違うようだ。

「ウンセ、ウンセ、お、重いのです。」
ここにある本は羊皮紙のページを皮で閉じたもので、大きくて重い。レクイルには棚から取り出して運ぶだけでもの大変なようだ。
フラフラしながらも、頑張って机に運んでは調べている。

その日は何の収穫もなく、次の日も同じように本をあさっていると、

「お嬢ちゃん達、昨日から熱心に調べ物をしているようじゃが、何を調べておるのかね?」
白い髭を腹の真ん中までたらして、いかにも研究者か教授といった感じの爺さんが、重い本に四苦八苦しているレクイルに話しかけてくる。

「そ、それはですね・・・」
「俺たちはネビュラという言葉について知りたいんだ。」
どう応じていいのか分からず、口ごもってしまったレクイルに替わって俺が答える。
図書館の関係者なら何か知っているかもしれない。

「ネビュラじゃと、そのような言葉をどこで知ったのじゃ。」
長い眉毛の下に隠された瞳から睨んでくる。

「爺さん、ネビュラについて知ってるのか。」
「まあよい、ネビュラはただの星魔法とは全く違う魔法じゃ。闇と欲望にまみれた力、非常に危険な力じゃ。」
闇と欲望、なんか物騒な感じのキーワードが出て来たぞ。

「その力を使いこなすには、どうしたらいいんだ?」
「使いこなすじゃと?そんなことは出来んよ。」
「出来ない?どうして出来ないんだ?」
「ネビュラの力は簡単に使えるほど甘い物ではない。お主ら、ゆめゆめネビュラに関わろうなどとは思わぬようにな。」

結局何の答えもくれないままに、爺さんは行ってしまった。

タケル達に話しかけた老人が自室に戻ると、すぐに助手が声をかけてきた。

「館長、あの者達に何か問題がありましたでしょうか?」
「いや大丈夫じゃ。ただ、少しな・・・」
「少しとおっしゃいますと?」
「いや、よいのじゃ。気にするでない。」
「はあ・・・」

何を調べているかと思えば、ネビュラなどという言葉をどこで知ったのか。
少年を中心に亜人とエルフの少女も加わっていたが、不思議な組み合わせだ。

ネビュラは危険な魔法だが、知識の探求は魔術師にとって重要な要素、頭ごなしに禁止したくはない。
まだ若者ゆえ好奇心に任せて、行動しているのだろう。
ネビュラについての本は禁忌に指定されている。たとえ魔術に長けたエルフが混ざっていても、詳細を知ることはできない。
まあ、放って置いても問題あるまい。

それから数日間、俺達は片っ端から本棚の本を調べまくったが、ネビュラの手掛かりは見つからなかった。

「ダメだな、ネビュラについてもアステルについても、全く記述した本が見つからない。」
「やっぱりタケルさんの力は特別な物で、本に書かれてはいないのでは?」
「うーん、メイガスについて書かれた本も見当たらないし、どこか別の場所にまとめて保管してあるのかもしれないな。」

図書館の一角には立ち入り禁止のエリアがあり、そちらには一般の来訪者には閲覧できない禁書が保管されている。

「ユーディット、あっちの禁書エリアの立ち入り許可も取れないかな。」
「そうね。私も気になっていたのよ。試してみるわ。」

「ダメね。さすがに禁書エリアには入れてもらえないわ。」
ユーディットが図書館の職員と交渉してくれたが、閲覧許可は出なかった。
やはりエルフでも無理なのか。

なんとか潜り込みたいところだが、魔法王国の中枢の一部を担うだけあって数々のセキュリティー対策が施されているようだ。
盗賊系のスキルなど持たない俺達に侵入は不可能だろう。

結局、その日も進展はないまま、俺達が図書館を出ようとすると、それを待っていた連中がいた。
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