62 / 75
ネビュラを探して
しおりを挟む
「ネビュラ、ネビュラと・・・」
まずはネビュラに関する本が、どの分野に含まれているのかを知らないとな。
なにせ図書館の内部は広大だ。手当たり次第というのでは、一年かけても半分も進まないだろう。
やっぱり星魔法について書かれている本を、探すところから始めるか。
「タケルさん、ここにメテオに関する記述がありますよ。」
「どれどれ、隕石(メテオ)を利用した武器加工方法か、違うな。」
「星魔法について書いてある本があったわよ。」
「なになに月の満ち欠けが魔術に与える影響についてか、これも違うな。」
探し始めてしばらく経つと、セフィアルとユーディットがいくつかそれっぽい本を見つけてくるが、どれも違うようだ。
「ウンセ、ウンセ、お、重いのです。」
ここにある本は羊皮紙のページを皮で閉じたもので、大きくて重い。レクイルには棚から取り出して運ぶだけでもの大変なようだ。
フラフラしながらも、頑張って机に運んでは調べている。
その日は何の収穫もなく、次の日も同じように本をあさっていると、
「お嬢ちゃん達、昨日から熱心に調べ物をしているようじゃが、何を調べておるのかね?」
白い髭を腹の真ん中までたらして、いかにも研究者か教授といった感じの爺さんが、重い本に四苦八苦しているレクイルに話しかけてくる。
「そ、それはですね・・・」
「俺たちはネビュラという言葉について知りたいんだ。」
どう応じていいのか分からず、口ごもってしまったレクイルに替わって俺が答える。
図書館の関係者なら何か知っているかもしれない。
「ネビュラじゃと、そのような言葉をどこで知ったのじゃ。」
長い眉毛の下に隠された瞳から睨んでくる。
「爺さん、ネビュラについて知ってるのか。」
「まあよい、ネビュラはただの星魔法とは全く違う魔法じゃ。闇と欲望にまみれた力、非常に危険な力じゃ。」
闇と欲望、なんか物騒な感じのキーワードが出て来たぞ。
「その力を使いこなすには、どうしたらいいんだ?」
「使いこなすじゃと?そんなことは出来んよ。」
「出来ない?どうして出来ないんだ?」
「ネビュラの力は簡単に使えるほど甘い物ではない。お主ら、ゆめゆめネビュラに関わろうなどとは思わぬようにな。」
結局何の答えもくれないままに、爺さんは行ってしまった。
タケル達に話しかけた老人が自室に戻ると、すぐに助手が声をかけてきた。
「館長、あの者達に何か問題がありましたでしょうか?」
「いや大丈夫じゃ。ただ、少しな・・・」
「少しとおっしゃいますと?」
「いや、よいのじゃ。気にするでない。」
「はあ・・・」
何を調べているかと思えば、ネビュラなどという言葉をどこで知ったのか。
少年を中心に亜人とエルフの少女も加わっていたが、不思議な組み合わせだ。
ネビュラは危険な魔法だが、知識の探求は魔術師にとって重要な要素、頭ごなしに禁止したくはない。
まだ若者ゆえ好奇心に任せて、行動しているのだろう。
ネビュラについての本は禁忌に指定されている。たとえ魔術に長けたエルフが混ざっていても、詳細を知ることはできない。
まあ、放って置いても問題あるまい。
それから数日間、俺達は片っ端から本棚の本を調べまくったが、ネビュラの手掛かりは見つからなかった。
「ダメだな、ネビュラについてもアステルについても、全く記述した本が見つからない。」
「やっぱりタケルさんの力は特別な物で、本に書かれてはいないのでは?」
「うーん、メイガスについて書かれた本も見当たらないし、どこか別の場所にまとめて保管してあるのかもしれないな。」
図書館の一角には立ち入り禁止のエリアがあり、そちらには一般の来訪者には閲覧できない禁書が保管されている。
「ユーディット、あっちの禁書エリアの立ち入り許可も取れないかな。」
「そうね。私も気になっていたのよ。試してみるわ。」
「ダメね。さすがに禁書エリアには入れてもらえないわ。」
ユーディットが図書館の職員と交渉してくれたが、閲覧許可は出なかった。
やはりエルフでも無理なのか。
なんとか潜り込みたいところだが、魔法王国の中枢の一部を担うだけあって数々のセキュリティー対策が施されているようだ。
盗賊系のスキルなど持たない俺達に侵入は不可能だろう。
結局、その日も進展はないまま、俺達が図書館を出ようとすると、それを待っていた連中がいた。
まずはネビュラに関する本が、どの分野に含まれているのかを知らないとな。
なにせ図書館の内部は広大だ。手当たり次第というのでは、一年かけても半分も進まないだろう。
やっぱり星魔法について書かれている本を、探すところから始めるか。
「タケルさん、ここにメテオに関する記述がありますよ。」
「どれどれ、隕石(メテオ)を利用した武器加工方法か、違うな。」
「星魔法について書いてある本があったわよ。」
「なになに月の満ち欠けが魔術に与える影響についてか、これも違うな。」
探し始めてしばらく経つと、セフィアルとユーディットがいくつかそれっぽい本を見つけてくるが、どれも違うようだ。
「ウンセ、ウンセ、お、重いのです。」
ここにある本は羊皮紙のページを皮で閉じたもので、大きくて重い。レクイルには棚から取り出して運ぶだけでもの大変なようだ。
フラフラしながらも、頑張って机に運んでは調べている。
その日は何の収穫もなく、次の日も同じように本をあさっていると、
「お嬢ちゃん達、昨日から熱心に調べ物をしているようじゃが、何を調べておるのかね?」
白い髭を腹の真ん中までたらして、いかにも研究者か教授といった感じの爺さんが、重い本に四苦八苦しているレクイルに話しかけてくる。
「そ、それはですね・・・」
「俺たちはネビュラという言葉について知りたいんだ。」
どう応じていいのか分からず、口ごもってしまったレクイルに替わって俺が答える。
図書館の関係者なら何か知っているかもしれない。
「ネビュラじゃと、そのような言葉をどこで知ったのじゃ。」
長い眉毛の下に隠された瞳から睨んでくる。
「爺さん、ネビュラについて知ってるのか。」
「まあよい、ネビュラはただの星魔法とは全く違う魔法じゃ。闇と欲望にまみれた力、非常に危険な力じゃ。」
闇と欲望、なんか物騒な感じのキーワードが出て来たぞ。
「その力を使いこなすには、どうしたらいいんだ?」
「使いこなすじゃと?そんなことは出来んよ。」
「出来ない?どうして出来ないんだ?」
「ネビュラの力は簡単に使えるほど甘い物ではない。お主ら、ゆめゆめネビュラに関わろうなどとは思わぬようにな。」
結局何の答えもくれないままに、爺さんは行ってしまった。
タケル達に話しかけた老人が自室に戻ると、すぐに助手が声をかけてきた。
「館長、あの者達に何か問題がありましたでしょうか?」
「いや大丈夫じゃ。ただ、少しな・・・」
「少しとおっしゃいますと?」
「いや、よいのじゃ。気にするでない。」
「はあ・・・」
何を調べているかと思えば、ネビュラなどという言葉をどこで知ったのか。
少年を中心に亜人とエルフの少女も加わっていたが、不思議な組み合わせだ。
ネビュラは危険な魔法だが、知識の探求は魔術師にとって重要な要素、頭ごなしに禁止したくはない。
まだ若者ゆえ好奇心に任せて、行動しているのだろう。
ネビュラについての本は禁忌に指定されている。たとえ魔術に長けたエルフが混ざっていても、詳細を知ることはできない。
まあ、放って置いても問題あるまい。
それから数日間、俺達は片っ端から本棚の本を調べまくったが、ネビュラの手掛かりは見つからなかった。
「ダメだな、ネビュラについてもアステルについても、全く記述した本が見つからない。」
「やっぱりタケルさんの力は特別な物で、本に書かれてはいないのでは?」
「うーん、メイガスについて書かれた本も見当たらないし、どこか別の場所にまとめて保管してあるのかもしれないな。」
図書館の一角には立ち入り禁止のエリアがあり、そちらには一般の来訪者には閲覧できない禁書が保管されている。
「ユーディット、あっちの禁書エリアの立ち入り許可も取れないかな。」
「そうね。私も気になっていたのよ。試してみるわ。」
「ダメね。さすがに禁書エリアには入れてもらえないわ。」
ユーディットが図書館の職員と交渉してくれたが、閲覧許可は出なかった。
やはりエルフでも無理なのか。
なんとか潜り込みたいところだが、魔法王国の中枢の一部を担うだけあって数々のセキュリティー対策が施されているようだ。
盗賊系のスキルなど持たない俺達に侵入は不可能だろう。
結局、その日も進展はないまま、俺達が図書館を出ようとすると、それを待っていた連中がいた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる