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20.一つになる 前※

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 接吻くちづけを交わしながら、どちらからともなく服を脱いでいく。初めはゆっくりと、次第に焦れたように互いのそれを剥ぎ取っていく。
 裸になって抱き合うと、もつれ合い、二人してベッドに転がり込んだ。横たわるツヴァイに、覆い被さる形でアインス。真剣な眼差しで見下ろされると、ツヴァイの心臓が一気に跳ねた。

(うわ……何か、これ……)
「ツヴァイ……」

 甘く名を呼んで、アインスが顔を寄せてくる。ツヴァイは思わずストップを掛けた。

「ちょ、ちょっと待って、アイちゃん!」
「……どうした? やっぱり、まだ辛いか?」

 気遣わし気に眉を寄せるアインスを、ツヴァイは直視出来ずに頬を染めて目を逸らした。

「そうじゃないけど……その……下だと何か緊張するから、俺が上に乗って動いてもいい?」

 思わぬ申し出に、意表を衝かれてアインスは数秒固まった。それから、神妙に頷きを返す。

「……分かった。その方がお前がやりやすいのなら」

 早速、互いの位置を入れ替える。背の高い彼を上から俯瞰するのは、ツヴァイには何だか新鮮だった。見つめていると、今度はアインスの方が戸惑いがちに視線を逸らした。

「本当だ……何だか緊張するな」

 素直な感想に瞬間目を丸くして、ツヴァイは小さく笑み零した。

「でしょ?」

 自分だけじゃないのだと知れると、お蔭で少し気が楽になった。改めて畏まるアインスを見下ろすと、ツヴァイはその豊かな胸元に目を奪われる。

「アイちゃんって、胸おっきぃよね」
「胸……というか、筋肉だが」
「ずっと柔らかそうだなって思ってたんだよね。触ってもいい?」
「触って楽しいかは分からんが……好きにしろ」

 不思議なことを言う奴だな、と訝るアインスを余所に、許可を得たツヴァイは意気揚々と彼の胸元に手を伸ばした。盛り上がったその膨らみに沿わせるように指先と掌で優しく触れる。筋肉が弛緩した状態のそれは、思った通り柔らかく、それでいて弾力のある手触りだった。

「凄い。もう雄っぱいだよね、これ」
「……何言ってるんだ」

 アインスには呆れられたが、ツヴァイはお気に召したようで、両手で彼の胸を思う存分にふにふにと揉みしだいた。その内に悪戯心が芽生え、指先で乳首に触れてみる。しかし、アインスの反応は鈍かった。それもそうだろう。

「そんな所、自分でも触ったことがないぞ」
「だろうね」

 完全に未開発なのだ。彼は反応に困っている様子だったが、それでも同じ個所を弄い続けている内に、段々と硬く膨れていき、しまいにはツンと勃ち上がった。それを更に指先で抓ると、

「んっ……」

 初めて色を含んだ吐息が漏れ、当人も驚いたようにハッとした。頬を染め、恥じ入るように目線を逃がすアインスの表情に、ツヴァイは背筋をぞくりとした感覚が駆け上がっていくのを感じた。

「アイちゃん、感じてきた?」
「感……分からないが、何だかこそばゆいな」
「気持ち良いってことだよ、それ」
「……そうなのか?」

 ふふっと、ツヴァイが愉し気に笑う。

「アイちゃん、可愛い」
「かわっ⁈ ……っお前ばかり、狡いぞ」

 揶揄われたと思ってムッとしたのか、仕返しとばかりにアインスがツヴァイの胸に手を伸ばした。図らずも既に興奮に膨れていた乳首を指先でピンと弾く形になってしまい、

「あ、ん…ッ!」

 びくりと大きく身を跳ねさせたツヴァイの反応に、慌ててアインスが手を離した。

「……悪い」
「ううん……俺こそ。調子乗ってごめん」

 いけないことをしてしまったような背徳感にアインスはドキドキと落ち着きを失くし、ツヴァイはツヴァイでつい大きな声が出てしまったことに羞恥を得て、顔を逸らす。何ともくすぐったい空気が流れる中、先に口を開いたのはツヴァイの方だった。

「……ていうか、謝らなくていいんだよ」

 アインスの無骨で大きな手に、そっと白い優美な手を重ね、握り締める。それから、己の胸元へと彼の手を誘うように滑らせると、ツヴァイは熱を帯びた眼差しで真っ直ぐに愛しい人を見つめた。

「アイちゃんなら……いいよ。好きなだけ、触って」

 甘い誘惑に、アインスの鼓動が跳ね上がる。思わず喉元のものを嚥下し、ツヴァイの顔を凝視した。切なげに求めるように切羽詰まった表情。触れた掌から、相手の体温と共に脈動が伝わってくる。ツヴァイの胸の鼓動は、アインスに負けず劣らず速く、高鳴っていた。
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