私は問題軍師のその先を知っている

チヨカ

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12.三味線の音色と強引

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季布と町で別れ当てもなく散策してお店を廻る。可愛い簪が並ぶ小間物のお店に立ち寄ってみてもいつもなら楽しいはずの装飾鑑賞ですら今日は上の空で直ぐに出てきてしまっていた。幸助は薬で落ち着いたとは分かっていても心配なのだけど季布等はどうも結花に知られたくないことがあるらしく出掛けるように言いくるめられた手前戻るにも直ぐには戻れず何もする気になれないでいた。どちらせよ場所を移動しよう。どこに行こうか、気が向くまま歩みを進める。何も考えずに歩いていると見覚えのある通りに来ていた。そうだ、うんと賑わう通りの先の脇道を曲がると石畳が並び鳥居が見えて来た。考えず歩いていたら何時しか辿り着いていたのは吉原近くの神社にきていた。大分遠くまで歩いていたらしい。無意識に社の同じ場所に腰を下ろしただぼんやりと眺めていた。朝から慌ただしくしていたのと陽の暖かさに眼が抗うことができずいつの間にか寝ていた。こういうとこが無防備と言うか気が抜けているとは気づいていない。静かな寝息を零し眠る結花の隣には一刻前に神社に訪れた着流しを着崩し何食わぬ顔で男が静かに座っている。男は結花をちらりと見るや否や持っていた三味線を奏でだした。緩やかな音色でいて子守唄のように心地よいくさらに眠気を深める音のせいか座って寝ていた結花は身体が揺れる。お大きく左右に揺れ行き良いよく柱に頭をぶつけた。

「いっっったぁぁ····」

頭を強打した痛みで目が覚めた結花はぶつけた部分を抑えた。痛さに涙が出る。悶えてるその隣からはくつくつと笑いを抑え漏れる声と共に眠気を誘うような音色奏でる三味線を弾く男が居た。

「くっくっくっ···腹痛いってぇぇ。あんた女子おなごとしてそれは色気がねぇなぁ。そんなんだと良い人恋人もいないだろ···ふっははっっ···」
「うっ····いっ──。えっ、な··何で晋さんがここに?」

痛さと寝起きで寝ぼけており頭が追いつかず状況を理解できない。

「あぁ、最近はよくここに気晴らしに来るだがなぁ───。まぁ、それとなんだ誰かさんが来るのを待っていたっとゆうことだ。」
「そうなんですか?私、お邪魔そうですのでと暇しますね。それでは失礼します。」

こ、恋仲と逢い引きなのかな·····。覗き見するような無粋な真似はしたくない。一言邪魔はしない旨を伝え他に休めるとこに移動するため鳥居に向かい歩き出すがしんに掴まれ阻まれた。

「·····はぁ~、あんたには遠回しに言っても無駄のようだな。まぁなんだ···結花、あんたに会いたくって待ってたんだよ。」
「·····何で?」

晋と会う約束なんてしてはいない。だが、別れ際に「またな 」とは言われたような気もするがそれがいつをさを指している訳でもないのて結局は約束した心当たりは結花にはなのだ。

「あの、約束なんてしてましたか?」
 
覚えがないことをいくら考えてもしかないので晋に尋ねてみるもあっけらかんとした受け答えがかえる。

「いや、そんなもんしていない。それかどうしたんだ? 」
「えっ、それじゃあいつ来るか分からない私を待っていたってことですよね。時間の無駄じゃないですか。」
「お··おう。なかなかはっきり言うじゃねぇか、あんた。」

思っていたことをつい口からこぼれでてしまい、晋は驚きはしたもとのの軽く口角を上げ笑う。

「やっぱし、結花はおもしれぇな。俺にはっきり言い返す女なんぞあんたぐれぇ
だ。···ここでまた会えたのはなんかの縁だ。丁度今日一日暇してたとこだったからな、ちょいと付き合え。」
「すいません、今日は遠慮します──。」

正直、晋の誘いは嬉しかった。元々幸助と行くはずだった商業街に幸助と来れず一人ここで感情の整理していたものの気が晴れないでいた。
ぽつりぽつりと胸の内に留めてたことを晋に口をついてでていた。この前もそうだ。初めて会ったはずなのにも関わらずと居ると落ち着くというのとか気が緩んでしまい様々なことを打ち明けてしまっていた。

「····そうか。親父思いだな。そんなら土産でも買って帰れば喜ぶだろう。んじゃ行くか。」
「ちょ、話し聞いてましたか?私、気分が乗らないんです。」
「んでもよー。心配掛けたくなくって親父さんはあんたを#外に行かせた____外出#んだろう。なのに暗ぇくれまま帰ってみろよ、それこそ可哀想じゃねぇか。」

晋の言い分も一理ある。気鬱したまま帰ったとしたら当然幸助に心配され気に病まむだろう。けれども買い物に行く気には到底慣れそうにない····。

「····ですが、行っても晋さんに迷惑かけるだけですよ───」
「っあぁぁ、もうなぁ。辛気臭しんきくせったらねぇ。んなもんあんたが心配すんな。ただ、行くと言って俺に付き合えば良いんだ。俺にここまで言わせる者は滅多に居ない。んで、素直に口説かれとけ。」
「はぁ·····」

─これは一向に話しが膠着状態こうちゃくじょうたいどころか晋は帰ってくれないとろうな。─

もうどちらかが引くしかないどう、と結花は諦め折れ苦笑くしょうが零れた。晋と会ってからというもの振り回されっ放しだがこの時代で気兼ねなく話せれる唯一の人物とも言える。
今の憂鬱なまま帰っても心配事を増やしかねないだろう。いっそ晋の誘いに乗って暗い空気を少しでも晴らす方いい。

「それでは、存分に口説かれてあげますよ。」
「なんだ。大分偉そうだな。だが、行く気になんったんなら都合が良い。·····んじゃ、行くか結花。」

誘いを受けると言った途端結花の腕を掴み、ぐいぐいと大通りに歩みだした───。
 


※ 小間物店=江戸時代の町場にあった装飾品や化粧品といった日用品を扱っていたお店。今ていうところの雑貨店の旧称。
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