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Chapter.2 壊れた世界
P・V
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この世界は、もう壊れている。
今から五年前、突如として世界に、あるウイルスが発生した。――Phantom Virus。
通称、P・Vと呼ばれるそれは、人体を異形へと作り変えてしまう恐怖の細菌だった。
発生は、偶然。薬剤開発の過程で生み出されてしまった誤算だった。
本来なら、癌細胞を無害な細胞に作り変えてしまうという、画期的な薬になる筈だったらしい。
でも、実際に出来上がったものは、製造者の意図とは大きくかけ離れたものだった。
それは、病体だろうと健康体だろうと、癌細胞を無害な細胞にどころか、人体そのものの構造を作り変えてしまう恐ろしいウイルスになっちまったんだ。
一番最初に異形化を遂げたのは、薬剤開発所の所員達だった。
薬の完成……実際には薬どころか有害なウイルスだったわけだけど。その完成と同時に所員達が感染・異形化したものだから、一般人はその段階ではまだ何にも把握出来ていなかった。
だもんで、突如街に異形の怪物が現われた時の騒ぎといったら……言うまでもないな。でも、本当に大変なことになったのは、その後事情が知れてからだった。
開発所の所員達の中でも、ウイルスの感染に免れた奴が何人かいたんだ。
そいつらが、開発上のミスによって発生してしまった、人体を異形へと作り変えてしまう恐怖のウイルス――Phantom Virus。通称、P・Vの存在を告知した。
更に、そのP・Vが既に開発所から大量に漏洩してしまっていること。
しかも、尚悪いことに、P・Vは熱にも冷却にも強く、防毒マスクでも防げない空気感染型のウイルスであること。
おまけにウイルスそれ自体が生きていて、ものすごい速さで増殖していること――そういったことが一気に明るみになった。
それを聞いた人々は、そりゃあ大騒動になった。
それまでも異形の怪物のことは、山奥に人知れず存在していたビッグフットだの宇宙から侵略にやって来たエイリアンだの、色々な推測が飛び交っててそれはそれで皆恐れてたんだが……。
その正体が実は人間の成れの果てだと知った時、それが一番恐ろしいことだと思ったんだ。
だってそれは、自分も怪物になってしまう恐れがあるってことだから。
しかも、その異形の怪物は人を襲う。襲って食らう。それ自体が脅威の存在だったんだ。
今から五年前、突如として世界に、あるウイルスが発生した。――Phantom Virus。
通称、P・Vと呼ばれるそれは、人体を異形へと作り変えてしまう恐怖の細菌だった。
発生は、偶然。薬剤開発の過程で生み出されてしまった誤算だった。
本来なら、癌細胞を無害な細胞に作り変えてしまうという、画期的な薬になる筈だったらしい。
でも、実際に出来上がったものは、製造者の意図とは大きくかけ離れたものだった。
それは、病体だろうと健康体だろうと、癌細胞を無害な細胞にどころか、人体そのものの構造を作り変えてしまう恐ろしいウイルスになっちまったんだ。
一番最初に異形化を遂げたのは、薬剤開発所の所員達だった。
薬の完成……実際には薬どころか有害なウイルスだったわけだけど。その完成と同時に所員達が感染・異形化したものだから、一般人はその段階ではまだ何にも把握出来ていなかった。
だもんで、突如街に異形の怪物が現われた時の騒ぎといったら……言うまでもないな。でも、本当に大変なことになったのは、その後事情が知れてからだった。
開発所の所員達の中でも、ウイルスの感染に免れた奴が何人かいたんだ。
そいつらが、開発上のミスによって発生してしまった、人体を異形へと作り変えてしまう恐怖のウイルス――Phantom Virus。通称、P・Vの存在を告知した。
更に、そのP・Vが既に開発所から大量に漏洩してしまっていること。
しかも、尚悪いことに、P・Vは熱にも冷却にも強く、防毒マスクでも防げない空気感染型のウイルスであること。
おまけにウイルスそれ自体が生きていて、ものすごい速さで増殖していること――そういったことが一気に明るみになった。
それを聞いた人々は、そりゃあ大騒動になった。
それまでも異形の怪物のことは、山奥に人知れず存在していたビッグフットだの宇宙から侵略にやって来たエイリアンだの、色々な推測が飛び交っててそれはそれで皆恐れてたんだが……。
その正体が実は人間の成れの果てだと知った時、それが一番恐ろしいことだと思ったんだ。
だってそれは、自分も怪物になってしまう恐れがあるってことだから。
しかも、その異形の怪物は人を襲う。襲って食らう。それ自体が脅威の存在だったんだ。
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