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スケルトンの廃遺跡

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銀狼族の人々は、俺たちの案内で書庫の近くに新しい集落を再建することとなった。

「書庫の周囲に住むというのであれば、私からは何の問題もありませんよ。」

銀狼族が部族ごと移転して来るという話に、エクレールはあっさりとOKを出してくれた。
書庫内部に入れることはできないが、周辺に自分たちで小屋を建てて住むというのであれば、
特に不都合はないとのことだ。

さっそく、銀狼族の面々は、自分たちが住む小屋を立てはじめた。
彼らは狩猟民族なので、所持品は多くない。
身の回りの物と、わずかな家具や調理道具だけあれば生活できる。
それゆえ小屋も質素な造りで十分なので、あっという間に里の再建は済んでしまった。

そしてバルナドを追放した後の、新しい族長にはセフィアルが選ばれてしまった。
元々、前族長の娘であることに加えて、部族の皆を救出したこれまでの経緯を考えれば当然かもしれない。
ただ、セフィアルとレクイルは俺の眷属として一緒に行動してもらわなくては困る。
そこで族長代理として部族で最年長のセガルデが、セフィアルが不在の時は村を任されることになった。

こうして銀狼族は書庫の近くで新たな生活をスタートさせた。

銀狼族は総勢60名程度の小さな部族である。
森で魔物を狩って食料を得て、手に入れた素材は自分たちで加工したり、町におろしたりして生計を立てている。
狩りは主に男性が行うが、女性でもステータスが高ければ参加を認められる。
セフィアルも里にいたときは、狩りに参加していたそうだ。

子供もけっこうたくさんいて、狼族らしく元気に駆け回っている。
特に活発なちびっ子のミリアルとセプトルは、俺のお気に入りだ。

二人とも俺が里に顔を出すと「タケルさまぁ、遊んでぇ」と言ってすぐにやって来る。
追いかけっこすると素早く逃げていくが、さすがは銀狼族、ちびっ子でもかなり動きは速い。
体力の少ない俺は、すぐにばててしまって座り込んでしまう。
すると「もっと、もっと遊んでぇ」と上に乗っかってくる。
可愛いんだが、子供の相手はかなり疲れる。

スノウは子供たちにも大人気で、暇なときは書庫を抜け出して仲良く遊んでいる。
こちらは圧倒的に素早い、子供たちを翻弄して楽しんでいるようだ。

銀狼族の人々は陽気で純粋な人達なので、俺はすぐに馴染んでしまった。
よく考えればこれまで一緒にいたのは、エクレール、セフィアルとレクイルそれにスノウだけだ。
俺を加えても四人と一匹というのは、結構さみしかったのかもしれない。

仲間と呼べる人達が大勢増えて、俺の周りは一気に、にぎやかになった。


銀狼族の里が移転してきてからしばらくして、若手のリーダー格の一人、ベルモンが俺の所にやって来た。

「タケル殿、ご報告したいことがあります。
森の東で遺跡が見つかりました。既に廃墟となっているようですが、周囲にはスケルトンがうろついているそうです。」
「スケルトン?」
「ハイ、スケルトン兵が数体いて、遺跡の入り口付近を警護しているようです。」

スケルトンにはいままでお目にかかったことはない。
こういった話はやはりエクレールに相談するのが一番だろう。

「遺跡といっても話を聞く限りでは、それほど大きな物ではないようです。
周囲にスケルトンがうろついているとのことですが、
死霊系の魔術師、ネクロマンサーなどはスケルトンを警護に使うのを好みます。」

「すると魔術師が隠れて住んでいるってことか」

「いえ、廃墟となっているということは、たぶん召喚主が死んでスケルトンだけが残されたのでしょう。
タケルさん、これはチャンスですよ。
スケルトンを大量召喚できるほどの魔導士となれば、かなりの実力者でしょう。
当然、魔道具もたくさん持っていたはずです。
所有者がいないのならば、私たちがいただいておきましょう。」

見方によっては、盗賊的な発想のような気もするが、俺も激しく同意する。
貴重な魔法の道具は、有効活用しなくてはもったいない。

俺達は早速、遺跡攻略の準備に取り掛かるのだった。
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