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Uターン
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第四話「Uターン」
「あ~よく寝た」
…知らない天井だ。
そうか、昨日はホテルで寝たんだったな。
それにしてもベッドというのは素晴らしい。いつもは畳にそのまま寝っ転がっていたものだから腰や頭が痛くて仕方がなかった。
しかし、このフカフカのベッドで寝た場合どうだろう。首は痛くないし、寝付きもいい。
スペーリに節約してもらって、家にもベッドを買おうかな…。いや、無理だろうな…。
さて、スペーリは、と…。
寝てやがる。
少し街をあるいて情報収集したいところだが、スペーリを起こしてはかわいそうだ。
スペーリはまだ寝かせておいてやろう。
「よし、スペーリ。ここで待っててくれな。」するとスペーリは尻尾を振った。聞いているのかいないのか…。
とにかく俺は、これをOKの合図だと受け取ることにして、玄関へと向かった。
「…流石に都会だな。人が多い。」
自宅のあるN県も、そこそこの人口を抱える都市ではあるが、やはり首都には敵わない。
雪崩のように蠢く人の群れ。少し歩くだけでもストレスで尿路結石になりそうだ。
人の多さに目を回していると、電話が鳴った。
「はい」「帳」からだ。
「大変です、また暴走車の怨霊が出ました。高速道路を爆走中です。」
「何!!」
「そちらにヘリを向かわせました。Tビルの屋上へ急いでください!」
「ヘリ?」すると、上空からヘリの音が聞こえた。上を見ると、確かにヘリコプターが付近のビルへ着陸しているようだった。
「あ、あれがそうですか?」
さすがにヘリは想定外だ。
「はい。なるべく急いで。」通話が切れた。急いでTビルまで向かい、ヘリコプターに乗り込む。
「では行きますよ~」爆音とともに、身体が何かに引っ張られる感じがした。
怨霊のもとへ向かうと、奴は高速道路を猛スピードで走っていた。その速度は、100キロを優に越えている。
「すごい、速さだな」
怨霊を、何台もの警察車両が追っているがとても追いつきそうにない。
「警察では、相手になりません。」
「ああ、見れば分かるよ。」
すると、怨霊は突然方向転換し逆走し始めた。そして、パトカーをどんどんとなぎ倒して行く。
「あれじゃあ警察がやられるのも時間の問題だ、明らかにあの車、馬力が違う。」そう言っている間にも、怨霊はみるみるパトカーを横転させた。
「やべえな!しかしあいつどこまで行くんだ?」
「たぶん、これでしょう」そして「帳」の人は雑誌をこちらに投げる
「これは・・・」
「T都で世界最速の《ロス・ソーロウン・スーパースポーツ》という外国車が美術展で展示されるんですよ。」
「まさか・・・それを狙って・・・」
「最高速度500キロ、最高馬力の1500馬力、価格は三億円以上。陸上最速の乗り物です。」
「だから、奴が狙わないわけはないな。」
「しかし、鬼災でこれ以上負傷者は出させません。我々の沽券に関わります。」
「それじゃあ行ってくる。」
「お気をつけて。」俺はヘリから飛び出し、怨霊のボンネットにしがみついた。「よ!!、怨霊君。」
「貴様!!」奴は少しばかり俺をにらんだ後、何かをひらめいたようににやけ顔を見せた。
「うおおっ!」急ブレーキがかかり、俺は前方に吹っ飛ばされた。
「ひき殺してやる!!」
そして、怨霊は一気にエンジンを吹かす。
「おっと、怖い」俺は前回と同じくタイヤを切った。「なっ!!」怨霊はバランスを崩し、防音壁に激突した。
「くそ!!」またしても、怨霊の本体が姿を見せる。
「おいおいちょっとは学習しろよ…。」
「くっ!!」
怨霊は、再び逃げようとするが、すかさず回り込んだ。
「くらえ!」奴にナイフを突き刺そうすると、追いついたパトカーが怨霊を取り囲む。その瞬間、怨霊はニヤリと笑い「馬鹿めッ!!」と叫ぶ。
「しまった!」すると、怨霊はパトカーに飛びつき運転席に憑りついた。「あばよ!」
パトカーはガードレールを飛び出し、崖へ落下した。
「ハハハハハ!!どうだ!!」怨霊は高笑いをする。急いで崖の下を見るが、車が転落して粉々になっていた
「…怨霊は霊魂を破壊しない限り倒せない。あの怨霊は生きているだろう。クソ!また見失った!」すると、ヘリが下りてきて帳の人が窓から顔を出す。
「どうでしたか?」
「見失った、だが、奴の目的地は変わらない。あそこへ向かおう。」
「分かりました。乗ってください。」
俺は再びヘリに乗り込んだ。このまま何事もなく除霊できればいいが…。
・・・つづく・・。
「あ~よく寝た」
…知らない天井だ。
そうか、昨日はホテルで寝たんだったな。
それにしてもベッドというのは素晴らしい。いつもは畳にそのまま寝っ転がっていたものだから腰や頭が痛くて仕方がなかった。
しかし、このフカフカのベッドで寝た場合どうだろう。首は痛くないし、寝付きもいい。
スペーリに節約してもらって、家にもベッドを買おうかな…。いや、無理だろうな…。
さて、スペーリは、と…。
寝てやがる。
少し街をあるいて情報収集したいところだが、スペーリを起こしてはかわいそうだ。
スペーリはまだ寝かせておいてやろう。
「よし、スペーリ。ここで待っててくれな。」するとスペーリは尻尾を振った。聞いているのかいないのか…。
とにかく俺は、これをOKの合図だと受け取ることにして、玄関へと向かった。
「…流石に都会だな。人が多い。」
自宅のあるN県も、そこそこの人口を抱える都市ではあるが、やはり首都には敵わない。
雪崩のように蠢く人の群れ。少し歩くだけでもストレスで尿路結石になりそうだ。
人の多さに目を回していると、電話が鳴った。
「はい」「帳」からだ。
「大変です、また暴走車の怨霊が出ました。高速道路を爆走中です。」
「何!!」
「そちらにヘリを向かわせました。Tビルの屋上へ急いでください!」
「ヘリ?」すると、上空からヘリの音が聞こえた。上を見ると、確かにヘリコプターが付近のビルへ着陸しているようだった。
「あ、あれがそうですか?」
さすがにヘリは想定外だ。
「はい。なるべく急いで。」通話が切れた。急いでTビルまで向かい、ヘリコプターに乗り込む。
「では行きますよ~」爆音とともに、身体が何かに引っ張られる感じがした。
怨霊のもとへ向かうと、奴は高速道路を猛スピードで走っていた。その速度は、100キロを優に越えている。
「すごい、速さだな」
怨霊を、何台もの警察車両が追っているがとても追いつきそうにない。
「警察では、相手になりません。」
「ああ、見れば分かるよ。」
すると、怨霊は突然方向転換し逆走し始めた。そして、パトカーをどんどんとなぎ倒して行く。
「あれじゃあ警察がやられるのも時間の問題だ、明らかにあの車、馬力が違う。」そう言っている間にも、怨霊はみるみるパトカーを横転させた。
「やべえな!しかしあいつどこまで行くんだ?」
「たぶん、これでしょう」そして「帳」の人は雑誌をこちらに投げる
「これは・・・」
「T都で世界最速の《ロス・ソーロウン・スーパースポーツ》という外国車が美術展で展示されるんですよ。」
「まさか・・・それを狙って・・・」
「最高速度500キロ、最高馬力の1500馬力、価格は三億円以上。陸上最速の乗り物です。」
「だから、奴が狙わないわけはないな。」
「しかし、鬼災でこれ以上負傷者は出させません。我々の沽券に関わります。」
「それじゃあ行ってくる。」
「お気をつけて。」俺はヘリから飛び出し、怨霊のボンネットにしがみついた。「よ!!、怨霊君。」
「貴様!!」奴は少しばかり俺をにらんだ後、何かをひらめいたようににやけ顔を見せた。
「うおおっ!」急ブレーキがかかり、俺は前方に吹っ飛ばされた。
「ひき殺してやる!!」
そして、怨霊は一気にエンジンを吹かす。
「おっと、怖い」俺は前回と同じくタイヤを切った。「なっ!!」怨霊はバランスを崩し、防音壁に激突した。
「くそ!!」またしても、怨霊の本体が姿を見せる。
「おいおいちょっとは学習しろよ…。」
「くっ!!」
怨霊は、再び逃げようとするが、すかさず回り込んだ。
「くらえ!」奴にナイフを突き刺そうすると、追いついたパトカーが怨霊を取り囲む。その瞬間、怨霊はニヤリと笑い「馬鹿めッ!!」と叫ぶ。
「しまった!」すると、怨霊はパトカーに飛びつき運転席に憑りついた。「あばよ!」
パトカーはガードレールを飛び出し、崖へ落下した。
「ハハハハハ!!どうだ!!」怨霊は高笑いをする。急いで崖の下を見るが、車が転落して粉々になっていた
「…怨霊は霊魂を破壊しない限り倒せない。あの怨霊は生きているだろう。クソ!また見失った!」すると、ヘリが下りてきて帳の人が窓から顔を出す。
「どうでしたか?」
「見失った、だが、奴の目的地は変わらない。あそこへ向かおう。」
「分かりました。乗ってください。」
俺は再びヘリに乗り込んだ。このまま何事もなく除霊できればいいが…。
・・・つづく・・。
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