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5.衝動と葛藤 前※
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「……まだシャワーを浴びていない」
「いいよ、そんなの。アイちゃんの匂い好きだし」
「というか……お前は、大丈夫なのか?」
早速こちらのズボンのファスナーに手を掛けるツヴァイに、遠慮がちにアインスが訊ねた。
「何が?」
ツヴァイは、手を止めることもなく聞き返す。ゆっくりと下ろされていくジッパー音。覗く己が紺色の下着から目を逸らして、アインスは言葉を接いだ。
「その……こういうの、嫌じゃないのか? 無理はするなよ」
そう窺うのにも、理由があった。ツヴァイにはトラウマがある。幼少期、養父から性的な虐待を受けていた過去があるのだ。だから、こうした行為は彼にとっては恐怖でしかない筈。
しかし、彼は言う。
「アイちゃんなら、嫌なことなんてないよ」
そうして柔らかな笑顔を向けられてしまえば、アインスは弱い。出来るのは、ツヴァイのやりやすいように脱衣の手伝いをすることくらいだ。
屹立は解放されるのを待ち構えていたかのように下着から勢いよく溢れ出した。その迫力に、思わずといった風にツヴァイが「わ」と声を漏らす。
(引かれたか?)
「すごい……いや、うん。身長的にそうだろうなとは思ってたけど、アイちゃん、おっきいね」
「……済まない」
「何で謝るの?」
それこそ負担を掛けるだろう、と思ったが、別に挿入までする訳ではないかと思い直し、アインスは口篭った。先走った己の思考に内心叱咤する。
その内にツヴァイの指が直に触れ、息を呑んだ。形を確かめるように、白い指先が丁寧に怒張をなぞる。こそばゆさと、注がれる視線が居た堪れない。あまり見るなと言ってやりたいが、何だか女々しくて口にするのは躊躇われた。
裏筋を撫でられると、怒張が一層上を向く。そこへツヴァイの顔が寄せられ、桜色の唇が先端にキスをした。
ちゅ、と軽いリップ音を立てて、啄むように一度。次に、割れた口唇から赤く濡れた舌が覗き、それが怒張に這わされる。側面から、徐々に先端の方へ。かと思えば、先端には触れずに別の側面へと戻る。それは袋の方にまで及んだ。
焦れったい動きに嫌でも先端に意識が集中し始めた頃、満を持したようにツヴァイが怒張を咥えた。
「っ!」
反射的に、アインスは腰を浮かせた。熱く濡れた感触に包み込まれ、更に先端に舌が絡み付く感覚が襲う。
そのまま、ゆっくりと喉奥の方へ深く誘われたかと思いきや、途中で引き返す。吸い込まれ、引きずられる。そんな抽挿を繰り返しながら、ツヴァイは口中に入り切らない部分を掌で扱き始めた。
「ツヴァイ……っ」
思わず、アインスの口からは情けない声が出た。
(自分でするのとは全然違う)
堅物の彼には性交経験が無い。これまで昂りは自分で慰めてきたが、ツヴァイから与えられる快楽は、それの非ではなかった。
背筋から一直線に脳へと駆け上る電気信号に、為す術もなく翻弄されてしまう。
「アイちゃん、気持ちいい?」
指先で玉を弄びながら、ツヴァイは反応を窺うようにこちらを見た。紫電の瞳は今や真紅に染まっている。
能力発動時以外にも、気が昂ると紅くなる仕様だ。興奮を表すその瞳に、映るアインス自身もまた、紅い瞳をしていた。
「ああ……」
酷くだらしなく、蕩けた表情。自分のこんな姿に、ツヴァイが興奮している。その事実に照れるやら嬉しいやらで、アインスは戸惑いつつも素直に返した。
「良すぎて困る……」
ツヴァイが口端を上げた。
「良かった……もっと、してあげるね」
言うや、ツヴァイは追い立てるように徐々に手の動きと抽挿を加速させていく。
「ぅあっ!」
飛び出した己の声に驚いて、アインスは慌てて口元を押えた。しかし、隙間から漏れ出す喘鳴はどうにも堪えようがない。
腰が震え出す。ぞくぞくと全身を巡る衝動。目の奥に星が散り始め、強い射精感が込み上げてくる。
「ツヴァイ……っもう!」
もう出るから、離れろ。――そう伝えたかったが、間に合わなかった。一際強い快楽の波が押し寄せてきて、その瞬間、アインスはツヴァイの口中で達していた。
膨らんで、震えた直後に迸る。勢いよく喉奥に注ぎ込まれた熱い生命の液体を、ツヴァイは余すことなく呑み下した。最後に残りを吸い上げて、周囲を綺麗に舐め取ることも忘れない。
達したばかりで息も荒く朦朧とした様子のアインスは、それを見るともなくぼんやりと眺めていた。
「いいよ、そんなの。アイちゃんの匂い好きだし」
「というか……お前は、大丈夫なのか?」
早速こちらのズボンのファスナーに手を掛けるツヴァイに、遠慮がちにアインスが訊ねた。
「何が?」
ツヴァイは、手を止めることもなく聞き返す。ゆっくりと下ろされていくジッパー音。覗く己が紺色の下着から目を逸らして、アインスは言葉を接いだ。
「その……こういうの、嫌じゃないのか? 無理はするなよ」
そう窺うのにも、理由があった。ツヴァイにはトラウマがある。幼少期、養父から性的な虐待を受けていた過去があるのだ。だから、こうした行為は彼にとっては恐怖でしかない筈。
しかし、彼は言う。
「アイちゃんなら、嫌なことなんてないよ」
そうして柔らかな笑顔を向けられてしまえば、アインスは弱い。出来るのは、ツヴァイのやりやすいように脱衣の手伝いをすることくらいだ。
屹立は解放されるのを待ち構えていたかのように下着から勢いよく溢れ出した。その迫力に、思わずといった風にツヴァイが「わ」と声を漏らす。
(引かれたか?)
「すごい……いや、うん。身長的にそうだろうなとは思ってたけど、アイちゃん、おっきいね」
「……済まない」
「何で謝るの?」
それこそ負担を掛けるだろう、と思ったが、別に挿入までする訳ではないかと思い直し、アインスは口篭った。先走った己の思考に内心叱咤する。
その内にツヴァイの指が直に触れ、息を呑んだ。形を確かめるように、白い指先が丁寧に怒張をなぞる。こそばゆさと、注がれる視線が居た堪れない。あまり見るなと言ってやりたいが、何だか女々しくて口にするのは躊躇われた。
裏筋を撫でられると、怒張が一層上を向く。そこへツヴァイの顔が寄せられ、桜色の唇が先端にキスをした。
ちゅ、と軽いリップ音を立てて、啄むように一度。次に、割れた口唇から赤く濡れた舌が覗き、それが怒張に這わされる。側面から、徐々に先端の方へ。かと思えば、先端には触れずに別の側面へと戻る。それは袋の方にまで及んだ。
焦れったい動きに嫌でも先端に意識が集中し始めた頃、満を持したようにツヴァイが怒張を咥えた。
「っ!」
反射的に、アインスは腰を浮かせた。熱く濡れた感触に包み込まれ、更に先端に舌が絡み付く感覚が襲う。
そのまま、ゆっくりと喉奥の方へ深く誘われたかと思いきや、途中で引き返す。吸い込まれ、引きずられる。そんな抽挿を繰り返しながら、ツヴァイは口中に入り切らない部分を掌で扱き始めた。
「ツヴァイ……っ」
思わず、アインスの口からは情けない声が出た。
(自分でするのとは全然違う)
堅物の彼には性交経験が無い。これまで昂りは自分で慰めてきたが、ツヴァイから与えられる快楽は、それの非ではなかった。
背筋から一直線に脳へと駆け上る電気信号に、為す術もなく翻弄されてしまう。
「アイちゃん、気持ちいい?」
指先で玉を弄びながら、ツヴァイは反応を窺うようにこちらを見た。紫電の瞳は今や真紅に染まっている。
能力発動時以外にも、気が昂ると紅くなる仕様だ。興奮を表すその瞳に、映るアインス自身もまた、紅い瞳をしていた。
「ああ……」
酷くだらしなく、蕩けた表情。自分のこんな姿に、ツヴァイが興奮している。その事実に照れるやら嬉しいやらで、アインスは戸惑いつつも素直に返した。
「良すぎて困る……」
ツヴァイが口端を上げた。
「良かった……もっと、してあげるね」
言うや、ツヴァイは追い立てるように徐々に手の動きと抽挿を加速させていく。
「ぅあっ!」
飛び出した己の声に驚いて、アインスは慌てて口元を押えた。しかし、隙間から漏れ出す喘鳴はどうにも堪えようがない。
腰が震え出す。ぞくぞくと全身を巡る衝動。目の奥に星が散り始め、強い射精感が込み上げてくる。
「ツヴァイ……っもう!」
もう出るから、離れろ。――そう伝えたかったが、間に合わなかった。一際強い快楽の波が押し寄せてきて、その瞬間、アインスはツヴァイの口中で達していた。
膨らんで、震えた直後に迸る。勢いよく喉奥に注ぎ込まれた熱い生命の液体を、ツヴァイは余すことなく呑み下した。最後に残りを吸い上げて、周囲を綺麗に舐め取ることも忘れない。
達したばかりで息も荒く朦朧とした様子のアインスは、それを見るともなくぼんやりと眺めていた。
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