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セフィアル対バルナド
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「魔法への耐性が強いと言ってたけど、それほどでもなかったみたいだな。」
メテオ・サークルを使用したとはいえ、さほど苦戦したわけでもない。
確かに腕力は凄かったが、そこまで恐れるほどの相手ではなかったようだ。
「いえ、そんなはずはありません。タケルさんの魔法が強すぎるんです。」
そう、強すぎる。
オーガ族の戦士であれば、平均レベルの者でも戦闘力は人族のそれをはるかに上回る。
彼らは生まれながらにして、強者であり戦士なのだ。
人が一騎打ちで戦える道理はない。
セフィアルは魔術については詳しくないが、それでも違和感を感じてはいた。
強力な魔物が闊歩するこの森で、一人(スノウは別)で狩りを続けてきたという。
森の魔素を吸って、魔法耐性が異様に上がっている魔物たち相手にだ。
およそ普通の人族にできることではない。
どういう訳か不思議と本人は、その異常さに気が付いていない様子だ。
とはいえ、今はそのことを考えている時ではない。
まだ目の前の男に、問いたださなくてはならないことがあるのだから。
「バ、バカなッ、人がオーガを倒すなんて」
自身の目の前で倒されたオーガ族の戦士を見て、バルナドは驚愕の声を上げた。
「バルナド、あなたが里の皆を売ったのですか?」
セフィアルが怒りを込めた眼で、裏切り者を睨みつける。
「ち、違うんだ。セフィアルよ、奴らに脅されて仕方なく従っただけなんだ。」
「レクイルだけでなく里の仲間達にまで手を出すなんて、あなただけは許せません。」
「チッ、どうやらごまかすのは無理のようだな」
開き直ったバルナドは態度を一変させると、両手に短剣を構える。
「タケルさん、手は出さないでください。バルナド、アナタの相手は私がします。」
普段、感情を表すことの少ないセフィアルが、怒りで頬を赤く染めている。
「前に私に負けたことを、もう忘れたのか?」
「あの時と今の私は違います。」
「バカがッ!そんな短期間でレベルアップできるわけがないだろう。」
セフィアルと銀狼族の裏切り者バルナドが、真っ向からぶつかり合った。
互いに両手に持ったダガーを、巧みに使って斬り合う。
二人の戦い方は全く同じ、二刀短剣による近接戦闘、銀狼族の基本的戦闘スタイルだ。
セフィアルは以前、バルナドに敗れたといっていたが、今の彼女は違う。
俺とパーティーを組んで、短い間ではあるが多くの魔物を仕留めてレベルを上げてきた。
力でも敏捷性でも成長した彼女の方が上、すぐにバルナドは押され始めた。
「そ、そんな、バカなことが、どうやってここまでの力を?!」
「言ったでしょう。今の私はあの時と違うと」
「小娘がッ!」
バルナドは最後の手段とばかりにワイルドレイジを発動、攻撃速度を上げる。
それに対してセフィアルは
「ウルフレイジ!」
中級闘技ウルフレイジで対抗する。
初級闘技と中級闘技、決着が着くのにそう時間はかからなかった。
バルナドが地面に倒れ伏して動きを止めたのを見届けると、セフィアルは「ふぅ」と大きく息を吐いた。
○ギャジデルガ オーガ族
職業 重戦士
LEVEL 22
HP 653
MP 34
STR 134
VIT 189
INT 27
AGI 32
WIS 34
LUC 15
闘技
初級 オーガ・ブロウ
中級 マッスル・アーム
スキル
HP自動回復 (中) (Lv1)
HP増大 (中) (Lv1)
オーガ・アーム (中) (Lv1)
オーガ・スキン (中) (Lv1)
○バルナド 銀狼族
職業 獣戦士(クラスチェンジ前)
LEVEL 20
HP 115
MP 30
STR 97
VIT 47
INT 30
AGI 166
WIS 30
LUC 23
闘技
初級 ワイルド・ストライク
ワイルド・レイジ
スキル
デュアル・ダガー(小) (Lv9)
シルバー・ガード(小) (Lv9)
メテオ・サークルを使用したとはいえ、さほど苦戦したわけでもない。
確かに腕力は凄かったが、そこまで恐れるほどの相手ではなかったようだ。
「いえ、そんなはずはありません。タケルさんの魔法が強すぎるんです。」
そう、強すぎる。
オーガ族の戦士であれば、平均レベルの者でも戦闘力は人族のそれをはるかに上回る。
彼らは生まれながらにして、強者であり戦士なのだ。
人が一騎打ちで戦える道理はない。
セフィアルは魔術については詳しくないが、それでも違和感を感じてはいた。
強力な魔物が闊歩するこの森で、一人(スノウは別)で狩りを続けてきたという。
森の魔素を吸って、魔法耐性が異様に上がっている魔物たち相手にだ。
およそ普通の人族にできることではない。
どういう訳か不思議と本人は、その異常さに気が付いていない様子だ。
とはいえ、今はそのことを考えている時ではない。
まだ目の前の男に、問いたださなくてはならないことがあるのだから。
「バ、バカなッ、人がオーガを倒すなんて」
自身の目の前で倒されたオーガ族の戦士を見て、バルナドは驚愕の声を上げた。
「バルナド、あなたが里の皆を売ったのですか?」
セフィアルが怒りを込めた眼で、裏切り者を睨みつける。
「ち、違うんだ。セフィアルよ、奴らに脅されて仕方なく従っただけなんだ。」
「レクイルだけでなく里の仲間達にまで手を出すなんて、あなただけは許せません。」
「チッ、どうやらごまかすのは無理のようだな」
開き直ったバルナドは態度を一変させると、両手に短剣を構える。
「タケルさん、手は出さないでください。バルナド、アナタの相手は私がします。」
普段、感情を表すことの少ないセフィアルが、怒りで頬を赤く染めている。
「前に私に負けたことを、もう忘れたのか?」
「あの時と今の私は違います。」
「バカがッ!そんな短期間でレベルアップできるわけがないだろう。」
セフィアルと銀狼族の裏切り者バルナドが、真っ向からぶつかり合った。
互いに両手に持ったダガーを、巧みに使って斬り合う。
二人の戦い方は全く同じ、二刀短剣による近接戦闘、銀狼族の基本的戦闘スタイルだ。
セフィアルは以前、バルナドに敗れたといっていたが、今の彼女は違う。
俺とパーティーを組んで、短い間ではあるが多くの魔物を仕留めてレベルを上げてきた。
力でも敏捷性でも成長した彼女の方が上、すぐにバルナドは押され始めた。
「そ、そんな、バカなことが、どうやってここまでの力を?!」
「言ったでしょう。今の私はあの時と違うと」
「小娘がッ!」
バルナドは最後の手段とばかりにワイルドレイジを発動、攻撃速度を上げる。
それに対してセフィアルは
「ウルフレイジ!」
中級闘技ウルフレイジで対抗する。
初級闘技と中級闘技、決着が着くのにそう時間はかからなかった。
バルナドが地面に倒れ伏して動きを止めたのを見届けると、セフィアルは「ふぅ」と大きく息を吐いた。
○ギャジデルガ オーガ族
職業 重戦士
LEVEL 22
HP 653
MP 34
STR 134
VIT 189
INT 27
AGI 32
WIS 34
LUC 15
闘技
初級 オーガ・ブロウ
中級 マッスル・アーム
スキル
HP自動回復 (中) (Lv1)
HP増大 (中) (Lv1)
オーガ・アーム (中) (Lv1)
オーガ・スキン (中) (Lv1)
○バルナド 銀狼族
職業 獣戦士(クラスチェンジ前)
LEVEL 20
HP 115
MP 30
STR 97
VIT 47
INT 30
AGI 166
WIS 30
LUC 23
闘技
初級 ワイルド・ストライク
ワイルド・レイジ
スキル
デュアル・ダガー(小) (Lv9)
シルバー・ガード(小) (Lv9)
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