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新たなパートナー
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「この子は結晶獣ですね。この額に浮き出た結晶が何よりのしるしです。
書庫の近くで、幼い結晶獣と遭遇するなんて驚きです。」
書庫に戻った俺が、抱えてきた獣を見て、エクレールは目を丸くしている。
この子犬のようなチビ助は、結晶獣というらしい。
結晶獣・・・やっぱり魔物とは違うのか、あの場で見捨てないで連れ帰って来てよかった。
「結晶獣は、魔物の中でごく一部の個体が、突然変異したものと考えられています。
魔物と違って知性が高く、人族とも共存することもできます。
見たところこの子は狼系、それも白銀狼(プラチナム・ウルフ)の結晶獣の様ですね。」
「白銀狼(プラチナム・ウルフ)?」
「白銀狼は、狼系の魔物でも最大の攻撃力を誇る種族です。ただでさえ非常に個体数が少ない種族なのに、その結晶獣が見つかるなんて聞いたことがありません。」
「こいつの母親はどうしたんだろうな?」
こいつがトレントに襲われていた時に、近くに他の魔物の気配はなかった。
親や兄弟は、どうしたのだろう。
「森で一匹でいた言う事は、母親とははぐれたか、あるいは死別したのかもしれません。
ただ白銀狼は、この森の生態系の中でも上位に位置する魔物、簡単にやられるとは思えません。
何か事情があるのかもしれませんね。」
「母狼がまだ生きているとしたら、こいつを取り返しに来るかもしれないな。」
「もしそうなっても、絶対に戦ってはいけませんよ。
白銀狼は、ブラッド・ベアなど瞬殺してしまうほどのとても強力な魔物です。
いまのタケルさんでは勝ち目はありませんよ。」
あのブラッド・ベアを瞬殺とは、確かに恐ろしい。
まあ、母親が現れたらこいつを渡して、お引き取り願えば大丈夫だろう。
「このまま放って置いたら死んじゃうんじゃないか?」
結晶獣は、ぐったりとしたまま目を覚ましそうにない、なんだか心配になってきた。
「いえ弱ってはいますが命に別状はないようです。このまま回復するまで休ませてあげても良いのですが・・・。
タケルさん、ここに手を当ててみてください。」
何かを思いついたのか、エクレールは俺の手を取って結晶獣の額にある結晶に当てる。
「ここからタケルさんの魔力をこの子に流してみてください。」
「魔力を流す?」
「魔法を使うときの感覚で、魔力を手の平に集中させるんです。」
エクレールに言われた通りにやってみると、確かに俺の魔力が少しづつ結晶獣の額の結晶から吸い込まれていくのがわかる。
「そうですそのまま、そうです少しづつ、ゆっくりと。」
しばらく魔力を注いでいると、白い体が淡く光り始める。
次の瞬間、結晶獣はパチっと目を開けた。
目覚めた途端、パッと俺の肩に飛び乗ると頬をペロペロ舐めはじめた。
「ウワッ?」
「ふふふ、タケルさんの魔力をたっぷりと注いであげましたから、タケルさんを親とも思っているようですね。
結晶獣の額の宝石には、大量のマナが蓄えられるんです。
そのため魔術師との相性がとても良くて、古来よりとても重宝されてきたんです。
この子もきっとタケルさんの良い相棒になってくれるでしょう。」
エクレールは楽しそうに言うが、こんな小さい奴にそこまでの力があるのだろうか。
とはいえすっかり回復して、嬉しそうに俺の肩や頭の上を飛び回っているチビ助を見ていると、とりあえず一安心といって良いだろう。
書庫の近くで、幼い結晶獣と遭遇するなんて驚きです。」
書庫に戻った俺が、抱えてきた獣を見て、エクレールは目を丸くしている。
この子犬のようなチビ助は、結晶獣というらしい。
結晶獣・・・やっぱり魔物とは違うのか、あの場で見捨てないで連れ帰って来てよかった。
「結晶獣は、魔物の中でごく一部の個体が、突然変異したものと考えられています。
魔物と違って知性が高く、人族とも共存することもできます。
見たところこの子は狼系、それも白銀狼(プラチナム・ウルフ)の結晶獣の様ですね。」
「白銀狼(プラチナム・ウルフ)?」
「白銀狼は、狼系の魔物でも最大の攻撃力を誇る種族です。ただでさえ非常に個体数が少ない種族なのに、その結晶獣が見つかるなんて聞いたことがありません。」
「こいつの母親はどうしたんだろうな?」
こいつがトレントに襲われていた時に、近くに他の魔物の気配はなかった。
親や兄弟は、どうしたのだろう。
「森で一匹でいた言う事は、母親とははぐれたか、あるいは死別したのかもしれません。
ただ白銀狼は、この森の生態系の中でも上位に位置する魔物、簡単にやられるとは思えません。
何か事情があるのかもしれませんね。」
「母狼がまだ生きているとしたら、こいつを取り返しに来るかもしれないな。」
「もしそうなっても、絶対に戦ってはいけませんよ。
白銀狼は、ブラッド・ベアなど瞬殺してしまうほどのとても強力な魔物です。
いまのタケルさんでは勝ち目はありませんよ。」
あのブラッド・ベアを瞬殺とは、確かに恐ろしい。
まあ、母親が現れたらこいつを渡して、お引き取り願えば大丈夫だろう。
「このまま放って置いたら死んじゃうんじゃないか?」
結晶獣は、ぐったりとしたまま目を覚ましそうにない、なんだか心配になってきた。
「いえ弱ってはいますが命に別状はないようです。このまま回復するまで休ませてあげても良いのですが・・・。
タケルさん、ここに手を当ててみてください。」
何かを思いついたのか、エクレールは俺の手を取って結晶獣の額にある結晶に当てる。
「ここからタケルさんの魔力をこの子に流してみてください。」
「魔力を流す?」
「魔法を使うときの感覚で、魔力を手の平に集中させるんです。」
エクレールに言われた通りにやってみると、確かに俺の魔力が少しづつ結晶獣の額の結晶から吸い込まれていくのがわかる。
「そうですそのまま、そうです少しづつ、ゆっくりと。」
しばらく魔力を注いでいると、白い体が淡く光り始める。
次の瞬間、結晶獣はパチっと目を開けた。
目覚めた途端、パッと俺の肩に飛び乗ると頬をペロペロ舐めはじめた。
「ウワッ?」
「ふふふ、タケルさんの魔力をたっぷりと注いであげましたから、タケルさんを親とも思っているようですね。
結晶獣の額の宝石には、大量のマナが蓄えられるんです。
そのため魔術師との相性がとても良くて、古来よりとても重宝されてきたんです。
この子もきっとタケルさんの良い相棒になってくれるでしょう。」
エクレールは楽しそうに言うが、こんな小さい奴にそこまでの力があるのだろうか。
とはいえすっかり回復して、嬉しそうに俺の肩や頭の上を飛び回っているチビ助を見ていると、とりあえず一安心といって良いだろう。
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