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6 そしてこれからも
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「おつかれさま、どうだった、結構良かっただろう」
控室へ戻るとセツナさんがいつものように座っている。
「心配するな、本当に飲み込んだりはしてないさ。全員気絶していたから、園の外にほっぽっといた。そのうち気づいて帰っていく」
手には男たちが使っていたカメラがあった。なんてことのないようにそれをいじって、結構よく撮れていると呟いた。
「ユウナさん、俺やっぱりとんでもないところに来ちゃったかも」
俺がそう言うと、ユウナさんは毎日たのしいよと言いながらテキパキときぐるみの片付けを始めた。
これ以降、ヨッツミの噂はぱたりと消え、いつもの平和な風景が戻ってきた。しかし、それまで遠慮していたように俺の前で人間の姿を保っていたスタッフたちは、人の目がないところで度々妖怪の姿に戻り、俺を驚かし始めた。ユウナさんに相談すると「しおんくんのこと、信頼してくれているんだね」
と嬉しそうにいった。俺は全く嬉しくない。でも、ここで働くのも悪くないと思ってしまうのは、俺がここに染まってきたしるしだろうか。そして今日も俺はヨッツミへ通う。妖怪がいる、不思議な遊園地へ。
控室へ戻るとセツナさんがいつものように座っている。
「心配するな、本当に飲み込んだりはしてないさ。全員気絶していたから、園の外にほっぽっといた。そのうち気づいて帰っていく」
手には男たちが使っていたカメラがあった。なんてことのないようにそれをいじって、結構よく撮れていると呟いた。
「ユウナさん、俺やっぱりとんでもないところに来ちゃったかも」
俺がそう言うと、ユウナさんは毎日たのしいよと言いながらテキパキときぐるみの片付けを始めた。
これ以降、ヨッツミの噂はぱたりと消え、いつもの平和な風景が戻ってきた。しかし、それまで遠慮していたように俺の前で人間の姿を保っていたスタッフたちは、人の目がないところで度々妖怪の姿に戻り、俺を驚かし始めた。ユウナさんに相談すると「しおんくんのこと、信頼してくれているんだね」
と嬉しそうにいった。俺は全く嬉しくない。でも、ここで働くのも悪くないと思ってしまうのは、俺がここに染まってきたしるしだろうか。そして今日も俺はヨッツミへ通う。妖怪がいる、不思議な遊園地へ。
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