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検察庁法改正案の抗議に反論する人達の意見。
しおりを挟む前回の記事で、検察庁法改正案の抗議に関することを書きました。
今回は、その抗議に対しての反論意見について書きます。
検察庁法改正案の抗議に反論する意見の中で、
そもそも内閣は、最高裁判所長官の指名を行なっている。
最高裁判所と下級裁判所の裁判官の任命を行なっている。
そういった内閣の役割が、憲法に記載されている。
そういうふうに言ってる人がいました。
という事で、調べてみました。
【内閣の職務】
■一般行政事務(憲法第73条柱書)
■法律の執行、国務の総理(憲法第73条1号)
■外交関係の処理(憲法第73条2号)
■条約の締結(憲法第73条3号)
条約の締結は内閣の職務であるが、
その成立、発効には国会の承認が必要とされる。
承認は事前が原則であるが、事後であってもよい。
■官吏(公務員)に関する事務の掌理(憲法第73条4号)
■予算の作成と国会への提出(憲法第73条5号)
■政令の制定(憲法第73条6号)
■大赦、特赦、減刑、刑の執行免除、復権の決定(憲法第73条7号)
■天皇の国事行為について助言と承認(憲法第3条、憲法第7条)
- 内閣はその責任を負う。
■最高裁判所長官の指名(憲法第6条2項)
■国会の臨時会の召集の決定(憲法第53条)
■参議院の緊急集会の要求(憲法第54条2項)
■最高裁判所と下級裁判所の裁判官の任命(憲法第79条1項、第80条1項)
■予備費の支出(憲法第87条)
■決算の国会への提出(憲法第90条)
■国会に対する財政報告(憲法第91条)
「指名」とは、物事にあたる人を指定すること。
「任命」とは、ある職務につくよう命令すること。
確かに書いてありました。
■最高裁判所長官の指名(憲法第6条2項)
■最高裁判所と下級裁判所の裁判官の任命(憲法第79条1項、第80条1項)
検察庁法には、こんなことが書かれてます。
■第十四条
法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、
検察官を一般に指揮監督することができる。
但し、個々の事件の取調又は処分については、
検事総長のみを指揮することができる。
(第四条)
検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、
且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても
職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、
又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。
(第六条)
検察官は、いかなる犯罪についても捜査をすることができる。
検察官と他の法令により捜査の職権を有する者との関係は、
刑事訴訟法の定めるところによる。
■第十五条
検事総長、次長検事及び各検事長は一級とし、
その任免は、内閣が行い、天皇が、これを認証する。
検事は、一級又は二級とし、副検事は、二級とする。
■第十六条
検事長、検事及び副検事の職は、法務大臣が、これを補する。
副検事は、区検察庁の検察官の職のみにこれを補するものとする。
■第十七条
法務大臣は、高等検察庁又は地方検察庁の検事の中から、
高等検察庁又は地方検察庁の支部に勤務すべき者を命ずる。
なるほど。
そもそも検察庁は、内閣や法務大臣が関わっているわけですね。
それなら確かに、検察官の定年延長の決定権が内閣や法務大臣にあっても、
違和感はない。
それなら、今回の検察庁法改正案の内容は理解できる。
と言いたいところですが、僕はそうはならない。
そもそも、何で改正案の内容を変えたのか?
何で2019年のシンプルな改正案のままにしなかったのか?
《2019年の改正案》
■検察官の定年を65歳に引き上げる
■次長検事及び検事長は、63歳に達した翌日に検事になる
(その後65歳で定年退官)
それが、以下の内容に変わってるわけです。
《2020年の改正案》
■検察官の定年を65歳に引き上げる
■次長検事と検事長は、63歳以降は平の検事になる
■次長検事と検事長は、内閣が定めた事情がある場合、
1年以内の期間、引き続き次長検事又は検事長として仕事ができる
さらに、1年後も引き続き内閣が定めた事情がある場合、
引き続き定年まで次長検事又は検事長として仕事ができる
■これらのことは内閣又は法務大臣がそれぞれ決定する。
何で今年になって、「内閣が定めた事情がある場合~」を追記したのか。
去年の改正案に書かれてなかった内容が、なぜ今年になって追記されたのか。
タイミング的にも誤解を招くし、いろいろ疑っちゃいますよね。
実際の条文は難しい。
《内閣の事情~部分の改正案の条文》
内閣は、前項の規定にかかわらず、
年齢が六十三年に達した次長検事又は検事長について、
当該次長検事又は検事長の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、
当該次長検事又は検事長を検事に任命することにより、
公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として、
内閣が定める事由があると認めるときは、
当該次長検事又は検事長が年齢六十三年に達した日の翌日から起算して、
一年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き当該次長検事又は検事長に、
当該次長検事又は検事長が年齢六十三年に達した日において占めていた
官及び職を占めたまま勤務をさせることができる。
内閣は、前項の期限又はこの項の規定により延長した期限が到来する場合において、
前項の事由が引き続きあると認めるときは、内閣の定めるところにより、
これらの期限の翌日から起算して一年を超えない範囲内
(その範囲内に定年に達する日がある次長検事又は検事長にあつては、
延長した期限の翌日から当該定年に達する日までの範囲内)で
期限を延長することができる。
これが、もし検察庁法改正案を抗議してる人達の勘違いであって、
誤解だとしても、これだけの抗議があったのは事実です。
日弁連や各地方の弁護士会まで、検察庁法改正案に反対する声明まで出してる。
政府がちゃんと説明してないから、この騒ぎになってるわけです。
抗議してる人達、反対してる人達の勘違い、誤解だと言うのなら、
なぜこの改正案になったのか。
その意図と経緯を、国民に対して説明すべきだと思うんです。
多くの国民は、政府・内閣に対して不信感を持っているから、
内閣にそんな権利与えちゃダメなんじゃないの?って思ってるわけで。
どういう経緯で、どういう意図があって、この改正案になったのか。
その説明は必要だと思います。
誤解を与えないような、勘違いをされないような、
余計な疑いを持たれないような納得できる説明が必要かと思う。
これだけの騒ぎになったのは、政府の問題なんだから。
まともな説明もしてなかったから、こういう騒ぎになったわけで。
その説明責任はあると思います。
ただし、今はコロ●でそれどころじゃないので、
この法案は一度取り下げて、コロ●が落ち着いた頃に、
国民に意図と経緯を説明して、そのうえでやりましょう!
今じゃないといけない理由は何でしょうか?
今日の国会で安倍首相は、検察庁法改正案について、
こんなふうに述べてます。
「今般の国家公務員法等の改正法案の趣旨、目的は高齢期の職員の豊富な知識、
経験等を最大限に活用する点などにあり、
検察庁法の改正部分の趣旨、目的もこれと同じだ」
「今回の法改正では検察官の定年延長にあたって、
その要件となる事由を事前に明確化することとしており、
内閣の恣意的な人事が今後行われるといった懸念は全くあたらない」
「(国家公務員は)速やかに定年を引き上げることが必要。
同法改正の趣旨はこれと同じであり、法案審議のスケジュールは国会が決めること」
「今国会で法案を成立させる必要がある」
「知識、技術、経験などを持つ職員を最大限活用し、
複雑・高度化する行政課題に的確に対応していくため、定年引き上げが必要だ」
「職員の職業生活設計に大きな影響があり、早い段階での周知を含めて
準備には相当な期間を要する。
地方公務員についても同様の法律案を提出しており、
自治体での条例制定も見据えると、今国会で法案を成立させる必要がある」
モノは言いようですね。
国家公務員法の改正法案と地方公務員の法案と検察庁法改正案を、
全部ごちゃ混ぜにして、この法案を成立させないといけないから、
こっちの法案も足並揃えないといけないという理由。
こういう逃げ方で、強行突破するんだろうなぁと思いました。
複雑にして、分かりにくくして、国民を騙す。
そういうやり口なのかなって、僕は思ってる。
「内閣の恣意的な人事が今後行われるといった懸念は全くあたらない。」
この言葉を、いったいどれだけの人が信じるんだろう。
僕は、信じないけど。
とにかく選挙の投票で示しましょう。
これはスパムで終わらせちゃいけないです。
スパムで問題をはぐらかされていい事ではない。
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