変態紳士 白嘉の人生史〜悲しみが気付かせてくれたもの

変態紳士 白嘉(HAKKA)

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契約社員&チームリーダー

人生初のラブレター。好きな人に初めて告白した時のこと。

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チームリーダーとして働いていく中で、僕は同じ職場で働く女性に恋をしました。
僕が28歳くらいだったと思います。


その女性は、僕がその職場で働く時に、仕事を教えてくれた人でした。
僕が仕事をたくさん抱えていた時も、僕のデスクの上に置いてある仕事を黙って持っていってくれて、処理をしてくれてたりもしました。
僕がたくさん処理してる時も、『ありがとうございます!本当助かります!』って、いつも僕に感謝の言葉を言ってくれました。

ある時、僕は体調不良で仕事を休んだことがありました。
出勤した時に、めちゃめちゃ僕の事を心配してくれて、僕はもうその女性を好きになってしまいました。

僕は、特定の異性を好きになると、完全に一途になってしまうので、頭の中がいつしかその女性中心になってました。
それまで好きだった芸能人も興味なくなって、好きな女性に似ている芸能人に興味を持って、その芸能人を見て、好きな女性を思い出したり、その芸能人を携帯電話の待ち受けにして、その芸能人を見ながら好きな女性の事を考えたり。


それくらい完全にその女性にハマってしまいました。


僕は、特定の異性を好きになり、恋をしてしまうと、欠点が出てきます。
それは、極端に弱くなる事です。

その女性に心配されたかったり、気にかけてもらいたくなって、体調を崩しやすくなったり、精神的に病みやすくなったり、極端なネガティブ病に陥りました。

それが原因で、仕事のミスが増えてしまった事もありました。


連絡先の交換をするようなきっかけもなかったし、ただ想いだけが募っていく感じでした。
それに、その女性は彼氏と同棲もしてたので、自分が迷惑かけてはいけないと思ったりもしました。

さらに、立場的には、僕が上司で女性が部下にあたるので、僕の行動次第では、僕もその女性も、この職場に居づらくなる可能性があるので、僕は想いを抑えることに必死でした。


ところが僕は、その想いを抑えられなくなってしまいました。
ある時、仕事中に、その女性が他の男性従業員と仲良く話しをしていました。
僕は、奥手なので、仕事の話はできても、プライベートな話をできないので、プライベートな話を仲良く楽しそうにやってるのを見て、僕は嫉妬をしてしまいました。


そして僕は、好きな気持ちを伝えたいと思うようになりました。
彼氏と同棲してるのも分かってるし、付き合えるわけない事も分かっていました。
でも、僕が好きだってことは、知っていて欲しいとも思いました。


今まで、小学・中学・高校と好きな人ができても、告白することはありませんでした。
東京来てからも、アルバイトで好きになる事はあったけど、気持ちを伝えることなく、好きな人を諦めるために、仕事を辞めたりもしてました。


でも、その女性だけは、なぜか我慢できなくて、好きな気持ちを伝えたいと思ってしまったのです。


そんな想いもあって、僕はラブレターを書きました。
僕が新人の時に仕事を教えてもらった感謝の気持ちや、リーダになったのも仕事を教えてもらったからですって気持ちも。


正直、めちゃめちゃ不安がありました。
フラれるかもしれないとかじゃなく、他の人に知られたらどうしようという不安がありました。
リーダに告白された、ラブレターもらったみたいな事が広まったら、ココで働けなくなる事も考えました。

しかもその女性は、噂を広げるのが好きな人とも仲が良かったので、余計にその怖さはありました。
そんな不安もありつつ、せっかくラブレター書いてるから、後悔したくないし、ラブレターを渡す事を決めました。


シフトが遅番で、夜2人だけになった時に、トイレに行くついでに、『これ読んでください』と言って、手紙を渡しました。


数日後に、手紙の返事をもらいました。

私はあなたが思うような人間じゃありませんという内容が書かれてました。
あなたの想いには応えられませんというようなことも書かれてました。
A4の紙に3枚ぐらいに、そういったことが書かれてました。


最初読んだ時は、ショックでした。
分かっていても、実際にフラれるとショックです。

でも僕は、その返事を何度も読み返しました。
わざわざ僕のために書いてくれた手紙。
その女性が、僕に伝えたいことは何だろう。
それを理解するために、何度も読み返しました。


そして、引っかかった言葉がありました。


自分が何をしてるときが楽しいか。
自分が何をしてるときが笑顔になれるか。
自分が何をしてる時が一番幸せか。


僕は、ちょうど音楽活動を辞めていたので、この言葉が刺さりました。

何をしてる時が楽しいか。
何をしてる時が笑顔になれるか。
何をしてる時が一番幸せか。


僕は、もう一度音楽活動をやろうと思いました。
ライブやってる時が、一番楽しかったし、一番笑顔になれたし、一番幸せを感じられてたから。


ラブレターの返事で、それに気付きました。


僕は、更にその手紙の返事を、御礼も兼ねて書きました。
この手紙の返事は不要ですってことも添えました。

返事書かなきゃいけないって思われるのも嫌だったので。


その後、一度だけ直接ご飯を誘ってみたけど、『みんなと一緒なら』って返ってきたので、その返事で脈がないと思って、僕は諦めました。
みんなと一緒なら=2人で行くのは嫌ってことだから、もう何もしない方がいいなって思いました。


僕がこの出来事で、気付いた事がありました。

好きな人って、付き合うことだけが全てじゃないなって思いました。
好きな人の言葉によって救われたり、人生が前向きになれたり。
そうなる事だけでも、素敵なことじゃないかって思いました。


ただ、やっぱり恋愛って難しいなって思います。

想いは必ず伝わるとは言うけど、そうとは限らないと思います。
仮に伝わったとしても、相手には相手の事情があるので、伝わったからといって、付き合えるわけでもないです。
タイミングもあるだろうし、相手の好き嫌いもあるだろうし。

また、振り向いてくれるまで粘ればいいというものでもないと思います。
あまりしつこいと、それは迷惑に思われて、マイナスにもなるし。


しかも、この時は僕は友達に結構いろいろ言われました。


『彼氏と同棲してる女性にラブレター渡すとか、何考えてんの?』

⬆︎は僕も分かってたけど、好きな気持ちを伝えたいって気持ちが強まってしまったので、僕自身も常識が通用しなくなってしまってたんです。


『好きって伝えるだけじゃ、相手は何して欲しいか分からないよ?』

⬆︎は、付き合って欲しいとか何かをして欲しいとかじゃなく、僕が好きだって事を知って欲しかっただけなので、相手には何も求めてなかったです。


こういうのを、いちいち説明するのも面倒くさいです。

僕の価値観とか、僕自身が持ってる欲って、恐らく人と違うんですよね。
だから、僕の行動は分かってもらえないのかなって思う。



ただ、言える事は本気で好きになった時って、常識とかルールとかマナーとかを、飛び越えちゃうリスクがあるのは確かだと思う。
途中までは、そことの葛藤があっても、あまりに想いが強くなり過ぎた時に、そんなこと言ってる場合じゃなくなるというか。


人を好きになるって、幸せなことだろうけど、不幸な事でもある気がします。



人に迷惑かけないように、人を好きになる。
器用な人はそれができるかもしれないけど、彼女いない歴=年齢の僕には、それさえも難しい。


だから、僕は好きにならない方がいいのかなって考えるんです。
好きになっていいよって言ってくれる人だけを好きになれたら、楽なんだろうけどね。

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